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2006年06月01日

自由法曹団、労働者の権利と健康を破壊する「労働契約法制」の整備及び労働時間規制の適用除外拡大に反対する決議

自由法曹団
 ∟●労働者の権利と健康を破壊する「労働契約法制」の整備及び労働時間規制の適用除外拡大に反対する決議

労働者の権利と健康を破壊する「労働契約法制」の整備
及び労働時間規制の適用除外拡大に反対する決議

1 政府は、本年3月31日、「規制改革・民間開放推進3か年計画(再改定)」を閣議決定し、その中で、「労働契約法制の整備」と「労働時間規制の適用除外制度の整備拡充」について2005年度中に検討を終えて2006年度に結論を得る方針を明らかにした。
 このうち、「労働時間規制の適用除外制度の整備拡充」は、日本経団連などが繰り返し導入を要求してきた「ホワイトカラー・エグゼンプション」の亜種である「自律的労働時間制度」の創設を内容とするもので、この間に財界の要望に応えて進めてきた労働基準法の労働時間規制の緩和を更に推し進め、8時間労働制の崩壊と際限のない長時間労働をもたらすものというほかない。
 また、「労働契約法制の整備」についても、上記のようなねらいを持つ「労働時間規制の適用除外について検討を進めていくためにも必要不可欠」としつつ、「民法の特別法として、契約当事者である労使双方の意思(労使自治)を可能な限り尊重する必要がある」と述べて、新たな規制を設けることには反対との財界の強い意向を全面的に取り入れている。

2 これに続いて、厚生労働省は、本年4月11日に行われた労働政策審議会の労働条件分科会に、「労働契約法制及び労働時間法制に係る検討の視点」を提示した。しかし、それは、政府が財界の要望に応えて推し進めようとする「規制緩和」に沿った危険な内容を含むものである。
 労働契約法制については、我々が従来から強く批判し、同分科会においても労働側委員による反対にあってきたにもかかわらず、①団結権の保障もなく労働者を公正に代表する機関でもない労使委員会での決議に、就業規則変更の合理性推定などの効果を与える、②使用者が就業規則により労働条件の不利益変更を一方的に行えることを法定する、③「解雇の金銭解決制度」を導入する、ことなどが検討テーマに上げられている。これらはいずれも、労働者の地位を不安定にし、使用者が容易に労働条件の一方的変更や解雇を行えるようにするものであって、到底容認できない。
 また、労働時間法制については、「自律的労働時間制度」と称して、一定の労働者に労働時間規制の適用を除外する制度を設けるというもので、前述した財界の要望に応える「3か年計画」を忠実に実行しようとするものにほかならない。「検討の視点」では、対象となる労働者の賃金額を一定額以上にすることなどを要件としているが、労働者が自らの裁量で業務量や労働時間を調整することは不可能であり、労働者の健康破壊に対する歯止めになるものではない。

3 安易なリストラによる解雇や労働条件の切り下げ、長時間過密労働による過労死や「サービス残業」などが多発する現在、労働者の権利と生活、命と健康を保護する労働基準法をはじめとする労働者保護法制の機能の強化こそを図るべきである。私たちは、これらの必要な規制を「緩和」し、財界による横暴を合法化する労働契約法制の整備と、「自律的労働時間制度」を導入して一日8時間労働制を解体することに、断固として反対する。

2006年5月22日
自由法曹団札幌研究討論集会


投稿者 管理者 : 2006年06月01日 00:00

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