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2005年03月13日

キャンパる:教授退官、その前に 君たちに伝えておきたいことがある

毎日新聞(2005/03/12)

 春。卒業式の季節だが、区切りを迎えるのは学生だけではない。研究・教育活動に長く心血を注ぎ、退官する3人の教授に焦点をあてた。【横浜市立大・今井美津子】

 ◇「大学に希望ある」。なお研究に意欲--東京都立大、茂木俊彦総長(62)
 茂木総長は、同大での24年間を「自由な雰囲気の大学だった」と振り返る。飲み屋で学生と激論したり、ケーキバイキングに一緒に行ったりと、学生と近い教員生活だったという。
 「実は総長にはなりたくなかった」。専門の障害児心理学の研究時間が減ってしまうからだ。総長に選ばれたのは、定年までの2年間を頑張ろうと思っている時だった。総長になって最も不自由さを感じたのは、障害児の保育や教育現場に行けなくなったことだ。
 その上、任期中は都立大など4大学を「首都大学」に統合する問題で大学が揺れた。都と教職員の話し合いは十分だったとは言い切れないが、希望はあるという。
 「教員流出が話題になったが、これまでの蓄積を生かして努力すれば優秀な人材が戻ってくるはず。大学に希望はある」
 4月からは都内の私立大へ移る。「1年目は総長の間に鈍ってしまった『現場のカン』を取り戻さなくては」。あくまで紳士な風ぼうの一方、今でも色あせない研究への意欲を感じさせた。
 最終講義は26日、「共感関係の深化と発達の保障をめざして」をテーマに行う。

 ◇「龍角散」の香りさせ、最後のミニ授業--横浜市立大、鈴木正夫・国際文化学部教授(65)
 「今日は大勢の前で話すので『龍角散』をいつもより多く飲んできました」。2月9日開かれた退官記念コンパは鈴木教授のこの一言で始まった。同大シーガルセンターにOBも含め約100人が集まった。中国文学を専攻し、1年生の中国語を長年担当したことから教授を慕う学生は多い。
 教授は授業中、いつも墨のようなにおいを漂わせていた。正体は龍角散。授業のためのどをよくしておくのだ。コンパでは一層その香りをさせ、最後のミニ授業は「郁達夫の最期をめぐって」と題し、30分間語った。大学入学まもなく、翻訳で読んだのがきっかけで、研究し始めたという。
 最終講義はしない。理由の一つは「大学改革に疑問があるから」。中国文学専攻は現1年生が卒業の時点で終わりとなるため、後任がこない。4月から同大で非常勤教官として教べんをとる予定だ。

 ◇女性「優雅さが必要」--学習院女子大、永井和子・国際文化交流学部教授(70)
 永井教授の専門は日本文学史。源氏物語や更級日記などの平安期女流文学についての研究で知られている。
 1年生の基礎演習(プレゼミ)で、永井教授が「女性は子供を宿すという点においてとても強い生き物で、また男性から見たら化け物である。そんな女性が男性と融合するためには、優雅さが必要」と話したことが強く印象に残っている。まさに優雅な雰囲気の女性だったことからも、深く納得した。
 退官後、非常勤講師などの予定は今のところないという。何らかの形で永井教授の薫陶を受けられる機会があることを願っている。【学習院女子大・永瀬晶子】


投稿者 管理者 : 2005年03月13日 01:06

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