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2005年03月18日

文科省、学校法人会計基準を改正 基本金取崩し・貸借対照表注記事項など

 「基本金取崩し」を可能とした今回の学校法人会計基準の改正は,変化の激しい私学経営に対処するための会計上の規制緩和措置と考えられる。これまで安定的な経営維持のために自由な取り崩しを認めてこなかった「基本金」がそのような扱いからはずされる。ここに,私学経営の大きな転換点を感じる。

教育学術新聞(2005年3月10)

 全私学連合(安西祐一郎代表)は、三月十日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において、事務局長会議を開催し私学に関わる当面の諸問題について、文部科学省の担当官から説明を聞いた。そのうち、学校法人会計基準の改正については、高等教育局私学部参事官室の佐野太参事官と徳岡公人調査官が説明した。改正の視点は、諸活動に見合った会計処理の合理化と財政及び経営状況の明確化の二点である。

 ▽改正の趣旨
 少子化の進展など近年の社会経済情勢の変化に伴って、学校法人の諸活動において様々な見直しが行われており、その諸活動に見合った会計処理の合理化や、財政及び経営状況の明確化が求められている。
 このため、公認会計士、私学経営者等の有識者による「学校法人会計基準の在り方に関する検討会」において専門的・実務的な検討が行われ、平成十六年三月に「今後の学校法人会計基準の在り方について(検討のまとめ)」が取りまとめられた。
 この取りまとめを受けて、このほど、学校法人会計基準(昭和四十六年文部省令第一八号)の改正を行うことになったもの。

 ▽改正の概要
 ①基本金の取崩し要件の緩和(第三十一条関係)
 学校法人の基本金は、校地、校舎及び設備などの必要な資産を継続的に保持するために設けられているものである。現行基準上、基本金の取崩しは、学校、学部、学科の廃止、または定員の減少など量的規模の縮小の場合のみ可能とされてきたが、運営方針、教育方法、将来計画等の見直しにより資産を継続的に保持する必要がなくなった場合についても、取崩しを認める。

 ②貸借対照表における注記事項の充実(第三十四条関係)
 学校法人の財政及び経営の状況をより明確にする観点から、他の公共的法人と同様に、引当金の計上基準などの重要な会計方針等を貸借対照表の脚注に記載させ、注記事項を充実する。

 ▽施行予定日
 平成十七年四月一日(平成十八年三月三十一日をもって終了する会計年度(=平成十七年会計年度)に係る計算書類から適用)
 (参考)
 ○第一号基本金=設立当初に取得した教育の用に供する固定資産の価額、及び新たな学校の設置もしくは既設の学校の規模の拡大や教育の充実向上のために取得した固定資産の価額。
 ○第二号基本金=将来取得する固定資産に充てるために、事前に計画的、段階的に積み立てる金銭その他の資産の額。
 ○第三号基本金=奨学基金、研究基金、国際交流基金等として継続的に保持し、かつ、運用する金銭その他の資産の額。
 ○第四号基本金=恒常的に保持すべき資金として、別に文科大臣の定める額(将来の学校法人の不測の事態に備えて所定の運転資金(一か月分の経常経費)の留保を義務づけたもの)。

 「この検討会では、議員立法ではなく政府提出法案であること、一部改正ではなく全面改正とすること、基本理念を示し具体的内容は他の法令に委ねること、できるだけ短く簡素にしてわかり易いことを原則とした。盛り込む項目は、教育の機会均等、義務教育、私立学校の振興、宗教教育など一九項目にわたる」と同中間報告の概要を説明した。
 さらに、検討すべきとした項目のうち、私学助成に関わる憲法第八十九条問題については、「私学は学校教育法等の法律に準拠して設置・運営されているから〝公の支配に属している″という解釈のはか、色々な解釈があり様々な議論はあるが、私学の果たしている役割は大きく、衰退させることのないよう、法令できちんと私学を位置づけていきたい」との考えを述べた。
 保利氏の講演の後、意見交換が行われ、最後に「私学があって日本の教育体系はバランスがとれている。
 これからも私学のため、日本の教育のためがんばっていきたい」と結んだ。また大沼会長は「日本の高等教育に対する公財政支出は対GDP比〇・五%と先進諸国の半分以下である。これは高等教育の多くを私学が担っているからに他ならない」と語るとともに、多忙の申、出席の保利氏に謝意を述べた。
 引き続き、第一二二回総会(春季)の主な協議事項の確認と運営方法について協議し、提案どおり承認して終了した。


投稿者 管理者 : 2005年03月18日 00:13

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