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2006年03月10日

名古屋工業大学における役員出向者の出張の私的利用

■「意見広告の会」ニュース331

名工大構成員からの投稿

 国立大学法人への文科省からの役員出向に関する意見を拝見しました。本学で文科省からの出向理事(滝川孝氏)の出張に関して職員組合から出されたニュースを添付ファイルでお送りします。ことの発端は同氏の出張の私的利用に関する内部からの告発です。
 それに基づく組合から当局への説明要求文とそれに対する当局からの回答から、大学の自主性・自立性に対する問題と出向者の倫理上の問題が見えます。

 組合文書に記載の通り、まともな報告書すら提出されていない週末、週明けの出張ですから、倫理上問題があるのは当然です。これに対し、監査がいても報告書のような調査回答しか出来ない点に問題があります。すなわち、学長が人選するシステムで選ばれた監事では本来の監査システムは働かないということを露呈しています。

 週1回以上の文科省への出張に対し情報の先取りのため不可欠という学長からの説明がありますが、これは大学の自主性・自立性を尊重するという法人化の目的に反するものです。理事の役目が文科省からの情報収集では、法人化にあたり懸念されていた文科省をみる出向理事であり、付帯決議の理事選任の考え方に反するものです。また、文科省からの情報は各大学にあまねく発信されるもので、文科省訪問回数によって情報量が変わるのであれば、それこそ法人化の趣旨と大きく異なるといえます。ところで、組合からの説明要求が行われてから、同理事の週末、週明けの文科省出張は激減したそうです(私的利用、不必要な出張を証明しているようなものです)。

名工大一構成員

職組ニュース号外7
発行 名古屋工業大学職員組合

2006年3月2日

失われた大学倫理 ~構成員に問う~

 職員組合執行委員会では、複数の本学職員からの「理事瀧川孝氏が週末、週明けに文部科学省への出張を行った際、自宅に帰り、出張命令とは違った行程を取り、私的利用をしている」との内部告発を受け、当該理事を除く役員5名に対して、添付資料①にある”「大学理事の出張旅費不正利用の内部告発について」”を平成18年1月23日に提出し、真正面からこの問題に対して説明を求めました。ほぼ1月後の2月21日に、添付資料②”「大学理事の出張旅費不正利用の内部告発について」の報告書”を受け取りました。この報告書を受け取る際に、学長と2名の理事、2名の監事の計5名と執行委員が会見を持ち、意見交換を行いました。
 まず、結論的には「内部告発にあるような事実は確認できなかった」、「その様な事実があっても私的利用には該当しない」との回答が合わせてありました。(報告書参照)。さらに、報告書にない事実として、学長から当該理事に対しては、「昨年夏にも同じような私的があり、注意をしている」。監事からは「月曜日の日帰りの出張にも拘わらず、火曜日の朝、公用車が駅まで迎えに行っている事実がある」がありました。
 報告書を精査すると、驚くべきことに平成16年度では、出張回数が年間週数と同じ53回、17年度も12月末までに46回と1週間に1度以上の出張が行われていたことも判明しました。この頻度に対して学長は、法人化における大学運営を行うには、情報の先取りが不可欠であるため、職務命令で行ってもらっている言明されました。しかし、頻度が多すぎる出張は今回の内部告発にあるような疑義をもたれる可能性があるとも回答しています。また、学長の職務命令で出張を命じながら、報告書には「文部科学省関係”と思われるもの”」と曖昧な表現があり、ずさんな出張命令が有ったことを裏付けています。また、事実として明らかになった、「日帰り出張で、翌朝帰ってきている」ことに対して、国立大学法人名古屋工業大学旅費規則第3条5、6項にある旅行命令の変更に対する記録と提示も怠っていることが明らかになっています。
 職員組合としても、大学運営・発展に必要な出張に対しては異論はありませんが、学内事務を総轄する理事がこのような疑義をもたれること自体、重大な問題と考えます。また、報告書にある「今後の課題」も本末転倒で、監督責任者側にもたれた疑義から規定を整備しようとしていますが、職員は既に詳細な出張報告書を提出していることを知らなかったことを報告書は露呈しています。今回の報告には、このような問題に対して明文化された規定、取扱いがないとの回答に終止していますが、倫理的な検証が行われていません。これが許されるのであれば、これから職員は堂々と出張ついでに観光旅行しても許されることになります。ともなれば、これこそが大学人が気を付けるべき倫理ではないでしょうか。高潔な人格を要求される理事が疑惑をもたれることは倫理に反しないでしょうか。構成員の皆様はどうお考えでしょうか。このような倫理的問題に対して、皆様の意見を頂戴したいと存じます。ご意見を組合までお寄せ下さい。


