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2005年10月19日

首都大学東京、事務職員の声をきけ 四輪車の欠かせない一輪

だまらん
 ∟●事務職員の声をきけ:四輪車の欠かせない一輪

事務職員の声をきけ:四輪車の欠かせない一輪[2005/10/17], [2005/10/18]

1. イントロダクション

 都立大・短大組合は、「手から手へ」(2367号)で、 「都派遣職員・固有職員アンケート結果」 を公開した。
 10月13日現在、73名の都派遣職員・固有職員に対してのアンケート結果だが、これを読むと今さらながら大学における事務職員の重要さを考えざるをえない。折しも8・1事件 以降の都立大・首大の様子を一人の事務職員の目で見たらどう映ったかが、 事務屋のひとり言のサイトで公開されている。一人の事務職員から見える大学像というのは、必ずしも正確な実像ではないという声があるが、それを言えば、一人の大学教員の目で見た大学像も、一人の助手から見た大学像も、一人の大学生の目で見た大学像も、まったく同じ理由から正確な像ではないので、基本的にその信頼性に大差はない。
 大学という組織は、学生、教員、助手、事務職員の四輪があって初めて前へ進むことのできる四輪車なのだが、それにまたがって運転しようとする学長や理事長が、4つの車輪の存在を忘れて、ただ思ったところへ行こうとしても、うまく運転できるものではない。四輪車の特性を忘れて、レールの上を走ろうとしたり、はしごを登ろうとしてもそれは無理なのだ。
 4つの車輪の中で、おそらく一番目立たない存在が事務職員である。しかし、実は、事務職員の役割は、極めて大きい。教員との接点、学生との接点を持ちながら、効率よく仕事を進めていかねば大学は動かないし、両者の接点を良好な状態に保つことは、かなりの努力を要する。
 今回は、都立大・短大組合によって発表された「都派遣職員・固有職員アンケート結果」を読み、その回答の傾向を分析した。

…(中略)…

4. 改善運動は進むか?

 行政改革の一環として、公務員削減が旗印に掲げられたのは、記憶に残るだけでもすでに20年以上経過している。国公立大学の職員も例外ではなく、事務職員の数は年々減らされてきた。すでに15~16年前ですら、専任の職員がたった1人になってしまった、と嘆く地方国立大学の図書館の話を聞いたことがある。
 事務職員は、大学では縁の下の力持ちである。現代社会では、新しいコンピュータ・システムの導入で「合理化」する、と言って実質的には人減らしをする、そんな方法がすっかり定着してしまった感があるが、人を相手にする(人を教育する)現場で、事務職員の数が減るということは、教育を受ける学生へのサービス低下、自分の研究を始めたばかりの院生への雑用のおしつけ、教員の事務仕事の増加による授業や研究の質的低下、助手の仕事量の増加、そして少数事務職員への仕事の集中を意味する。
 首大の表向きの理念とは別に、裏側の素顔が、「リストラ」にあり、東京都の財政を救うためであると噂されたが、法人化した大学が本当の意味での「すばらしい大学教育」と「大学でのすばらしい研究活動」を実現するためには、事務職員もおろそかにしてはいけない。事務の窓口に行って、学生も助手も教員も、大学のために働いてくれている職員に感謝の気持ちを持てるような、そんな大学はすばらしい。そのような大学を実現するためには、事務職員の労働環境の改善が不可欠である。実利的な意味での大学の社会貢献を議論するのは、まず、大学内の諸組織が十分に機能してからの話ではないか。
 派遣職員、固有職員の労働環境を改善することは、首大にとっての当面の1つの大きな課題であろう。しかし、任期付きの職員だけで「安上がり」に大学を運営して、よい大学になるとは思えない。ここにも、首大の抜本的問題が残されている。 2004年7月16日、 東京都立大学総長から出されたコメントを思い出してしまった(以下の抜粋を参照)。
[2005/10/18]追加

法人固有職員がすべて任期付き雇用であり、都からの派遣職員も派遣期間が限定されている(「資料」のこの部分、3年以内(10年まで延長可)の記述は、「公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律」に基づくと考えてよいか)。
 この案にはまったく賛成できない。これでは優良な人材を集めることもできないし、育てることもできないであろう。人事面での不安定性ばかりが強まる結果、大学事務に関する経験の蓄積、専門性の向上も、さらには大学づくりに向けての積極的な政策提案も期待できない。
事務組織、事務系職員の問題等についてのコメント(東京都立大学総長,2004年7月16日)

事務系職員の身分等の問題 * 都派遣職員の派遣期間は派遣法に基づくものである。 * 固有職員については、当面、即戦力の任期付き職員とする。

事務組織等に関する意見への回答について(東京都大学管理本部,2004年9月6日)


投稿者 管理者 : 2005年10月19日 00:18

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