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2006年04月25日

文科省、論文被引用度世界上位10%の日本の研究者対象に意識調査 任期制度は高い引用論文を生産するのに好ましい影響を与えていない

■化学工業日報(4/24)

 わが国のトップリサーチャーは、四十歳前後の旧七帝大または東京工業大学の男性研究者、科学研究費補助金を獲得している-。文部科学省・科学技術政策研究所が実施した、国際的な科学文献データベースで論文の被引用度が世界上位一〇%の日本の研究者を対象とした意識調査のプロファイルで顕著な傾向を示した。さらに上位一%の“スーパーリサーチャー”は年間研究費が二千万円と高額な研究費を獲得している確率が高い。ただ、年間研究費一万円で優れた論文を執筆している研究者や外部資金を獲得せず、論文という評価尺度でも大学の研究者と互角に渡り合っている企業の研究者が上位一%には一割超おり、トップリサーチャーには多様性があるといえそうだ。

 これは米国トムソン社の科学文献データベースSCI(二〇〇一年版)から抽出、回答のあった世界の被引用論文数が上位一%百七十九編を含む上位一〇%八百六十八編の研究者プロファイルを分析したもの。上位一〇%では国立大学が五七・七%(旧帝大・東工大は四割超)で公私立を含める七四・一%を占める。また企業研究者は九・七%。平均年齢は四三・九歳、性別は男性が九四・八%と圧倒的に多い。海外職歴経験者は三七%で、ポスドク経験者二七%の大部分は海外での経験者だった。また四分の三が外部資金、六割以上が政府の競争的研究資金を獲得、とくに約五割が科研費を活用、上位一%研究者にいたっては二千万円以上の年間研究費を使っている。

 しかし所属機関、研究費総額だけがトップリサーチャーを支える研究環境とはいえないのも事実で、年間研究費一万円や内部資金だけの研究でもインパクトのある論文は生産されている。当然のことだが、絶好の環境を生かしていない研究者もおり、必ずしも被引用論文数だけでは研究者を評価できないのが現実だ。

 また回答したトップリサーチャーは、研究開発の環境、水準が向上していると一定に評価するものの、研究以外の業務の増加などによる研究時間の悪化、若手研究者数など人材面での不備を指摘。さらに国などが推進してきた産学官連携サポート制度や研究者の任期制度については改善してきているものの、必ずしも高い引用論文を生産するのに好ましい影響を与えていないとした。


投稿者 管理者 : 2006年04月25日 00:02

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