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2005年03月10日

東大職員、脱お役人「経営感覚が欲しい」 国立大初、自前で採用

朝日新聞(3/09)

 法人化に伴い国立大学が特色づくりを進めるには、自前の職員育成が不可欠として、東京大学(佐々木毅学長)は9日、新年度から単独で職員募集を始めることを決めた。もともと政府が採用・人事異動をしてきた。しかし、大学の自主・自立性を強める法人化の課題は経営能力や企画力を備えた独自スタッフの育成といわれており、東大の試みは他大学にも広がるとみられる。(大島大輔)
 文部科学省によると、補充的な採用を除けば国立大が独自採用に乗り出すのは初めて。
 国立大学の職員は、人事院が実施する国家公務員試験の合格者から文科省が採用し、人事権も同省が握っていた。法人化前に採用された国立大学職員は全国で約3万7千人。しかし、昨年4月の法人化で国立大学が政府と切り離されたこともあり、国立大学協会(国大協)は昨年から統一試験を始め、全国を八つの地域に分けたブロックごとに募集活動をした。統一試験で採用された職員は、各ブロック内の大学間を異動するという。
 東大によると、新年度に採用する予定の事務・技術系職員は約40人。このうち2~3割を独自採用枠に充て、「大学運営にあたって、優れたビジネスマインドを持ち、学生や教員をサポートできる人物を求めたい」としている。「公的な仕事に熱意のある人材も必要だ」として残りは統一試験を通じた採用を併用する。
 東大は、今年5月22日にある統一試験の1次試験日程よりも前倒しして、4月中に独自採用を実施する方針だ。民間企業に流れていた人材も確保する狙いとみられる。
 東大の教職員は約7500人で、うち事務職員は約3300人。法人化では、財務・会計運営、組織設計など、経営に関する意思決定権限のほとんどが、文科省から各大学の学長に移行した。これに伴って、大学の事務組織の権限や責任も大きくなっており、事務職員に求められる経営能力が増大したと指摘する大学関係者は多い。
 各大学とも事務職員の強化にしのぎを削る。東大を始め、埼玉、愛媛、滋賀医科などの各大学は、外部から優秀な企業人を招く。一方、筑波大や東工大、北海道大などでは学長の下に大学本部、企画室などの組織を置いて、教員と対等な立場でアイデアを引き出すことを狙う。東大の独自採用組は、こうした「ヘッドクオーター」の中核を担うことになりそうだ。
 <佐々木毅・東大学長の話> いろいろなところで経験を積む従来型の採用にもメリットはあるが、大学への帰属意識を持ってもらうことも大切。独自採用は、法人化で大学の自律性が高まったことの一つの帰結だ。
 ◇キーワード
 <国立大学の法人化> 04年4月、全国に89あった国立大・短大が国の組織から切り離され、それぞれ独立した法人になった。各大学に学長のリーダーシップを生かす運営組織をつくり、学科の編成や授業料などを独自に定める裁量や、使い道を自ら決められる資金を与える。
 「個性化」を進めるねらいだ。約13万人の教官や職員は公務員ではなくなり、各法人の職員となった。


投稿者 管理者 : 2005年03月10日 00:21

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