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2005年04月13日

島根大学職員組合レディース、男女共同参画に関する提言

島根大学職員組合
 ∟●男女共同参画に関する提言(pdf) 

2005 年3月31日

島根大学長
本田 雄一 殿

島根大学における男女共同参画の実現と
次世代育成支援対策推進法にもとづく行動計画策定へ向けての提言

島根大学職員組合レディース
代表 鈴木 文子

 島根大学の中期目標には、女性教員を増やすとの一項が定められています。既に国大協は「2010年までに女性教員の割合を20%にする」と提言を行っており、現在女性教員比率が11%の島根大学は、今後格段の取り組みが求められるといえましょう。
 女性教員数増加のためには、働きやすい労働環境の整備が不可欠です。おりしも、2005年4 月より、次世代育成支援対策推進法が施行され、各事業所は仕事と育児を両立できる職場環境の実現に向けた行動計画を、すみやかに県労働局に提出しなければなりません。教員・職員双方にとって、より働きやすい職場改善策が、今緊急に求められているのです。
 このような情勢に鑑み、島根大学職員組合女性部(レディース)では、島根大学における男女共同参画の実現にむけて、どのような職場改善がおこなわれるべきか検討を続けてきました。また二月には全女性教職員を対象にしたアンケート(以下「アンケート」と省略)を行い、さらに議論を深めました。このような議論の結果にもとづき、以下のような提言をさせていただきたいと思います。ぜひ、ご検討いただき、次世代育成支援対策推進法にもとづく行動計画等に盛り込んでいただけますよう、お願い申し上げます。

1 男女共同参画に関して、企画立案・実践の中核となる委員会の設置をお願いします。

 このような委員会は、既に他大学では広く設置されているものです。特に次世代育成支援対策推進法が施行されれば、行動計画の策定だけでなく、計画の実施状況の把握や点検等を行う委員会が、少なくとも法律の有効期限である十年間はどうしても必要です。早急な設置をお願いいたします。

2 自分の働き方を自分で選択できる雇用制度の創設をお願いします。

 育児中だけでなく、老親に介護が必要になった場合、家族が病気になった場合、あるいは自身が体調を崩している時などは、残業も当然といった通常のペースで仕事を続けるのは一時的に難しくなります。このようなことは、男性であれ女性であれ、長い人生の中では起こりえることです。しかし、通常に勤務するか、でなければ休職か辞職、という百かゼロかといった雇用のかたちでは、自己の限界を超えて仕事をし、また仕事が続けられず辞職する、ということになりがちです。このような場合、もし、希望すれば、比較的仕事の軽い部署に異動でき、仕事も減るかわりに給与も減るが、また事情が解決した時には、通常の勤務に戻って仕事をすることができる、仕事が増える分給料も増える、といった、自分の働き方が自分で選択できるような雇用制度であれば、より働きやすい職場になります。ぜひ導入を検討していただきたいと思います。

3 育児休業をとりやすくする環境づくりのために
 1 育児休業制度の周知徹底と、制度の活用の奨励
 2 育児休業中のメール等での情報発信の徹底
 3 育児休業中の代替要員の確保を制度化
 4 男性の育休取得に対する理解と奨励
をお願いします。
 次世代育成支援対策推進法では、出産した女性の育休取得率が70%以上であり、男性からも育児休業取得者を出すことが、事業所として認定をうけるための条件の一つとなっています。「アンケート」でも、男性も育休をとるべきだとの意見が圧倒的多数を占めています。 男性も育休を取得できるような職場の雰囲気作りをぜひお願いいたします。
 しかし「アンケート」で明らかになった現状とは、女性職員ですら、育休をとることに不安を感じていることでした。その理由としては、「周囲に迷惑がかかる」というのが最も多く、次に「休業中の情報が欠如してすぐ前の仕事に戻れないのではないか」が続いています。
 前者の不安に対しては、休業中もメール等で情報を回し続けることで、後者については代替要員の確保を制度化することで、対応可能と考えられます。特に休業中の交代要員について、「アンケート」では「代わりの人がいないために産休中に仕事に出たことがある」といった声すら上がっています。産休期間ですら十分に休めないのに、育休が取得しにくいのはなおさらのことです。以上につきまして、ぜひ導入をお願いしたいと思います。
 また、育休取得については、子供が生まれれば育児休暇を取るのが普通だという雰囲気が職場にあることが必要です。資料配布などで育休制度の周知徹底をはかること、そして上司の立場から育休制度の活用を奨励していただけるようにお願いいたします。

