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2006年05月19日

都立大・短大教職員組合、「教員評価制度の導入について」の内容と問題点

都立大・短大教職員組合
 ∟●大学に新しい風を(第10号、2006年5月17日)

「教員評価制度の導入について」の内容と問題点

2006.5.16 教員評価制度の検討グループ

 任期制・年俸制の人事賃金制度の導入とともに、法人当局は、新たな教員評価制度の導入のために、「教員評価制度の導入について」(資料1~4)という分厚い文書が最近発表された。資料1 は教員評価制度の概要、資料3はその実施についての説明、資料2は各学部・系(都市環境学部のみコース別)での教員評価項目の詳細、資料4 は教員の評価に関する規程案である。一般教員へは資料3の大部分のみが配布されているが、法人当局は評価制度全体の提案を全員に知らせるべきである。施行以前にも以下に示すような数々の問題点があり、1年間の試行期間後に抜本的な再検討のための期間がなければならない。以下に内容の概略の紹介と問題点を指摘する。

内容の概略の紹介

1)毎年行う年度評価:資料1 と3によると、各教員は、年度初めに評価4項目である教育、研究、社会貢献、組織運営(学内委員会など)に関する自己申告書をA4 用紙1枚、年度終わりに3枚(資料1の別記2)を各々3週間かけて書いて、専攻長(またはそれに相当する人)を通じて、「上司」(=評定者としての研究科長またはそれに相当する人)に提出する。

2)再任評価:上記の年度評価とともに、さらに5年毎に行う再任評価が試案として提案されている(資料1)。年度評価と再任評価との関係は、相互に矢印と点線で繋がりが示されている(資料1の1ページ目の最初の説明図)。
3)試行と評定結果の給与等への反映:本年度は「年度評価について試行的に実施し、平成19 年度から本格実施に取り組む予定」とされ、業績給=ボーナス額(注参照)に反映される。さらに、任期制教員の場合には職務基礎額の昇給幅に反映させる。そして5 年毎に行う予定の評価で再任されるかどうかが決められようとしている。ただし、本格実施は、「人事制度等検討委員会において、施行状況を踏まえた検討を行う」と書かれている(資料1)。

注: 年度評価と業績給=ボーナス額の関係

法人当局は、年度評価における最上位、上位、標準、下位(各々S、A、B、C と称している)の評価に基づき、「教員の新たな人事制度」(最終案。2005.11.30 のP.8 参照)で示されている下記の「成績率」でボーナス額を格差付けすることを提案している。
すなわち、年度評価S とA は、全教員数のうち各々最大10% 、20% まで付けられ、下記の成績率に示されたボーナスを支給するというものである。すなわち、

業績給=ボーナス額=(12 ヶ月分の給与)×(成績率)
B 評価の場合に、12 ヶ月×0.366=4.399 ヶ月 であるので、約4.4 ヶ月分となり、この業績給の出る6,12 月のボーナスと毎月の月給とを合わせた年収は、16.4 ヶ月分となる。
したがって、S 評価で0.66 ヶ月増、A 評価で0.22 ヶ月増、C 評価で0.66 ヶ月減となり、年収にして、S 評価は4%増、A 評価で1.3% 増、C 評価で4%減となる。

図がはいる

4)その年度目標の内容は、「できるだけ数値化し、・・できるだけ具体的なもの」を書くこと、しかも「いつまでに達成するか」を書くことが指示されている(資料3)。そして、専攻長は各教員と年度当初と終わりに各々2週間かけて面談し、記入内容・目標についての「確認・意見交換」をし、「記入内容に反映させる」とされている(資料1)(この「反映させる」とは、面談の結果、教員の年度目標の内容が修正させられることが考えられる)。

5) ピラミッド構造状の評価制度:専攻長は、所属教員に書類配布、自己申告書回収と面談の実施者とされている。専攻長と研究科長補佐に対しては、研究科長が書類回収、面談、評価等を行うことになっている(資料1 と3)。研究科長はさらに学長から同様に評価されると考えられる(これは、明白に、会社や官庁と同様のピラミッド構造状の評価制度である)。

6) 上司としての評価者である研究科長は、各人から提出された自己申告書の書類を読むとともに、評価4項目と総合評価の合計5項目について、A4 用紙1枚の各人毎の年度評価シート(資料1のP.16 )に書き、全体の集計表とともに事務局に提出する必要がある。各人毎の年度評価シートには、評価4項目の評点とその重み付けの係数を決めて(研究科長が、職階あるいは各人によって異なる重み付け係数を決める)、重みをかけ算し、表に書き込むとともに合計点を算出する(資料1)。評定につながるポイントを各評価4項目について記述し、総合評価についても評定者の所見を書くこととされている。それだけでなく、研究科全体の「自己申告提出・面談実施状況の集計表」(資料3。この部分は一般教員に配布していない)、すなわち自己申告の提出者数、未提出者数とその理由、そして面談実施者数と未実施者数とその理由を各階層毎に作製して提出することとされている。

7) 労使交渉事項:資料に明示されていないが、「評定結果の給与等への反映」は、業績給・職務給や再任条件に結びついており、労働基準法上の明白な労働条件であり、労使交渉事項である。したがって、人事制度等検討委員会で決定できることではないことは、明らかであり、「評定結果の反映時期についても、平成18 年度の試行結果を踏まえ、今後検討します」と書かれている(資料1)。

本当に真面目に考えてやったら、評価疲れで、研究・教育に重大な支障!

以下に上記に関する問題点を指摘する。

……


投稿者 管理者 : 2006年05月19日 00:02

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