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2005年08月04日

ある都立高校教員の手記―授業中の発言にまでも「厳重注意」―

学校に自由の風を
 ∟●ある都立高校教員の手記―授業中の発言にまでも、「厳重注意」―より

◆「厳重注意」◆

 私は、ある都立定時制高校につとめる社会科の教員ですが、さる5月の連休明けに都教委に呼ばれ、指導部長から直々に「厳重注意」を受けました。「厳重注意」の理由は、私が卒業式の前の授業で、(君が代斉唱時に)起立しない、歌わない自由があると生徒に説明したことが、学習指導要領に反した不適切な指導になるからだとのことでした。

 この日、支援に駆けつけてくれた人たちが指導部長室のある都庁第2庁舎29階まで同行してくれました。しかし、廊下には十数名の指導部職員が待ちかまえていて、支援に来ていた人たちの行く手を妨害しました。私は支援者の声援に送られながら、指導部の一角にある指導部長室に入りましたが、そこにも数名の職員が部屋の奥にいた指導部長との間に立っていました。「厳重注意」なる行為は、途中で私は抗議の声をあげたのですが、ものの2、3分であっけなく終わりました。

 今年3月はじめに行われた卒業式で、私が担任をしているクラスのなかで出席していた生徒全員が君が代斉唱中に着席しました。全員といっても1学年1学級の小規模な定時制ですので、人数でいえば数名でしたが。その原因になったかどうかは分かりませんが、私は卒業式直前の授業で、生徒に憲法で保障された権利、つまり内心の自由について話をしたうえで、(繰り返しにはなりますが)卒業式で立つ、立たない、歌う、歌わないは生徒一人ひとりの判断の問題であって、強制されるものではないという趣旨の説明をしました。

 一昨年10月に都教委が出したいわゆる「10.23通達」と付属する「実施指針」なる書類によって、都立学校での入学式、卒業式において日の丸掲揚や君が代斉唱をはじめ、式の実施内容に関してあらゆる細かい部分まで都教委に干渉されるようになりました。そして、我々教職員は、君が代斉唱時に日の丸に向かって起立し、歌うことを職務命令によって強制されることになりました。さらに、昨年の後半、教育委員会から校長に新たな「指導」がされ、生徒に対して「学習指導要領に基づいて適切な指導をするよう」、つまり起立して君が代を歌うよう指導することが新たな職務命令として追加されました。

 私の職場の校長は、新たな「指導」に基づいて、内心の自由について予行で生徒に説明することも、この時期に授業で説明することも許されないと2月末の職員会議で言いました。普段の授業で内心の自由について生徒に説明するのは構わない、と付け加えましたが。なぜ、普段の授業でよくて、「この時期」にはいけないのか、何の説明もありませんでした。むろん説明できるはずもありませんが。


投稿者 管理者 : 2005年08月04日 01:28

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