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2005年04月21日

文科省、国立大学法人及び大学共同利用機関法人における学術研究活動に対する当面の推進方策について

国立大学法人及び大学共同利用機関法人における学術研究活動に対する当面の推進方策について

国立大学法人及び大学共同利用機関法人における学術研究活動に対する当面の推進方策について

平成17年3月31日
科学技術・学術審議会 学術分科会
研究環境基盤部会

1.はじめに
 法人化の趣旨にかんがみれば、国立大学法人及び大学共同利用機関法人における教育研究活動は、当該法人の目標・理念や経営戦略に沿った自主的・自律的な取組によって推進されるべきものであり、国は各法人の意思を踏まえ支援していくことが基本である。
 上記のような考え方のもと、新たな教育研究ニーズに対応し、各法人の個性に応じた意欲的な取組を重点的に支援するため、国立大学法人運営費交付金の中に特別教育研究経費が設けられている。
 平成18年度概算要求における特別教育研究経費の調整方針については、今後「国立大学法人の運営費交付金に関する検討会」で検討され、特に、学術研究関係については本部会で検討することとなる。本部会としては、今後とも、特別教育研究経費により、各法人の自主性・自律性に基づく個性豊かで多様な研究活動を支援するとともに、我が国の学術の発展を視野に入れた必要な施策を講じることは極めて重要であると考えているところである。このため、これまでの審議を踏まえ整理した以下の「平成18年度概算要求に向けて考えるべき視点」について、各法人に対しあらかじめ示すこととした。本部会としては、各法人に対し、この視点を考慮した取組を期待するものである。

2.平成18年度概算要求に向けて考えるべき視点
 平成17年度予算における特別教育研究経費の学術研究関係については、学術政策上の必要性を踏まえつつ、各法人における重点事項としての優先順位を尊重するとともに、各法人の自助努力を重視して、各法人の事業に対する支援が行われたところである。
 なかでも、大学の自主性・自律性の発揮と社会との連携の強化に努めているものや、大学・大学共同利用機関の枠を越えた知の融合の推進に資するものについて、積極的に支援が行われた。
 本部会としては、平成18年度概算要求に当たっては、基本的には平成17年度の考え方を踏まえることが重要であると考える。すなわち、各法人の優先度を尊重した支援を基本的には行うべきである。
 それとともに、我が国の学術の振興を図る上で特に重要と考えられるものについては、各法人としての優先順位に加え、学術政策上の必要性も勘案した上で、適切に支援することも必要であると考える。
 このようなことから、本部会としては、平成18年度概算要求に向けて考えるべき視点を以下に示すこととする。

(1) 各法人からの要望を踏まえて支援すべきもの
 ①継続事業についての考え方
 特別教育研究経費により推進される事業は、各法人の意欲的かつ重点的な取組であるだけでなく、我が国の学術政策上も重要な事業であると考えられるため、継続的な支援の必要性を十分に考慮に入れる必要がある。
 各法人においては、当該事業の進捗状況等を踏まえ、事業計画の有効かつ効率的な推進を図っていくことが求められる。
 また、本部会としても、そのような観点を踏まえつつ、適切に対応することが重要であると考える。

 ②研究環境の基盤整備の必要性
 各法人においては、研究プロジェクトの展開のみを重視するのではなく、法人の特色を活かした基盤的な研究環境についても整備・充実を図っていくことに配慮していく必要があると考えられる。その際、人的、物的両面において継続的な対応が行われることを望みたい。
 特に、本部会の下に設置された学術研究設備作業部会及び学術情報基盤作業部会において、学術研究設備や学術情報基盤の整備について総合的かつ戦略的に取り組むことの必要性が指摘されているところである。
 本部会としては、こうした内容も踏まえながら、各法人の自助努力を基本としつつ、真に必要なものについて適切に支援することが重要であると考える。

 ③学術研究における多様性の確保
 各法人においては、成果の見えにくい研究分野や、比較的少額な資金で推進が可能な研究分野などについても、その重要性に着目し、各法人の個性を伸ばす観点等から推進していく必要があると考えられる。
 本部会としては、学術研究における多様性を確保するため、そのような研究についても支援していくことは重要と考えるが、各法人の平成17年度の要求の状況を見ると、法人内における優先度が必ずしも高くない場合もあった。
 よって、平成18年度の要求においては、真に必要なものについては各法人内の優先順位に加え、学術政策上の必要性も勘案した上で適切に支援することも重要であると考える。

(2) 学術研究推進の観点からの国として支援すべきもの
 ①法人の枠を越えた連携事業の推進
  法人化を契機として、各法人には、社会との連携や、国際的競争力のある研究展開が一層求められている。また、各法人においては、個性ある研究が展開されているが、それらを総合化あるいは統合化し、我が国全体の学術研究をより高い水準に導いていくことが必要であると考えられる。
 そのような状況を踏まえ、法人の枠を越えた連携や、国際的な研究機関等との協力体制の充実、また、分野を越えた連携による新たな研究領域・分野への積極的な研究展開などの取組について、内容に応じて、一定の配慮を行うことが重要であると考える。

 ②研究拠点の形成へ向けた継続的支援
 競争的資金等によって形成された優れた研究拠点等の中には、当該法人の戦略的な取組として新たな研究展開に資するものもあると考える。
 そのような取組の中には、我が国の学術研究を推進する上で極めて重要であると考えられるものもあり、特に国内外の評価が高く、更なるレベルアップ等が期待できるものについては、内容に応じて、一定の配慮を行うことが必要であると考える。

 ③大学共同利用機関及び国立大学の全国共同利用の附置研究所・研究施設等への支援
 大学共同利用機関及び国立大学の全国共同利用の附置研究所・研究施設は、大型の研究施設・設備を設置・運営し、又は大量の学術情報やデータ等を収集・整理する等により、これらを全国の大学等の研究者の共同利用に供し、効果的かつ効率的に研究を推進するなど、当該研究分野における中核的研究拠点として、我が国の学術研究の発展に重要な役割を果たしている。
 これらの機関の研究者コミュニティのニーズを踏まえた、大型の研究施設・設備の運転・維持管理、高性能化等、共同利用への取組に対して引き続き支援を行うとともに、当該研究分野全体を視野に入れた取組に対しても内容に応じて、一定の配慮を行う必要があると考える。
 また、全国共同利用の附置研究所・研究施設以外の国立大学における法人の枠を越えた全国共同利用的な取組に対しても、同様に配慮すべきと考える。


投稿者 管理者 : 2005年04月21日 01:29

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