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2005年03月09日

国立大授業料値上げ問題、佐賀大学学長 長谷川 照氏の見解

 佐賀大学は、来年度の授業料を据え置くと決断しました。学費は据え置き、教育も研究も落とさないつもりです。
 佐賀大学と佐賀医科大学が統合して二年目に入ります。
 地方大学での高等教育のあり方を提示し、多数の若者に選択してもらう必要があるし、それはできる、と考えています。
 たとえば、自然や地方の環境の中で、それらを利用しながら高等教育をおこなう。また、学生も、地方のいろんな文化の中で育つという、ある意味でぜいたくな体験をすることが、その人にとっても社会にとってもプラスこなるのではないではないでしょうか。

先端的研究も

 医科大学は、その地方に貢献する大学としてつくられているので、研究だけではなく、臨床もー生懸命にやってきています。大学病院は、先端的治療をするのが使命なので、どこでも経営が赤字になるのは当然です。幸い、本学の場合、1・4%収入を上げれば赤字を解消できる状況です。創設当時、古川哲二先生(初代学長)、日野原重明先生(現在は聖路加国際病院長)らが「赤ひげ塾の医者を育てる」と熱心で、それ以来地元に役立つ医療をおこなってきた結果だと思っています。
 先端的研究でも、教育先導大学、地域・社会貢献の推進でも、本学の特色をおおいに出していきたいと思います。
 しかし、大学の法人化というのは、いわば行革ですから、運営費交付金が毎年1%のマイナス、大学病院への運営費交付金が毎年2%マイナス、と削減されていくわけです。
 これを補うものとして、全国の大学が競い合って国の採択を受ける予算があります。

地方の可能性

 佐賀大学が来年度予算で採択された事業のなかには、世界最高水準の研究教育拠点を形成し全国共同施設に発展する「海洋エネルギー研究センター」、有明海の再生をめざす「有明海総合プロジェクト」があります。地域責献の面でも、「地域創成型教育モデル」は、これまでおこなってきた、空洞化した市街地の再生や棚田復旧などを引き継ぎ、解決すべき地域間題それ自体を、学生に対する教育資源ととらえなおしたものです。地方大学における教育にこういう可能性があると考えています。
 しかし、国立大学法人という新しい組織をつくって、財政が成り立っていくのか。それは、もう一度議論をしなければいけないと思います。
 授業料にしても、将来も据え置けるというわけではありません。どんなにがんばっても三年がめどでしょう。その間に、将来をきちっと定めていかないといけません。
 今回の問題は、授業料だけではなく、国立大学法人の運営費交付金のあり方の問題だと思っています。
(しんぶん赤旗3/07 トップ見出しは記事と異なる)


投稿者 管理者 : 2005年03月09日 00:12

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