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2005年09月05日

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス跡地の取得と立命館大学の説明責任

「広報もりやま」2005年9月1日号

 下記は,「広報もりやま」2005年9月1日号に掲載された「平安女学院大学びわ湖守山キャンパス跡地を取得」との見出しをもつ記事である。
 この記事では,同キャンパス跡地をめぐる経過について,守山市は平安女学院がキャンパス移転・統合の「一方的な決定」を行い「交渉の場の設定もままならない」状況で「着々と移転の準備が進められていく中」,平安女学院が次のような意向を持っていることを学校法人立命館を通じて「聞き及んだ」とされている。すなわち,「平安女学院は、将来、守山キャンパスを立命館が活用することになるなら、守山キャンパスを市に無償譲渡する。同時に県に対する債務を継承してほしい」と。
 このプロセスは,通常の市民感覚からすれば,腑に落ちないところが多い。第一に,立命館が活用することを条件にキャンパスを無償譲渡する,同時に県の債務も継承してほしいという「この申し入れ」について,守山市は直接の責任当事者である平安女学院ではなく,立命館から聞いたとだけ説明されている。「この申し入れ」は,平安女学院からの正式な書面においてなされていなかったのだろうか。もし,正式な文書が存在しているならば,わざわざ,その事実関係を「立命館から聞き及んだ」とは表現しないであろう。文書の場合日付もあるはずだから,○月○日にこのような申入書が来たと書くはずである。したがって,守山市のその後の対処は,平安からの正式な申し入れ文書ナシで進められた可能性が高い。5月17日の守山市と立命館との市立守山女子高校移管の覚書調印は,こうした状況の中で,すなわち平安の意向を「聞き及んだ」というだけの状況のなかで,先行された可能性が高い。もし,そうだったとすれば,それは密室協議のなせるワザであったのだろう。

 第二に,守山市と平安女学院との責任ある両者の間で進められるべき重要な手続きにおいて,全く関係のない立命館が介入していることである。「守山キャンパスは立命館が使うのだったら市に返還する」という平安の伝言を当の立命館が守山市に伝えている。これは図々しいというか,意図が丸見えというか,下記の守山広報の表現があまりに正直に事の経過を表現しているようにも思え,読んでいる者の方が面食らう。2005年度の守山市議会の議事録が入手できないのでわからないが,ここら辺を市議会でどのように報告されたのか,是非知りたいと思う。

 こうした守山キャンパス取得劇と関わって,別途,立命館大学は平安女学院と間で「協力関係」という名の支援・被支援関係を形成している。新聞報道された平安女学院高校の入試特別枠の設定もその一つである。ただ,それだけではないはずである。両大学の関係の総体について,特に地域住民と関係において,キャンパスを無償取得する立場にある立命館大学の説明責任が問われているが,未だにそれはない。
 なお,下記の記事では,現守山キャンパスの総価値は約32億円であると鑑定結果が出たとされている。

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス跡地を取得

 平安女学院大学びわ湖守山キャンパスの高槻統合問題は、同キャンパス跡地を本市が無償譲渡を受けることで解決することとなりました。今回は、ここにいたる経過などについてお知らせします。

経過
 平安女学院大学びわ湖守山キャンパスについては、昨年の4月、高槻へ統合するという平安女学院の一方的な決定を受けて、その存続を求めるべく最大限の努力を払ってきましたが、経営上の問題から平安女学院側の意思は固く、交渉の場の設定もままならない状況が続いていました。年度末を迎え、着々と移転の準備が進められていく中、本市としては、支出した多額の補助金を保全すべく、法的措置をも念頭に置きながら善処を求めてきました。

解決に向けて
 そうした中、守山女子高等学校の移管に関連して、「平安女学院は、将来、守山キャンパスを立命館が活用することになるなら、守山キャンパスを市に無償譲渡する。同時に県に対する債務を継承してほしい」との意向があることを学校法人立命館を通じて聞き及びました。
 本市としては、このまま争いを続けることになれば、守山キャンパス跡地が何の活用もされることなく長期間放置されることになりかねないことや、新たな社会問題を引き起こす可能性もあることなどを考慮すると、この申し入れを受け入れることは妥当かつ、これ以上の解決策はないと判断しました。また、将来、守山キャンパス跡地が立命館に本来の学校用地として活用され、大学教育を含めた学校教育活動が展開されることにより、本市が進めてきたまちづくりが継承され、まちの発展にも寄与することを考えると、新たに県に対する平安女学院の債務を負担しても、それに見合う十分な効果が見込まれると判断し、この申し入れに応じることにしました。
 
滋賀県の承認
 去る8月10日、県は平安女学院が守山キャンパスの施設・設備を本市に対して処分することを承認するとともに、処分制限財産の残存価格に対する補助金相当額6億1千7百万円余を納付するよう、平安女学院に通知しました。

債務継承
 この納付金については、譲渡を受ける守山キャンパスの資産に県の補助対象資産である施設・設備が含まれているため、これにかかる債務を本市が引き継ごうとするものです。本市は、この債務を継承する中で守山キャンパスの土地・建物を取得することにしました。
 なお、守山キャンパスの土地と建物は、本市が平安女学院に対し支出した補助金(25億6千5百万円余)と今回の県への納付金(6億1千7百万円余)を合算した額に匹敵する価値があるとの鑑定結果が出ています。

補正予算
 以上のことから、滋賀県への納付金と、守山キャンパス跡地取得後の維持管理経費について、去る8月23日開催の市議会臨時会に平成17 年度守山市一般会計補正予算を提案し、慎重な審議の結果、原案どおり可決されました。

キャンパス跡地を取得
 市議会で可決されたことを受け、守山キャンパス跡地は、8月下旬、学校法人平安女学院から所有権を移転して本市の所有物件となる予定です(8月23 日現在)。その後は、10月,11 月に開催予定の滋賀県私立学校審議会の正式答申などを踏まえ、教育施設として活用されることを前提に、学校法人立命館に無償譲渡する予定です。
 なお、市が所有している間、可能な範囲で教育やスポーツ大会の 会場などに利用する予定です。
 女子高校移管対策室


投稿者 管理者 : 2005年09月05日 02:45

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