個別エントリー別

« 富士大学解雇事件、「川島さんを支援する会」メール・ニュース34号 | メイン | その他大学関係のニュース(主に大学別) »

2005年10月21日

埼玉大学、部局長会議規則の変更案

埼玉大ウオッチ

部局長会議規則の変更案

以下は、埼玉大学労組や同大学教職員過半数代表らを憤激させている話題だ。ニューヨークタイムズの標語 All The News That's Fit To Print をもじってAll the campus news that’s fit to laugh atを掲げる『埼玉大学ウォッチ』だが、この話を載せるにあたっては、さすがに忸怩たるものがあった。埼玉大学最高指導部のうちにある知的レベルの低さ、いやそれ以前の非常識を、場合によっては悪意を、結果的にキャンパスの塀の外にさらけだすことになるからだった。

学内情報によると、10月13日の第12回部局長会議で、議長である田隅三生学長が「国立学校法人埼玉大学部局長会議規則改正案」を示した。それによると、

①現行第2条の「部局長会議は、学長と各部局及び各部局間の意思疎通を図ることにより、機動的な大学及び学部運営の促進を図る」を「部局長会議は、学長と各部局及び各部局間の意思疎通を図ることにより、機動的な大学及び学部運営の実行を担う」と変更する。

現行第5条「部局長会議は、学長の諮問に応じて、大学・学部の計画及び運営にかかわる事項について協議する」のあとに、第2項として

②各学部長と学部長でない研究科長、各機構長、事務局長は、「部局長会議で承認された事項及び役員会が決定し部局長会議に示した事項を各部局で執行する」をあらたに加える。

この案に対して、普通の常識を持った教職員から、①国立大学法人法にも学校教育法にも法律上の根拠を持たない「部局長会議」を、法律上の根拠を持つ「教授会」および「学部長」の上位に位置させ、学部長を事務局長と同列の決定執行者とし、教授会メンバーを学部長を通して学長・役員会の一方的指揮・命令下に置こうとするものである②国立大学法人法、学校教育法、さらには他の学内諸規程と法的整合性を持ち得ない、と厳しい批判が噴出している。

さらに、「部局長会議で承認された事項及び役員会が決定し部局長会議に示した事項を各部局で執行する」という追加規定のおろかさ加減も槍玉にあげられている。役員会の決定については、国立大学法人法と埼玉大学役員会規則によって①審議や議決権限を持つ事項②会議成立の要件③議決の要件が定められている。

しかし、部局長会議は、国立大学法人法や学校教育法に根拠を持たず、学内規程だけで設置されている「協議機関・学長諮問機関・調整機関」機関である。したがって①審議や議決権限を持つ事項②会議成立の要件③議決の要件は、現行の埼玉大学部局長会議規則の規則では定められていない。

学長が議長をつとめる部局長会議で、上記①②③が定められていないまま「承認された事項」について、学部長、研究科長、機構長が「執行」責任を負わされることになれば、部局長会議は学長独裁体制を現出する装置になる、という批判が出ている。

ところで、いったい、だれがこの改正案を書き下ろしたのか。その情報はまだ『ウォッチ』に届いていない。いずれにせよ、組織運営の規則作りに無知な人物の手になるものだと推定できる。

いや、ひょっとすると、そのような①②③を書き忘れたという間抜けさ加減だけの話ではないのかもしれない。

2005年4月19日付で“部局長会議がキャンパス屋外での禁酒令を出した”ことがあった。このとき埼玉大学副学長兼全学教育・学生支援機構長である貝山道博理事は教職員へのお知らせで次のように書いた。「4月14日の部局長会議で、構内屋外での飲酒の全面禁止を決定しました」(こちら)。このとき、『埼玉大学ウォッチ』は「部局長会議に決定する権限があるのか?」と疑問を呈した(こちら)。

ひょっとしてそのころから、部局長会議は、いろいろのことを決定していたのかもしれない。だとすれば、議決の要件などいまさら必要はないわけだ。『埼玉大学学報』が法人化以後、事実上の廃刊状態になっているのも、こうした恣意的な大学運営と無関係ではないのかな、と疑りたくもなるような、ひどい状況である。

(花崎泰雄  2005.10.19)


投稿者 管理者 : 2005年10月21日 00:13

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi4/mt/mt-tb.cgi/658

コメント