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2006年04月11日

パートタイマーの組織化に関する労働組合の取組み

労働政策研究・研修機構
 ∟●パートタイマーの組織化に関する労働組合の取組み(平成 18年4月7日)
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 下記は,労働政策研究・研修機構が最近行ったパートタイマーの組織化に関する労働組合の調査結果である。

 非典型的雇用形態にある労働者が全雇用者の3割を超えたいま,既存の労働組合運動はパートタイマー等の労働条件向上に向けた労働者の組織化を図ることは自らの組織の存亡をかけた課題ともなっている。
 一般の民間企業のこうした状況は,わが国の私立大学の世界ではどうか。有期雇用形態にある大学教職員の急速な増大にも拘わらず,(正規雇用者から構成される)既存の教職員組合において,非正規雇用者を組織化の対象とするところははたして存在するのだろうか。皆無ではなかろうか。少なくとも,日本私大教連傘下の組合において,そのような取り組みがなされている事例を聞いたことがない。日本私大教連のこうした旧態依然たる組合体質は一体いつ見直されるのだろうか。

 因みに,2005年11月20日,日本私大教連第18回定期大会で採択された議案書では,有期雇用労働者の問題について総括はナシ。「来年度方針」では,たった1行「非専任教職員の処遇改善 非専任教職員の要求調査など行い,処遇の改善を求めていきます。特に,非常勤給・時間給の引き上げと希望者の私学共済加入を重視します」とあるだけである。

パートタイマーの組織化に関する労働組合の取組み

 本報告書はプロジェクト研究「労働条件決定システムの再構築に関する研究」の一環として取り組んだ「パートタイマーの組織化に関する研究」のアンケート調査の結果をまとめたものです。調査は5つの産別組合(UIゼンセン同盟、生協労連、サービス連合、サービス・流通連合、フード連合)の協力を得て、傘下の単組及びその支部、さらにパートタイマーである組合 役員 を対象に実施しました。

 本調査では、第一に、パートタイマーの労働組合への組織化の現状を把握し、またその組織化に取り組む労働組合の実態と課題を明らかにすること、第二に、賃金をはじめとするパートタイマーの労働条件に関する労働組合の取組みを明らかにすること、そして第三に、パートタイマーの労働条件等に関する労働組合の取組みに対し、労働組合の 役員 を務めるパートタイマーはどのように評価をしているのか、またパート組合 役員 はどのような意識を持っているのか、を明らかにすることを目的としています。

……

(2)パートタイマーの組織化に関する諸特徴

① パートタイマーの組織化の状況
 単組本部のある企業について、パートタイマーがいる企業(123 社)の74.8%(92 社)にパートタイマーの労働組合員がいる。そのうちパートタイマーが正社員と同じ組合に組織されているものは87 単組、パートタイマーだけの独自の組織に加入しているものは5単組である。
 パートタイマーの組織化の時期は、労働組合の結成時とするものが46.0%、結成より後とするものが51.7%であった。組織化された年代は、1990 年代が36.8 %と最も多く、次いで2000 年代が25.3%、80 年代が18.4%となっている。
 またパートタイマーの組織化の範囲は、パートタイマー全員とするものが54.0 %、労働時間や日数の多いパートタイマーとするものが31.0%であった。組織化の範囲として労働時間を基準にしている場合の基準となる週労働時間数は、週20 時間台が40.7%と最も多く、次いで30 時間台が25.9%となっている。

以下②から⑥までは、パートタイマーが正社員と同じ組合に組織されている87 単組に関する記述である。

② パートタイマーの組織化に対する会社の反応
 パートタイマーの組織化に当たり会社と話し合いをしたかについて、「事前に十分話し合った」とするのは74.7 %、「直前に通告」は8.0 %、また「組織化後に伝えた」は4.6%であった。その際の会社側の態度は、「強く賛成」が5.7 %、「賛成した」が51.7 %、「どちらでもない」が23.0%、「反対」が5.7%、「強く反対」が3.4%となっている。組織化が実現しているところでは、パートタイマーの組織化に対する会社の反応は賛成あるいは中立的な態度であった場合が多く、反対したものは1 割に満たない。
③ 上部組合からの指導や支援
パートタイマーの組織化の際の上部組合からの指導や支援については、「強力にあった」が29.9%、「多少あった」が34.5%、「何もない」が24.1 %であった。またパートタイマーの組織化に関する上部からの指導・支援の有効性については、否定的な回答をする単組はなく、8割以上が肯定的に考えている。
④ パートタイマーを組織化した理由
パートタイマーを組織化した理由(複数回答)は、「パートタイマーの労働条件を向上させたいから」が60.9%で最も多く、次いで「組合の交渉力を強化したいから」が58.6%、「職場でパートタイマーの人数が増えたから」と「職場における過半数代表を確保したいから」が50.6 %となっている。

……

⑥ パートタイマーの組織化に対する組合の自己評価と、組織化後の現在の課題
パートタイマーの組織化に対する組合の自己評価(複数回答)は、「パートタイマーの意見が組合活動に反映できるようになった」が79.3%、「職場における従業員の代表性を確保できた」が73.5%、「パートタイマーの労働条件が向上した」が70.1 %となっている。
 パートタイマーを組織化した現在の課題(同)については、「組合活動に対するパートタイマーの関心を高める」が74.7%で最も多く、次いで「パートタイマーの組合リーダーの養成」が66.7%、「正社員とパートタイマーの意思疎通をより緊密にする」と「正社員とパートタイマーの労働条件に関する利害の調整」が44.8 %、「パートタイマーに組織化の効果を実感してもらう」が43.7%となっている。
 なお、本設問への支部調査での回答結果は、組合活動に対するパートタイマーの関心を高める」(69.5 %)が最も多く、次いで「パートタイマーに組織化の効果を実感してもらう」(49.2%)、「パートタイマーの組合リーダーの養成」(48.3 %)であった。……


投稿者 管理者 : 2006年04月11日 00:01

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