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2005年05月10日

埼玉大学、大宮プロジェクトとは何か?

埼玉大学ウォッチより

大宮プロジェクトとは何か?

埼玉大学・田隅執行部が構想している産官学連携事業計画の中で最大の目玉となる「大宮プロジェクト」の関連資料が近く一般教職員にも公開されることになった。これにより、プロジェクトは全学レベルの議題になる。「大宮プロジェクト」は大学の一般構成員にとって、これまで春の夜のおぼろ月のような存在であった。朦朧として頭上にあることは知っていたが、その輪郭はつかみがたかった。

そもそも「大宮プロジェクト」とは何か? これまで一般教職員が耳にしていたプロジェクトのあらましは、以下のようなものであった。

さいたま新都心に群馬、宇都宮、茨城、埼玉の4大学が核になり、企業、国、自治体と連携して先端科学技術関連の産学官連携大学院をつくる。プロジェクトの具体的構想については、埼玉大学役員会や大宮プロジェクト検討委員会で練りあげている。

では、構想はどのように練りあげられてきたのだろうか? 大宮プロジェクト検討委員会は昨年、大宮プロジェクト・ワーキンググループをつくり、具体的なプロジェクト案の検討を命じた。プロジェクトは教員6人で構成され、昨年11月、計3回の会合をもった。その結果、12月初旬に次のようなアイディアを文書にまとめて、委員会に報告した。①先端科学技術センターを設ける②新産業想像に貢献する産学官連携大学院を設ける③大学院は、統合医療創成科学、複雑系デザイン科学、空間創成情報学、理社融合分野、などを視野に入れた文理工医連合型とする、などの内容。

ワーキンググループ案も、いぜん雲をつかむような話にとどまってしまった。その理由について、ワーキンググループ報告書はその末尾で次のように書いた。「ここでまとめられたものは、提案されたものを並列的に整理したものであり、いずれもWGの総意に基づくものでないことを明言しておく。なぜならば、今回のWG発足に関連して、大宮プロジェクト検討委員会でも議論されたが、先端科学技術研究や開発研究センターを考えるうえでのなんらの境界条件なしで考えざるをえなかったためである。今後の作業を進めるためには、大宮プロジェクトに対する本学役員会の基本的な考え方、他大学の本プロジェクトへの参画意向や認識の程度、ならびに設置しようとしている研究科やセンターについての基本的関係と考え方を知ったうえで、検討する必要があると考える。よって、さらに作業を必要とする場合は、上記についての十分な情報、条件等をご提示いただくようお願いする」。これは報告書の締めくくりというより、丸投げに対するWGメンバーの抗議表明と読めた。

この大宮プロジェクト・ワーキンググループ文書は今年1月の部局長会議で披露された。それ以後、WG、委員会、役員会でどのような議論が繰り広げられ、アイディアがどこまで熟成されたか、などについては、詳細な情報がない。近く配布される関連資料がまたれる。

ところで、埼玉大学上層部から伝わってくる話では、埼玉県、さいたま市からは、大宮プロジェクトをやるのかやらないのか、と返事を迫られているが、まだ、国立大学法人への出資者である文部科学省と予備折衝を始めているわけでもなく、プロジェクトの内容に関しても他大学との連携がまだ煮詰まっていない状態なので、確実な資金源の探しようもなく、先行きは非常に厳しい状況のようだ。

こういう状況下で、決断と実行、トップダウンが売り物の執行部が、なぜ、大宮プロジェクトを朦朧体のまま一般教職員の議論に託そうとしているのか。

推測1 風評とは異なり、実はプロジェクトの骨格が固まったので、微調整のために大方の意見を求めようとしている。

推測2 役員会でも大宮プロジェクトでもWGでも明確なアイディアが出なかったので、やむを得ず今度は一般教職員に丸投げしようとしている。

推測3 一般教職員の間で、大宮プロジェクトに対する否定的な意見が広がるのを待って、プロジェクト検討とりやめの理由にしたい。

(花崎泰雄  2005.5.8)


投稿者 管理者 : 2005年05月10日 00:39

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