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2005年03月31日

都立大・短大教職員組合、大学管理本部との交渉結果について

東京都立大学・短期大学教職員組合 
 ∟●「手から手へ第2340号」(2005年3月30日)

教員の就業に関する規則(仮称)の制定を確認
「旧制度」教員の「昇給・昇任なし」は規定されず
36協定等は引き続き協議
―昨日の大学管理本部との交渉結果について―

 組合は昨日、大学管理本部との間で専門委員会交渉を行い、教員の特性に配慮した「教員の就業に関する規則(仮称)」を就業規則に加えて制定することなどを確認し、覚書を交わしました。

〈組合と管理本部との間の覚書〉
   覚 書
  就業規則等に関し、以下の5点について、東京都立大学・短期大学教職員組合(以下「組合」という。)と公立大学法人首都大学東京(以下「法人」という。)との間で覚書を取り交わすこととする。
1 就業規則及び下位規程に関し、現時点で未整備の規程については、4月1日以降、引き続き組合と法人との間で誠実な協議を行い、4月末を目標に基本的な諸規程を整備し、労働基準監督署に補正を届け出ること。
2 教員の就業について、別の定めを設けることを就業規則第2条に記載するとともに、4月1日以降、その規程内容について、引き続き組合と法人との間で誠実な協議を行い、4月末を目標にこれを制定すること。
3 上記1・2の協議対象には、未整備規程のみでなく4月1日に労働基準監督署に届け出る就業規則及び下位規程も含むこととし、当該規程については、必要に応じ修正も行うこと。
4 労使協定のうち時間外労働及び休日労働に関する協定、専門業務型裁量労働制に関する協定、休憩時間の一斉付与の除外に関する協定について、同様に誠実な協議を行い、4月末までに協定締結を目指すこと。
5 上記4の労使協定締結までの間における時間外労働等、休憩時間及び勤務時間等の取扱いに関しては、現行を基本とすること。なお、管理職が必要と認めた超過勤務については、超過勤務手当を支払うこと。

 〈3月29日交渉での確認事項〉
1.旧制度教員の昇任の扱いについて
  旧制度教員の昇任の扱いについて、「旧制度のままでは昇任できない」という規定は諸規則・規程にはいっさい明記されていないこと。
2.新制度教員の年俸について
  教員給与規程における記載にかかわらず、新制度教員の基本給に関しては本年1月14日付「法人化当初における基本給決定の経過措置について」に示されたとおりの昇給が行われること。
3.就業規則及び下位規程と諸法規との関係について
  就業規則等の規定が労働基準法をはじめとする諸法規に抵触する場合、諸法規の規定が優先すること。

 〈交渉の中での前進〉
  就業規則等に関しては、これまでの組合と管理本部との間の交渉に加え、3月中旬からは各キャンパス過半数代表者と管理本部との間の協議も行われてきました。
  提示された就業規則等については、文書等の他への提示や学内での配布・集会等への重大な制限、「旧制度給与規則」中に昇給なしの記載、解雇・降任・配置換え・懲戒等に関する理事長らの恣意的な判断を許す規定や解雇・懲戒等の手続規定の不在など、重大な問題が多々含まれている上、4月直前になっての提案で十分な検討の時間もないなど、多くの批判と疑問が、学内からわき起こっていました。組合はこれまでの交渉の過程で、こうした問題点を管理本部にぶつけ、修正を強く迫ってきました。
  その中で昨日の交渉確認事項を含め、当初提案からの主な変更は以下の点です。
  第一に、「旧制度」教員に関して管理本部はこれまで、任期のつく新制度に移らない限り一切の昇任・昇給は認めないと再三繰り返してきました。しかし、当初「旧制度教員給与規則」に明記されていた「昇給なし」の規定が交渉の過程で削除され、さらに昨日の交渉で、「昇任なし」についても就業規則をはじめとする諸規則・規程の中には一切記載がないことを確認しました。管理本部側は、規定には書かなくとも、これまでの方針に変化はないと強弁しています。しかし「昇給・昇任なし」はこれまで組合が再三指摘してきたように、明らかな不利益変更であり、それが規則上明記できなかったことは当然です。規則にも書いていないことをもし闇で行うとすれば、それ自体が重大な問題です。組合は今後、任期のつかない教員にも、これまで通りの昇給・昇任を認めることや、4月からの昇任者についても昇任したままで任期のない制度に戻れることなどを強く要求していきます。
  第二に、「新制度」教員の給与規則には、昇給に関する規定が一切入っていません。これについては、少なくとも2007年度までの間については、基本給昇給についての「経過措置」がすでに提示されており、その「措置」に沿って昇給があることを確認しました。今後、「旧制度」ともども昇給規定そのものを明記することを求めていきます。
  第三に、「教員の就業に関する規則(仮称)」の制定を認めさせたことです。これまでは教育公務員特例法が、とくにその身分が保障されなければならない教員の特殊性に配慮するものとして存在しました。そこでは解雇・降任・転任・懲戒等について、恣意的な決定が行われないため、本人の異議申し立てを含め詳細な手続が規定されているほか、授業等に支障がない限り勤務地を離れて研修する機会の保障などが詳しく規定されていました。組合は、その趣旨を引き継ぎ、教員の特性に配慮する規定を設けるよう、強く要求してきました。これに関しては、具体的内容は4月1日以降の協議にゆだねられています。組合は、教特法の内容や趣旨をふまえ、十分な内容を備えた規則とするよう、協議の中で強く要求していきます。
  第四に、教職員の表現や行動に不当な制限を加えている諸規定のうちで、「教職員は、任命権者の許可なく文書を他に示し、又はその内容を告げる等の行為をしてはならない」などを含む条項を削除させました。また、採用時に「任命権者」への提出を義務づけている書類の中から「誓約書」を削除させました。
  第五に、就業規則等の規定が労働基準法をはじめとする諸法規に抵触する場合、諸法規の規定が優先することをあらためて確認しました。様ざまな自由の制限は、憲法をはじめとする諸法規に明らかに抵触するものです。例えば、正常な業務の妨げとならない職場での文書配布等が制限できないことは、判例などにおいてもすでに認められています。したがってこれらを制限しようとする就業規則等の規定は無効です。組合は、そうした規定の削除や修正を、さらに求めていくものです。
  第六に、4月以降の協議対象として、今後制定される規則・規程類のみでなく、4月1日に労基署に届け出たものも含めて、就業規則及び関連規則・規程のすべてを含めたことです。いくつかの重要な修正を勝ち取ったとはいえ、以下に述べるように未だ多くの重大な問題が未決着です。それらの修正と未制定規則類の制定を、覚書にあるように4月末を目標に、強く求めていきます。

 〈まだまだ重大な問題が残されている〉
  以上のような前進があったとはいえ、重要な問題の多くは残されたままです。
  なかでも最大の問題は、「旧制度」教員の昇給・昇格です。当局側のかたくなな姿勢を打ち破り、これを実施させること、及び規定上も明記させることが重要です。また、上記四で触れたような変更があったとはいえ、「任命権者の許可」なく文書等を配布してなならないなどの規定、あるいは破防法規定など、教職員の表現と行動を不当に制限し、恫喝する多くの規定が残されたままです。内部告発の保証も十分に規定されていません。さらにその他の規則類にも大小様々な問題が残されています。

……後略


投稿者 管理者 : 2005年03月31日 01:07

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