4 学内の保育室設置+ベビーシッター雇用への助成の実現をお願いします

 島根大学中期目標には、学内の保育環境を整備するという一項が定められました。過日にも、大学側から、学内保育所設置へ向けて要望をきくアンケートなども行われていました。
 私たちの「アンケート」でも、学内に保育設備が必要だという意見は大変多く寄せられました。ただし、それは学内に普通の“保育園”がどうしても必要だということではありません。「産休明け復帰後に困ったこと」という問いに対する回答では、希望する保育園に入園できなかったといった、学内保育園がないことによって生じている問題の訴えはありませんでした。松江市は、フルタイムで働いていればほぼ希望通りの保育園に入れるという、大都市に比べれば恵まれた保育環境であるためと思われます。
 しかしその一方で、「仕事中であっても、保育園から子供が熱を出した等と連絡がくれば、子供を引き取りにいかなければならない」「子供が病気になった時、保育園が預かってくれない」といった窮状が多く寄せられました。子供の病気のたびに休む訳にもいかず、「どうしようもなく、子供を職場につれてきた」といった回答もありました。このような問題は、たとえ学内に普通の保育園を作っても解決されません。
 また、多く寄せられたのが、「搾乳する場所がない」ことであり、「搾乳が十分できなかったために乳腺炎にかかり発熱してしまった」といった深刻な経験も寄せられました。
 以上のような問題に対しては、学内に保育室や休憩室を設置し、搾乳に便宜をはかり、かつ保育園が預かってくれない緊急時に、どうしても必要な短時間だけでもベビーシッターを雇って子供を預けられるようにすれば、対応が可能だと考えられます。21世紀職業財団では、事業所がベビーシッターを雇った労働者に対してシッター代の補助をした場合、事業所が負担した金額の三分の一(一事業所あたり360万円まで)を助成してくれる制度があります。このような容易に獲得できる外部資金は、ぜひ活用していただきたいと思います。
 学内のこのような保育室・休憩室の設置は、通常の保育園を設置するよりはより安価に、そして子供をもつ職員の直面している問題の直接の解決になるものと考えます。
 なお、育児問題のみならず、老親の介護の問題に不安を感じている職員が多いことが、「アンケート」で明らかになりました。老親の介護をめぐる環境が非常に厳しいことは、マスコミ報道などでもよく知られているところです。先述した21世紀職業財団の助成制度は、ベビーシッター雇用のみならず、介護ヘルパー雇用でも適用されます。介護休業の充実とともに、ぜひご検討いただきたいと思います。

5 男女共同参画社会の実現や育児と仕事の両立への配慮について、意識啓発をお願いします。

 男女共同参画社会の実現のために島根大学に必要なことは何か、という「アンケート」の設問で、最も回答が多かったのが「意識改革」でした。そしてさらに明らかになったのは、男女という性の違いで職務内容や待遇に違いがある、とか、中にはセクハラがある、などと感じている職員が少なからずいることが明らかになりました。たとえ、育児休暇等の制度が導入されていても、男女共同参画の意識が職員の間で共有され、制度を利用しやすい職場の雰囲気がなければ、「絵に描いた餅」にすぎません。「子供がいて保育園に迎えに行かなければならないのに、会議がいつも午後5時からに設定されている」という訴えは、職場の理解のなさの表れであると思います。
 研修会の開催や資料配布等により、子育て中の職員へは配慮をするのが当然であり、また男女共同参画社会を進めるのがあるべき大学のあり方だといった、職場環境の醸成をお願いいたします。


投稿者 管理者 : 2005年04月13日 00:33

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