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2005年03月09日

日本私大教連、父母・学生の負担軽減と私立大学の充実を目指す国会請願

05年度私大助成請願署名

父母・学生の負担軽減と私立大学の充実を目指す国会請願

[請願趣旨]

わが国の高等教育において、私立大学・短期大学(以下、私大)は学生数で75%、学校数で80%を占め、非常に重要な役割を担っています。したがって私大の振興は国の重要な責務であり、私大助成の拡充・改善は重点的に取り組むべき施策です。このことは、私立学校振興助成法と国会附帯決議(1975年)が「私大経常費の2分の1補助」の早期達成を目標として定めていることにも、端的に表わされています。

ところが私大経常費への補助率は、1980年度の29.5%をピークにその後減少し、2003年度には12.1%まで低下しています。また私大への補助は国立大学への国費支出のおよそ5分の1、学生一人あたりにしてわずか18分の1程度でしかなく、国立大との間におおいがたい格差をもたらしています。

経常費補助が長きにわたり低い水準におかれているために、私大は教育研究条件の改善・充実を図る上で国立大の1.7倍もの高学費に依存せざるを得えず、それでもなお国立大の教育研究条件とは差別的とも言える格差が存在しています。さらに、非常に重い学費負担のために、進学や修学を断念せざるを得ない青年が増加するなど、国民の大学教育を受ける権利が著しく侵害されています。

さらにここ数年、私大経常費補助のうち基盤的な教育研究条件を充実させる一般補助が削減される一方で、一部特定の分野に対する特別補助のみが大幅に増額されています。これでは学費負担が軽減されないばかりか、学部間・大学間の格差が広がり、私大全体の教育研究の向上を図ることはできません。

世界的に見ても、日本の高等教育予算はOECD(*1)加盟国の中で最低水準であり、また国際人権規約の「高等教育の漸進的無償化」条項を留保し続けている(*2)など、日本の高等教育政策はあまりに貧困と言わざるを得ません。

大学が、知、文化、科学技術を通して地域・日本・世界の発展に貢献するためには、高等教育予算を大幅に引き上げ、誰もが安心して充実した大学教育を受けられるよう、私大全体の教育研究条件を整備するとともに、父母・学生の学費負担を軽減するための総合的な施策を実現することが求められています。

 私たちはこうした立場から、当面、次の事項を速やかに実現することを求めるものです。

   (*1) OECD=経済協力開発機構。欧米諸国をはじめ現在30カ国が加盟。
    (*2) 国際人権規約批准国151カ国中、同条項を留保しているのは日本、ルワンダ、マダカスカルのみ。

[請願項目]

1.高等教育予算をOECD平均並み(対GDP比1.0%)に倍増すること。
2.一般補助の拡充を軸に、私大経常費2分の1補助を政府の責務として達成すること。
3.父母・学生の学費負担を軽減するために、
(1)学費に対する直接助成や私学教育費減税など総合的な施策を実施すること。
(2)育英奨学事業について、無利子枠の拡大、給費制の創設など改善・充実を図るとともに、奨学金受給率の国公私立間の格差を是正すること。
4.大学が実施する経済的に修学困難な学生に対する奨学事業への補助は経常費補助から分離し、国立大学の学費減免制度に対する補助と同水準の予算措置を行うこと。
5.国際人権規約の「高等教育の漸進的無償化」条項の留保を撤回すること。


投稿者 管理者 : 2005年03月09日 00:03

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