個別エントリー別

« 日本私大教連、「経営困難な学校法人への「対応方針」について(案)」に関する見解 | メイン | その他大学関係のニュース »

2005年04月29日

全大教・日本私大教連、国際人権規約のうち社会権規約第13条2項(c)の留保撤回に関する共同要請書

日本私大教連
 ∟●全大教・日本私大教連 「国際人権規約のうち社会権規約第13条2項(c)の留保撤回に関する共同要請書」

外務大臣
町村 信孝  様
国際人権規約のうち社会権規約第13条2項(c)の留保撤回に関する共同要請書

2005年5月17日
全国大学高専教職員組合(全大教)
日本私立大学教職員組合連合(日本私大教連)

 国際人権規約は1966年12月16日に国際連合総会において採択され、日本では1979年9月21日に発効しました。このうち「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」(以下、社会権規約)第13条2項(c)に規定されている高等教育への「無償教育の漸進的導入」を日本政府が留保し続けていることに関し、「経済的、社会的および文化的権利に関する委員会の最終見解」(2001年8月30日、以下社会権規約委員会)は、日本政府に対し留保の撤回を検討することを強く求め、2006年6月30日までに最終見解に含まれている勧告を実施するためにとった手段についての詳細な情報を含めて、第3回報告を提出することを求めています。

 国会においては、二度にわたって留保撤回の検討の決議がなされました。すなわち、国際人権規約批准承認時の国会審議においては、園田直外務大臣(当時)は「留保条項なしに批准をするのが望ましい姿」「解除する方向に努力をし、また、そういう責任がある」と答弁し(1979年3月16日・衆議院外務委員会)、同委員会が採択した要望決議には、「国際人権規約の留保事項につき、将来の諸般の動向を見て検討を行うこと」が盛り込まれました。さらに、1984年の日本育英会法の制定に際して、衆参両院文教委員会の各附帯決議において「諸般の動向をみて留保の解除を検討すること」が謳われました。

 しかし日本政府は、同規約が批准されて25年余にわたりこの問題を放置したままであり、「解除をする方向に努力」をした経緯を認めることはできません。今日、同条項を留保しているのは、社会権規約批准国151ヶ国中ルワンダ、マダ ガスカル、わが国の3ヶ国のみです。

 あらためて言うまでもなく、日本の高等教育に対する公財政支出は対GDP比でわずか0.5%ときわめて低く、OECD加盟国平均の半分しかありません。そのため日本は、高等教育における家計の自己負担率がきわめて高い国となり、高等教育を受ける機会の均等を損なうまでになっています。

 私たちは、日本の高等教育の発展と、高等教育を受ける機会保障のために、社会権規約第13条2項(c)の留保撤回を求める立場から、貴省に対して以下のことを要請します。

要請項目

1、社会権規約第13条2項(c)の留保を撤回すること。
2、社会権規約委員会の最終見解を社会の全ての層に広く配布するとともに、2006年6月30日までに国連に提出する第3回報告の作成スケジュールおよび手順を早急に明らかにし、国民各層に広く知らせること。
3、社会権規約委員会の最終見解に基づいて、「高等教育における無償教育の漸進的導入」に関して、私ども両組合を含む高等教育関係者、および広範な市民社会構成員の意見を求め、協議を行い、その経過を公表するなどの措置を講ずることを求めます。
以上


投稿者 管理者 : 2005年04月29日 00:27

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi311/mt/mt-tb.cgi/1194

コメント