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2005年03月16日

京都私大教連、平和で豊かな日本の将来を作り出すために、憲法・教育基本法の「改正」を許さぬ取り組みをすすめよう

京都私大教連
 ∟●平和で豊かな日本の将来を作り出すために、憲法・教育基本法の「改正」を許さぬ取り組みをすすめよう【京都私教連第61回特別決議】

平和で豊かな日本の将来を作り出すために、
憲法・教育基本法の「改正」を許さぬ取り組みをすすめよう

 戦後日本の平和と民主主義、その骨格をなしてきた憲法・教育基本法は、かってない危機に直面しつつあります。

 背景には、戦後一貫してアメリカの軍事行動に協同歩調を取ってきた日本の安全保障政策があります。最近では9・11テロ事件に端を発するアフガニスタン戦争やイラク戦争への協力と自衛隊の海外派遣、そして日本国民すべてを戦時体制に組み込む有事法制が着々と準備されています。

 憲法を変えようとする最大の狙いは「第9条(戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認)」で、軍隊ないし「自衛軍」を明記して、「戦争できる国」にすることです。その上で集団的自衛権の行使としてアメリカ軍と海外での軍事行動を目指しているのです。

 同時に国民の意識を長期的かつ体系的に改変するために、教育の基本をなす教育基本法を全面的に改めることが企図されています。教育基本法の前文には、「この理想(現在の憲法の理想)の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」と明記され、教育基本法には憲法の精神が貫かれており、国会議員の過半数の議決で行える教育基本法改悪を、憲法を変える「露払い」にしようとしているのです。

 教育基本法は戦前の軍国主義教育への反省と批判から出発して、教育の本質を「個人の尊厳」「真理と平和を希求する人間」育成に求めています。これは人・情報・文化が多様に交流するグローバル化した現代にこそ生かされるべきものといわねばなりません。

 ところが改正の主眼は戦後教育の基本思想を全面的に排除する方向に向けられています。例えば第1条(教育の目的)を(教育の目標)に格下げし、「教育は、人格の完成を目指し、心身ともに健康な国民の育成を目的とする」と一般的内容に換骨奪胎し、「平和的な国家及び社会の形成者」をなくし、「伝統文化を尊重し郷土と国を愛し、国際社会の平和と発展に寄与する態度の涵養」などの愛国主義教育の導入が企図されています。

 また第10条(教育行政)の「教育は、不当な支配に服することなく国民全体に対し直接責任を負って・・・」を「教育行政は、不当な支配に服することなく」と言い換えてその意味を180度変え、政府が教育の目標と方針のすべてを決められるようにしようとしています。

 私学関係者にとって見過ごせないのは教育基本法に「私立学校教育の振興」の条項を設けようとしていることです。これにはおよそ3つの意図があると考えられます。

第1は、私学教育を国のねらいに従属させようとする意図です。私学助成を、政府が立てる教育の目標や計画にそった教育を行わせる補助金として支出し、私学教育を誘導しようとしているのです。

第2は、私学関係者を教育基本法を変えることに賛成させようという意図です。私学関係者を、この条項で「幻想」を持たせて誘導する、そうした意図が見えてきます。

第3は、憲法改悪をすすめる地ならしの意図です。一部与党議員は、「私学助成は憲法違反だ、私学助成のためにも憲法を変える必要がある」と強調しています。「公の支配に属しない」教育などに公金を支出してはならないことを定めた憲法第八九条については、私学助成が第八九条違反にはあたらないことを、はるか以前から文部科学省や内閣法制局も認めているところです。教育基本法に私学振興の条項を盛り込む問題をきっかけに、こうした「私学助成違憲論」を蒸し返し、多くの私学関係者や国民を憲法「改正」論に誘導しようとする意図が感じられます。

 さて、昨年6月10日、井上ひさし氏など9人が呼びかけ人になって「9条の会」が発足しました。呼びかけは、戦争や武力の行使がいかに悲劇をよび、国際紛争の解決にならないこと、その歴史的教訓と戦後日本の歩みを指摘したうえで、9条改憲を阻止して、9条を21世紀の進路にする大切さを説いています。この呼びかけに応えて全国のさまざまな人々が「9条の会」を作り始めています。

 今こそ、平和で豊かな日本の将来を作り出すために、憲法・教育基本法の「改正」を許さぬ取り組みを、全ての国民と力をあわせてすすめようではありませんか。 そのために、組合員全員の総力をあげましょう。

右、決議します。

2005年3月12日(土)
京都私教連第61回定期大会

投稿者 管理者 : 2005年03月16日 02:39

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