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2005年08月30日

海外事情(アメリカ):博士号取得後、ポスドクになる地球物理学者が増えている

nature

博士号取得後、ポスドクになる地球物理学者が増えている

 ポスドクに変化(Postdoc Creep)が起こっている。アメリカ地球物理学連合(AIG)および地質学研究所が毎年実施している調査によれば、アメリカの地球物理学分野で新たに博士号を取得した後、ポスドクになった人々の割合が、4年間で50%近く増加したという。1999年には、博士号取得者のうちポスドクになった人々の割合は40%未満にすぎなかった。しかし、2003年には、58%が終身雇用よりもフェローシップの地位を選んだことが、今月発表された同調査から明らかになった。

 一方、地球物理学分野のポスドク数は増加しているが、ポスドクと他の職業との給与格差は依然大きいままである。大学のポスドクの平均給与は約39,000ドルで、最低水準の報酬であるのに対し、博士号取得後、企業に就職した人々の平均は70,000ドルである。

 しかし、地球物理学者を巡る状況は悪いばかりではない。景気低迷にもかかわらず、2003年度卒業生の大多数が、同分野で仕事を見つけ、ほとんどの卒業生が仕事に満足していると報告している。博士号取得後にポスドクになる割合も、ライフサイエンス分野に比べるとはるかに低い。同分野では、博士号取得後のポスドクがデフォルトになっている。

 しかし、ポスドクになる地球物理学者が増加していることは懸念される。他の学問分野の研究者たちよりも、地球物理学者の方が、大学を卒業して博士号を取得するまでの間に働く傾向が高い。このことは、彼らの能力が高く、ポスドクにならなくても雇用される可能性が、理屈の上では高いことを示している。

 したがって、ほとんどが博士号取得後に終身雇用を見つけられず、ポスドクと企業で勤務する人々との給与格差に依然として隔たりがあるならば、大学を卒業したばかりの地球物理学者たちにとって、大学院で研究の道に進む励みとなるものは少ない。少なくとも政府や大学において長期的な雇用を拡大する唯一の方法は、アメリカ政府が地球物理学に対する資金提供を増やすことであるが、その可能性は低いだろう。


投稿者 管理者 : 2005年08月30日 01:00

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