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2005年09月26日

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟、控訴人川戸佳代さん 「控訴審判決を前にして」

平安女学院大学 守山キャンパスの存続を守ろうの会
 ∟●控訴審判決を前にして(平成17年9月25日)
平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会
 ∟●控訴人川戸佳代さん,「控訴審判決を前にして」 (9月25日)

平成17年9月25日

控訴審判決を前にして

平安女学院大学4年生
川戸 佳代
  

 大阪高裁(大和陽一郎裁判長)に控訴した就学権確認訴訟の判決が28日13時10分から言い渡されます。

 学校法人平安女学院(山岡景一郎理事長)は、滋賀県および守山市からおよそ34億円という補助金を受けて2000年に"びわ湖守山キャンパス"を開設しました。法人は補助金を受けるにあたって守山市との間で基本協定を締結しました。この基本協定には、平安女学院大学を守山市三宅町に建設することや入学定員などが定められていました。私たちは地裁段階から、これら補助金交付に係る基本契約が入学者を第三者とする「第三者のためにする契約」、若しくは「規範設定契約」の成立要件を満たしているため学生の教育を受ける権利を認めよという主張をしてきました。しかしながら、大津地裁の原判決では、争点が判示される事はありませんでした。

 私が学院側から入学前に示された学生生活は、「地域に開かれたキャンパス」を特色としたびわ湖守山キャンパスで学ぶことでした。私たち「平安女学院大学守山キャンパスの存続を守ろうの会」は入学前に示された守山キャンパスでの教育環境が守られるべきであると思い、守山キャンパスの存続を求める活動を行ってきました。守山市長は12月議会で「・・・もっと立地の悪いところでも、たくさん学生が集まって立派な大学経営をされているところはございます。これは、やはり経営の怠慢としか私には考えられません」と述べています。このように経営努力を怠った学院側は、守山キャンパスにおける私たちの「学び」を奪いました。

 大学倒産時代が現実となった今日、キャンパスを廃止したのは平安女学院大学ばかりではありません。しかしながら、ここで問題とすべきは平安女学院のように学生を無視した対応が他の大学においては見られないということです。
①石川県の七尾市が約10億円の補助金を投じて設置された七尾短大は、募集停止を余儀なくされましたが、2003年の春に最後の在学生を同大キャンパスからしっかりと送り出しています。
②北見市が約25億円を投じて1977年に設置された北海学園北見大学は、自治体の了承を取り付けたうえで、2006年3月末をもって北海学園北見大学を北見キャンパスから撤退させ、同年4月より札幌市内のキャンパスに移転させることを決めました。入学前に移転を知らされなかった学生は、北見キャンパスで卒業まで就学することになっています。
③山口県と萩市が40億円の補助金を投じ1999年に開学した萩国際大学は、今年6月に民事再生を裁判所に申請しました(定員割れが直接の理由で民事再生に至ったのは初めてのケース)。その際の報道によると、安部一成同大学理事長は「責任持って卒業まで面倒を見ることが社会的責任」、「学生や保護者には申し訳ない。学生が卒業するまではきちっと面倒をみる」と述べています。さらに、これを受けて中山文部科学相は会見で「教育的な観点に立った再生計画」の必要性に言及しています。

 このような例からも、在学生の契約を遵守することは、私立大学としての社会的責務(USR)であるということが浮き彫りになってきています。
 今回は、教育的観点から争点に踏み込んだ判決が示されることを期待しています。


投稿者 管理者 : 2005年09月26日 00:15

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