資料1

平成18年1月23日

名古屋工業大学学長 松井信行殿
名古屋工業大学理事 長野靖尚殿
名古屋工業大学理事 品田智章殿
名古屋工業大学理事 古川秀興殿
名古屋工業大学理事 小野田誓殿

名古屋工業大学職員組合執行委員会

大学理事の出張旅費不正利用に関する内部告発について

 気色におかれましては、本学のため日々ご努力いただいておりますこと、御礼申し上げます。告発の内容は、同氏が週末、週明けに文部科学省への出張を行った際、自宅に帰り、出張命令とは違った行程を取り、私的利用をしているというものです。大学だけでなく社会的にも高い地位にある方への告発であり、組合としては看過できないと考え、この文書を執行委員会として提出させていただきました。この告発に関して、当方でも同氏のスケジュール等を調査しましたが、かなりの頻度で週末または週明けに日帰りで東京方面への出張をされているようです。もちろん、文科省等へ出張すること自体は、正当かつ理事本人が行かなければならない理由が有れば問題はないと考えます。しかしながら、一方では、法人化後の本学における人事問題、職場環境問題等について、担当理事である同氏がこのような出張を繰り返し、大学を不在にすることによって、円滑な職務の遂行に支障をきたしているとの声が多数聞かれ、このことが本告発に繋がっているとも考えられます。
 告発内容にあるように、出張行程から外れ自宅へ帰るのであれば、一旦名古屋に戻り、それから自費を用いて帰省すべきです。もし、告発内容が真実であれば、出張旅費の適正利用に疑義があり、倫理的な観点からも到底許されることではありません。 職員組合執行委員会としては、このことが真実でないことを祈りますが、このような疑義をもたれること自体、国立大各法人名古屋工業大学理事規則にある、「理事候補者は、人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営できる能力を有する者でなければならない。」に抵触していると考えます。本学では、過去に「タクシーチケット疑惑」で、特に責任のある地位にある者は疑いをもたれるような行動は言に慎むべきとの教訓を得たところであり、「国立大学法人名古屋工業大学役員及び職員倫理規程」にも明記されています。
 本学関係役員はこの告発内容が事実かどうかを精査し、その内容を職員組合執行委員会に対し、早急に報告、説明されることを求めます。そして、万一真実であった場合には当該役員の厳正な処分を求めます。ここで、不誠実な報告、説明、処分、あるいは不問に付すということがあった場合には、自浄作用が働いていないものと判断し、学内外の審判を仰ぐつもりです。
 高い倫理観を持ち、社会に対して疑惑を持たれない大学であることを、職員組合は願ってやみません。大変なことと存じますが、適切な処置をお願い致します。


資料2

平成18年2月21日

名古屋工業大学職員組合執行委員会御中

名古屋工業大学学長 松井信行
名古屋工業大学理事 長野靖尚
名古屋工業大学理事 品田智章
名古屋工業大学理事 古川秀興
名古屋工業大学理事 小野田誓

「大学理事の出張旅費不正利用に関する内部告発について」の報告書

 私どもは、名古屋工業大学職員組合執行委員会よりの「大学理事の出張旅費不正利用に関する内部告発について」の文章を受け、当該告発についての内容を確認すべく、調査を実施いたしました。以下に調査の対象期間、分析、調査結果につき記すものであります。

<調査の対象期間>
・瀧川氏の理事在任期間すなわち平成16年4月より平成17年12月まで。

<分析結果>
・瀧川氏の出張の学内記録に基づき分析し、以下の結果を得た。
 
・平成16年度出張 53回 
 うち金曜日30回(文部科学省関係と思われるもの23回)、
月曜日12回(文部科学省関係と思われるもの8回)。
・平成17年度出張 46回
 うち金曜日23回(文部科学省関係と思われるもの18回)、
月曜日14回(文部科学省関係と思われるもの13回)。
なお平成17年度は、12月末日現在の実績

<調査結果>
・告発にある、「かなりの頻度で週末または週明けに文科省や東京方面に出張している」事実は認識できるが、一方、特に文部科学省関係では月曜日と金曜日に開催される公的会議が多いことも出張の多い要因として十分に考えられる。また、平成17年度に関しては月曜・金曜の出張37回のうち、書類上確認できただけでも21回は同行者ありの出張であり、出張の必然性という観点からは問題ないと認められる。

・出張の再、業務終了後に自宅に帰り、出張命令と違った行程を取ることが即、私的利用に該当するとは言えない。遠方にある自宅が出張地の近隣の場合など、金銭面を含めた出張の合理性の範囲をいかに捉えるかに関しては明文化された規定、取扱いがない。そもそも出張命令に行程の指定が存在するのかも明確でないと思われる(出張報告など事後的には必要である)。今回の調査結果として、少なくとも金銭的に不正利用の事実はないものと考える。しかしながら、社会通念上、一般的な帰省旅費の支給が月1回から2回程度であることを鑑みれば、頻度が多すぎ、外部から見た場合他社とのバランスや出張自体の目的についても疑義をもたれる可能性がある。

・告発にある、「出張を繰り返し、大学を不在にすることによって、円滑な職務の遂行に支障をきたす」とは必ずしも適切な表現ではない。学長の出張命令に従って職務遂行を行っている以上それは理事の立場としての当然の職務で有ると考える。

<今後の課題>
・原稿の本学の規定によれば、旅行命令や出張報告に簡潔に用務を記入する蘭はあるが、具体的な出張目的や出張時間の記載項目がない。当然出張は、職務執行上必要性があり、命令または依頼するものであるので、具体的目的、時間はもとより行程等を記載し、訪問先、面会相手とそのときの内容も後日の証のためにもきちんと記録として残しておく必要があると考える。そのあたりを踏まえ、今後、規程や書式の見直し、取扱いの明瞭化に向けた旅費や出張に関する規程の整備が必要であると認識する。

・出張者に支給する日当に関しても具体的な取扱いが存在しない。例えば夕方以降に出張した場合や総長に戻った場合なども想定し、定めておく必要があると考える。現状、通常の勤務時間外(午後6時以降)の出張に際しても当日の日当が支給されている。


投稿者 管理者 : 2006年03月10日 00:00

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