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2005年03月13日

米軍ヘリ事故の黒い壁、黒糖で保存運動

朝日新聞(3/11)

板状の黒糖が壁の破片に見えるから「壁砂糖」なのだという
「保存の考えは甘い?」/沖縄国際大学生らが黒糖売って保存の署名活動

 米軍ヘリ墜落事故で黒い焦げ跡が残った沖縄国際大=沖縄県宜野湾市=の校舎の壁を保存しようと、同大の学生らが沖縄特産の黒糖(黒砂糖)を販売しながら署名集めに取り組んでいる。板状の黒糖を壁に見立て、名付けて「壁砂糖」。関心を引く狙いもあり、「黒糖をかじりながら多くの人に壁保存の是非を考えてほしい」と話している。

 保存運動をしているのは、沖縄を拠点に日本の近現代史を学ぶフィールドワークグループ「アジアを歩く石敢當(いしがんとう)」。沖国大の学生や卒業生が中心メンバーだ。

 10月に壁保存を求める約4400人分の署名を大学に出した際、渡久地朝明学長は「熱い思いは受け止めるが、大学は手狭であり、学内の賛同を得るのは難しいということもわかってほしい。ありのままの形で残すのは現実的ではない」との意向を示した。

 学生らには「理想は分かるが、考えが甘い」と話したという。これを機に、「私たちの考えが甘いかどうか、黒糖を食べて考えてみて」。各地の集会で皮肉を込めて「壁砂糖」と言って宣伝したところ、賛同する人たちが次々に買っていった。

 商品は市販の袋詰めの手づくり板黒糖。カンパ代込みで1袋500円。これまで500袋以上が売れた。売上金は東京に署名集めに出掛けたり、事故の様子を伝えるため学生2人が米国の大学を訪問したりするのにあてた。

 8月の事故以降、焦げ跡の残る壁は、被害の深刻さが実感できる場所として、町村外相ら政治家が必ず視察する場所になっている。米国にも行った同大学生の安達菜子さん(20)は署名活動の提案者。「事故の激しさを物語るだけでなく、壁を通して基地負担を抱える戦後沖縄のいろいろなものが見える。事故を風化させないため、記憶の場として残してほしい」と訴える。

 署名集めは、インターネットなどでさらに3千ほどを増やし、現在も実施中。平和学ゼミの学生を通じて大学側に渡す予定だ。黒糖や署名の問い合わせは、Eメールでokinawausagi@nirai.ne.jpか、郵送で宜野湾市愛知38の1 宜野湾郵便局私書箱123号まで。

       ◇          ◇

大学執行部案は建て替え方針/事故記憶は記念碑建立で

 米軍ヘリが墜落した沖縄県宜野湾市の沖縄国際大(渡久地朝明学長)は17日、機体炎上で黒こげになった壁が残る本館校舎を全面的に建て替えるという大学執行部案をまとめ、教職員に正式提案した。壁の保存を求める声が学内外で高まっているが、「事故を記録し風化させないためにモニュメント(記念碑)の建立で代用させる」としている。教授会などに提示された執行部案をもとに教職員らが協議し、最終結論を出す。

 執行部案によると、本館(1号館)はヘリ墜落・接触の衝撃で安全性に問題があり、跡地に新1号館を建設することで政府や米軍に補償を要求する。壁をそのまま保存することについては、①工事費や維持費の自己負担②市民や教職員の心的外傷への配慮③入学志願者への影響など項目の理由をあげ「困難」とした。ただ、壁部分をモニュメントに活用することも検討するという。

 那覇防衛施設局は、「大学側の復旧計画に沿って誠意を持って対応したい」としている。補償額の負担割合は日本側が25パーセント、米国側が75パーセントになるという。


[関連ニュース]
米軍ヘリ事故跡の壁保存に署名4000人(朝日新聞3/11)

投稿者 管理者 : 2005年03月13日 01:04

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