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2006年01月20日

山形大学過半数代表、職員人事規則改正案に対する意見書

山形大学職員組合
 ∟●2006年1月1日改正人事規則改正案についての山形地区事業場過半数代表意見書

意  見  書 

2006年1月1日

国立大学法人山形大学学長
仙道 富士郎 殿

 2006年12月19日付をもって貴殿より意見を求められました国立大学法人山形大学職員人事規則改正案について、下記のとおり意見を提出します。

 貴殿提示の国立大学法人山形大学職員人事規則改正案については、下記のようにいくつかの重大な問題を含むと考えます。しかしながら、12月27日に行われました山形大学職員組合との団体交渉の席上、貴殿より、これらの疑問について誠実な回答がありましたので、貴殿の回答に沿って適切に対処されることを条件として、反対しないことといたします。

I. 「国立大学法人山形大学職員人事規則改正案第7条第2項」関連での問題点

1.教員選考における教員自治原則の空洞化の危険性

 改正案に盛り込まれた役員会の議による選考の制度化は、今後の運用次第では、憲法第23条の「学問の自由」の制度的保障としての教員人事における教員自治、すなわち、教員集団自身による教員選考の原則を空洞化する可能性があります。
 貴殿は、役員会における選考の対象となる教員が、山形大学研究プロジェクト戦略室規則および山形大学評価分析室規則に規定された専任教員のみであり、既存部局の教授会による教員選考を侵害するものではないと説明されました。しかしながら、貴殿提示の人事規則改正案には、役員会の選考対象がそういった教員に限るとの規程は何もありません。拡大解釈すれば、当該教授会における選考と並列して役員会の選考も可能である規程となっています。
 また、役員会には、教員経験者が複数含まれているとはいえ、学外者や事実上文部科学省から派遣されてきている元官僚も含まれており、それらを含む経営者集団が直接に教員を選考することになれば、教育基本法が禁じている権力による教育、研究への介入を制度化することにつながりかねません。

2.学校教育法59条第1項違反の可能性

 学校教育法第59条第1項は、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」と規定し、審議の対象となる重要な事項には、教員人事が含まれることは、各種判例でも確立されています。この原則に従い、現行の本学人事規則では、全ての教員選考は、教員集団が主体となった組織、すなわち、教授会、研究科委員会、学内共同教育研究施設等委員会で行われる規程となっています。今回の役員会による教員選考の制度化を盛り込んだ改正案は、この大原則を覆すものであり学校教育法第59条第1項に違反する疑義があります。

3.懲戒規則の不備

 「国立大学法人山形大学職員の降任、解雇及び懲戒の手続きに関する規則」では、第2章において教員の降任、解雇、懲戒に関する規定を設けていますが、それらは、学問の自由の制度的保障としての教員人事における教員集団の自治の原則を制度化した「教育公務員特例法」に準じた規程となっています。すなわち、教員の降任、解雇、懲戒は、所属教授会等における3分の2以上の同意、教育研究評議会における3分の2以上の同意を条件としています。現行規則では、全ての教員の降任、解雇、懲戒は、この規程の手続きに従って行われています。
 今回の改正案によって役員会で選考された専任教員は、所属教授会等がないため、現行懲戒規程による保護の対象となりません。同じ教員の身分でありながら、身分剥奪にかんして教員としての正当な手続きが踏まれない事になっています。本学において、同じ教員でありながら、学問の自由の制度的保障である教員集団自身による選考、懲戒の権利が保障されない教員を制度化することは、今後に大きな禍根を残すことになります。

以上
山形地区事業場過半数代表
品川敦紀(理学部教授) 印


投稿者 管理者 : 2006年01月20日 00:44

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