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2005年06月08日

自由法曹団、労働契約法制「中間とりまとめ」に対して全国から多数の批判意見を

自由法曹団
 ∟●労働契約法制「中間とりまとめ」に対して全国から多数の批判意見を[団通信第1166号/6/1]より

労働契約法制「中間とりまとめ」に対して全国から多数の批判意見を

東京支部  志村 新(労働問題委員会委員長)

一 山形上山温泉で開かれた五月集会では、改憲阻止に向けた幅広い国民運動を強化する必要性が一致して確認されました。
 ところで、その国民の大多数を占める労働者の実態に目を向ければ、長時間過密労働は依然として改善されず、最近では青年層を中心に非正規雇用が急増しています。低賃金をはじめとする劣悪な労働条件のもとに置かれていても、不平を漏らそうものなら直ちに職を失う危険がきわめて大きいので、耐えられなくなるまで我慢し続けてからひっそりと退職して行く労働者が数多いものと思われます。
 もちろん、労働組合や団員弁護士と巡り会ってたたかいに立ち上がる労働者もいますが、それは一部にとどまり、無法な使用者のもとで、多くの労働者が息を潜めて日々の暮らしをようやく賄っているというのが実情でしょう。
 そのような状態に置かれた労働者が、憲法九条の意義やこれからの日本の国の在り方、ましてや東アジアの平和について考える余裕を持つことは非常に難しいことでしょう。

二 厚労省は、新たに労働契約法制を整備する必要があるとして二〇〇四年四月に「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」を発足させ、同研究会は去る四月一三日に「中間とりまとめ」を行い、これを五月一〇日、労働基準審議会労働条件分科会に提出しました。
 前述した実情を踏まえれば、労働基準法が定める最低労働基準を引き上げるとともに同法にもとづく監督行政を飛躍的に充実させることと並んで、労働契約全般について労働者保護に資する新たな立法措置が求められます。ところが、この「中間とりまとめ」は、「経営環境の変化等に迅速かつ柔軟に対応する」として経営者の利益を重視しこれに資する法制を整える方向を強く打ち出しています(問題点の概要は団通信一一六五号・平井哲史団員の報告を参照)。
 この「中間とりまとめ」に対する意見募集がつぎの要領で開始されています。

募集期間 五月二〇日~六月二〇日(必着)
提出方法 氏名(法人・団体の場合は名称)及び住所を明記し(匿名希望の場合はその旨を明記)、左記宛に郵送、FAX又は電子メールにより提出(様式は自由だが、必ず「『今後の労働契約法制の在り方に関する研究会』中間取りまとめに対する御意見の募集について」と明記)。
〒一〇〇ー八九一六 東京都千代田区霞が関一ー二ー二
            厚生労働省労働基準局監督課 政策係
            FAX 〇三ー三五〇二ー六四八五
            メールアドレス  keiyaku@mhlw.go.jp
 研究会の日程は今年九月まで入っていますが、厚労省は、研究会の最終報告を受けた労政審の答申にもとづき、法案化作業を経て早ければ来春にも国会上程することを目指しているようです。

三 以上のような次第ですので、全国各地の団支部・団員・団事務所が、さらにはつき合いのある労働組合・諸団体にも呼び掛けていただき、簡単なものでも構いませんから多数の批判意見を提出していただくようお願いします。その場合の便宜のために、参考意見案を末尾に掲げておきます(言うまでもありませんが、これをそのまま提出するよりも、たとえわずかでも加除・補正等を行っていただいたほうが適切です。なお、現在までに「中間とりまとめ」に対する比較的詳細な批判を行ったものとして、日本労働弁護団が四月二七日に発表した「『今後の労働契約法制の在り方に関する研究会中間とりまとめ』に対する見解」があります。)。
 また、これを機に、労働組合・諸団体にこの問題の重要性についての理解を広め、全国各地での運動へと繋げていただければと考えます(なお、団本部は労働問題委員会を中心に批判意見書を作成のうえ、六月二〇日までに厚労省に提出する予定です)。
〈参考意見案〉
 「中間とりまとめ」が、(1)過半数組合との合意又は「労使委員会」の決議による就業規則不利益変更についての合理性推定、(2)「雇用継続型契約変更制度」、(3)「解雇の金銭解決制度」、(4)試用を目的とする有期労働契約(「試行雇用契約」)をそれぞれ導入しようとしていることに対して、強く反対します。
 また、労働契約法制づくりにあたっては、労使が対等の立場にはないという現実を踏まえて労働者保護に役立つことこそを第一義とすべきであり、労働条件は「労使の自主決定」に委ねることを基本とするという発想は改めるべきです。


[参考]
労働契約法制「中間とりまとめ」の問題点[自由法曹団、団通信第1165号5/21]

投稿者 管理者 : 2005年06月08日 00:18

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