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2005年04月28日

横浜市立大理事長宝田良一氏―大学の実力、外にアピール(焦点を聞く)

日本経済新聞地方経済面(神奈川)(2005/04/27

 今月一日から、独立法人として再スタートした横浜市立大学。その初代理事長に就任したのが宝田良一氏である。宝田氏は横浜・元町の老舗洋食器店経営者で、経営手腕を大学改革にどう生かすかが問われる。「学内に優秀な教授も学生もいる。そのことをもっとアピールしなければいけない」と、広報活動の重要性を強調する。
 ――学外から見ていた大学と違いはあったか。
 「自分自身、市大はこれまで身近な存在とはいえなかった。ところが、文部科学省が推進する世界トップレベルの研究教育拠点形成プログラム(COE)を預かる優秀な先生もいるし、卒業生には優良企業のトップもいる。専門家の間で知る人ぞ知るだったのだろうが、あまりにも知られてなさすぎた。広報活動をもっと強化したい」
 ――具体的な施策は。
 「例えば卒業生とのパイプを密にしたい。学部単位や教授レベルでは卒業生が誰で、今何をやっているかを知っている。でも大学としては把握していなかった。新入生の七割ぐらいは市外から集まってくる。横浜の知識を持って卒業した人を通じ、情報発信することは大切だと思う」
 ――今後、何を特徴にしていくのか。
 「市大ということで、横浜市とのつながりは常にある。市の持つ資源を活用できる位置にある。国際都市として、国際人脈がつくれる大学にもしたい。教授も学生も海外との交流を増やす。英語で授業することで、カタコトの日本語しかできない外国人でも留学できる環境をつくりたい」
 「学生には入学から二、三年で英語検定のTOEFL五百点をクリアさせる目標をたてている。すでに約八百五十人の新入生のうち六十人は五百点を上回り、平均でも四百五十点ある。インターンシップでは海外でも受けられるよう準備している。今夏にも日本企業の海外事務所で学生が働けるようにしたい」
 ――産学連携にも力を入れている。
 「企業との共同研究は以前からあった。今回初めての取り組みとして、大塚化学と共同研究施設をつくった。こうした連携は積極的に進めたい」
 ――財政問題はどうか
 「財政問題を含め六年間の中期経営計画を進めている。教職員の意識が変われば実行は可能だろう。私自身も教職員向けの研修を担当している。ただ改革があるから学生が集まるわけではない。素晴らしいキャンパスと、卒業して何が得られるかだ」
学内求心力、改革のカギに
 改革の旗を振ってきた孫福弘氏の急逝を受け、松浦敬紀・副理事長と二人三脚で大学改革に取り組む。理事長となるまで接点が薄かった分だけ「情報発信の少なさ」への不満も大きいようだ。広報強化には、学部統合など合理化色が強かった大学改革に前向きなイメージを加える狙いもある。
 米ボストン大卒の国際派。米国人のブルース・ストロナク学長と、国際色豊かな大学づくりを図る。外への情報発信とともに大学組織内の求心力をどう高めるか。成否のカギはそこにありそうだ。

投稿者 管理者 : 2005年04月28日 03:21

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