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2005年10月31日

自民党新憲法第二次案

許すな!憲法改悪・市民連絡会
 ∟●「国を愛する責務を共有する国民」と「戦争のできる国」をめざす自民党新憲法案(2005年10月28日)
自民党新憲法第二次案(現行憲法対照)

「国を愛する責務を共有する国民」と「戦争のできる国」をめざす自民党新憲法案

【はじめに】
自民党新憲法起草委員会(森喜朗委員長)は10月28日、来る結党50周年大会(11月22日)で採択する「新憲法案」をまとめ、党政審・総務会で了承された。この新憲法案は8月1日に発表された「第1次案」に「前文」部分を付加し、「9条」部分については再度書きあらためたものである。

「新憲法案」の「前文」では「国を愛する責務を共有する国民」という極めて復古主義的立場を導入し、「9条」では第1項を残すとしながらも第2項を全面的に書き変え、国の平和と独立、安全の確保のための「自衛軍を保持」し、戦争を合憲化して、「国際社会の安全確保」と「緊急時の秩序」のために国の内外で軍事的行動をすることを明確にした。

今回の「新憲法案」は、これらに加えて、従来の案でうち出された「第3章」の「国民の権利及び義務」に関する部分で、憲法の意味・意義を転倒させ、近代立憲主義原理を否定しようとする立場と、「第96条」の憲法改正条項を大きく緩和させ、自民党がめざす今後の国作りのために憲法改悪をいっそう容易にしようとする立場などが示されている。

新憲法草案は憲法「改正」という形ではなく、「新憲法案」という全面改憲案の形をとっているが、「前文」を全面的に書き変えたほかは、上記の「9条」「第3章」「96条」の改変にとどまっている。にもかかわらず「新憲法案」としている意味は、ひとつには自民党の中に根強い「押しつけ憲法論」「自主憲法制定論」など現行憲法の「正当性」に対する疑問の反映としてのものであり、いまひとつは歴史的な危機に直面する日本社会にたいする自民党の側からの全面的な社会改革・革命綱領としての位置づけを持たせようとするものであり、党創立50周年という区切りにおいて自民党としての独自性を持ったものを示そうとしているからに他ならない。

同時に上記の指摘と一見矛盾することであるが、今回発表された草案の「前文」部分にはっきりと現れているように、公明党や民主党など他の政党との妥協による改憲案づくりを意識し、4月4日に発表された「小委員会要綱」や、7月7日に発表された「新憲法試案要綱第一次試案」よりも「自民党らしい」復古主義的立場を薄めるよう一定の配慮がなされていることが特徴でもある。これは自民党とその支持基盤層に存在する復古主義的・国家主義的傾向、ナショナリズムに配慮し、その「独自性」を一定程度許容しながら、なおかつ民主党などの決定的反発を買わないように配慮することで、今後の改憲案調整作業に道を開けることを狙ったものである。これらの点については当然、党内の両側に不満が残るのも避けがたく、正式に採択する大会の前後や、将来、改憲発議のための案文づくりの際に問題が噴出することも十分にあり得ることである。

ともあれ、この自民党新憲法案は私たちが指摘してきたように、「欧米列強並に『戦争のできる国』となることをめざす」ものであり、「ナショナリズムとグローバリズムの結合による『戦争をする国』づくりをめざす」ものであり、「新たな歴史反動」の綱領案であるといわなければならない。

なお、第3章以下は自民党が8月1日に発表した「新憲法第1次案」と基本的には同じであり、その検討は、時間の都合で筆者が8月3日に発表した「欧米列強並に『戦争のできる国』となることをめざす自民党改憲草案」を添付することで代替することをお許しいただきたい。但し、「新しい人権」に関する項は大幅に書き加えられているので、この検討は本稿においても書き加えることにする。 ……

[新聞報道]
■護憲派は怒りの声、改憲派は軍明記「当然」 自民新憲法草案
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-7982-storytopic-1.html
■自民党新憲法草案:佐高信さんら憲法行脚の会が反対声明
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20051030k0000m040041000c.html
■自民党新憲法草案 独自派『歴史、伝統ない』
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20051029/mng_____kakushin000.shtml
■9条に『自衛軍』を明記 新憲法草案自民が決定
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20051029/mng_____sei_____005.shtml
■旧民社議員も憲法草案まとめる 民主に提言へ
http://www.asahi.com/politics/update/1029/002.html
■自民が新憲法草案決定、自衛軍保持を明記
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20051028i213.htm
■自民新憲法:民主、公明両党に配慮 改憲の実現性を優先
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20051029k0000m010156000c.html
■経済界、自民憲法草案を評価
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20051028AT1F2801D28102005.html
■県内護憲派、一斉に反対 自民新憲法草案、改憲阻止行動を強化
http://www.topics.or.jp/News/news2005103004.html
■海外での武力不行使が重要 前原氏、自民憲法草案で
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2005103001000382
■自民憲法草案:自衛権の制約も示すべき 民主・前原代表
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20051031k0000m010087000c.html

投稿者 管理者 : 2005年10月31日 00:00

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