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2006年01月08日

中労委、大阪教育合同労組の救済申立てを棄却 申立人適格は認める

中労委、門真市・門真市教育委員会不当労働行為再審査事件

 門真市と同市教育委員会が組合事務所の貸与を拒否したのは不当労働行為だとして、大阪教育合同労組が救済を求めた事件で、中央労働委員会は12月16日、組合側から出されていた救済(再審査)申立てを棄却した。初審は適用法規の異なる労働者を組織する同労組の申立人適格を否定したが、中労委はこれを認めたうえで、救済(再審査)の申立てを棄却している。

門真市・門真市教育委員会不当労働行為再審査事件
〔平成16年(不再)第61号〕再審査命令書交付について

 中央労働委員会(会長 山口浩一郎)は、平成17年12月16日、標記事件の再審査命令書を関係当事者に交付しましたので、お知らせします。
 命令の概要等は、次のとおりです。

1 当事者   再審査申立人 : 大阪教育合同労働組合(大阪市所在)〔公・私立学校等に勤務する教職員により組織されているいわゆる『混合組合』組合員約300名〕
  再審査被申立人 :
(1 )門真市(地方自治法の普通地方公共団体)
   同 : (2 )門真市教育委員会(地方自治法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づく行政委員会)

2 事案の概要等  (1)  本件は、大阪教育合同労働組合(「教育合同」)及び同傘下の門真守口支部の申し入れにかかる支部組合事務所の貸与について、門真市(「市」)及び門真市教育委員会(「市教委」)が、他の職員団体や労働組合には組合事務所を貸与しながら、支部には貸与を拒否していることは不当労働行為であるとして、(a)組合事務所の貸与、(b)陳謝文の掲示を求めて救済申立てのあった事件である。
 (2)  初審大阪府労委は、(a)市教委は市の執行機関の一部に過ぎず、独立した権利義務の帰属主体とは認められないから被申立人適格を有していない、(b)一つの労働者の団体が労働組合法上の労働組合と地方公務員法上の職員団体の両方の法的権利を同時に有し、その二つの側面を使い分けることができるという二面的性格の容認は現行法の予定するところではないところ、教育合同は、地方公務員法適用の非現業職員が主体となって組織されており、その法的性格は職員団体であるので、労組法7条1号の不利益取扱いに関する申立てについては格別、同条2号、3号に係る申立てについては申立人適格を有していない、として、申立てをいずれも却下した。
 (3)  教育合同は、この初審命令を不服として、再審査を申し立てた。
 (4)  争点 (a) 市教委の被申立人適格
(b) 教育合同の申立人適格
(c) 組合事務所の貸与拒否が支配介入にあたるか

3 命令の概要等
 (1)  命令主文要旨 1)  初審決定中、市に対する申立てを却下した部分を取り消し、同部分にかかる救済申立てを棄却する。
2)  その余の再審査申立て棄却

 (2)  判断要旨 ア  争点1(市教委の被申立人適格)
 市教委は独立した権利義務の主体ではないので、被申立人適格を有しない。
イ  争点2(教育合同の申立人適格)
 教育合同が職員団体としてしか認められないと解すると、労組法が適用となる組合員であるにもかかわらず、自らの労働条件を団体交渉によって解決する手段を持ち得ないこととなり、これを自由な選択の結果であってやむを得ないとするのは労働組合加入の自由及び労働組合選択の自由に照らして適切でなく、教育合同は、労組法が適用される組合員に関わる問題については、使用者に対して労組法上の権利を行使することができると解するのが適当である。
 したがって、教育合同の申立人適格を否定し、市に対する申立てを却下した初審決定は取消しを免れない。
ウ  争点3(組合事務所の貸与拒否が支配介入にあたるか)
 支部組合員のうち労組法が適用となるのは特別職職員3名であり、本件救済申立てはこの組合員に関わる問題について行われたものと解される。
 市における労組法適用労働組合であるA労組は、市から一箇所の組合事務所貸与を受けているが、その組合員は64名であり、また、市が支部ないし教育合同に組合事務所を貸与しないことによってこれを弱体化することを企図した特段の事情も認められず、このような状況下においては、A労組に組合事務所を貸与しているからといって支部に貸与しなければ直ちに不当労働行為に該当するとはいい難い。
 したがって、支部に対する組合事務所の不貸与が不当労働行為に該当するとはいえず、教育合同の救済申立ては棄却を免れない。


投稿者 管理者 : 2006年01月08日 22:05

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