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2006年06月20日

横浜市立大学、「茶番劇はいつまで続くのか」

横浜市立大学教員組合
 ∟●「教員組合週報」(2006.6.19)

投稿「茶番劇はいつまで続くのか」

一組合員より以下の投稿があり、組合執行部の正式見解ではありませんが、組合員の討論の素材として提供します。

茶番劇はいつまで続くのか?

2006年6月8日
一組合員

 教員評価のルール作りについて突如、「コース長と各コースの若手教員一名ずつから構成されるワーキンググループを立ち上げる」ことが本日の会議で検討された。
 さかのぼって2003年10月。多くの教員の意見を無視して発表された「横浜市立大学の新たな大学像」には、年俸制・任期制が盛り込まれ、全国の大学の中ではじめての任期制全員適用として注目された。これで横浜市に誕生した「全国に先駆け」はまた一つ増えた。
 しかし、「オリンピックで金メダルをゲット」と宣言したわりには、基礎トレーニングはまったく行っていない。年俸制・任期制に必要不可欠な評価基準は不明のままで、2005年4月に横浜市大は新体制に突入した。「新たな大学像」が発表されてから2006年6月現在まで、大学当局は教員説明会や組合交渉の席で「これから急いで評価基準の作成を検討する」と繰り返してきたが、基準案どころか、その作成にあたって誰がどのように作るかでさえ、はっきりしない。「オリンピックの試合はとっくにはじまったのに、これからトレーニング方法を考える」というようなものだ。
 もう一つ言えば、「新たな大学像」が発表された際、評価基準もできていないのに、結果を見る前に「この改革案が、時代を先取りした魅力あふれるものであり、厳しい社会経済情勢と大学間競争に勝ち抜けるものである」(小川学長メッセージ、2003年10月31日)と言い張る(言わせる)手法は、そもそも「風説の流布」に当たるのではないか?改革論議の難しさはこの点と関係する。風説を流布してはいけない。しかし、現実には風説の流布をした人は必ずしも全員逮捕されるわけではない。時間と資源が限られているので、法律はすべての出来事に対して白黒をはっきりさせる答えを用意できないからである。われわれは中途半場な世界に生きているのだ。だから、この点を悪用する人たちは非難に値する。
 そして今日、2006年6月8日、”only one”や「時代を先取り」など装飾をいっぱい付けた新体制が発足してから1年以上経過して、当局による基準作成作業が無理だと判明するや教員に作業を投げ出した。上記のワーキンググループの議論はこうした背景で突如出てきたのだ。大多数の教員の意向を無視して年俸制・任期制を一方的に発表した後、評価基準が作れないから、教員に戻して案を作ってもらおうと、いくらなんでも、それはないだろう。大学の根幹に関わる問題をこのようなアドホックなやり方で行うと将来はどうなるか?
 横浜市に若手市長が誕生してから、横浜市立大学における茶番劇がずっと続いた。ほかにいくつか見ておこう。

・2002年8月、市大の問題を客観的に評価するにあたって、大学基準協会のような、信用性の高い機関に依頼せず、どこからもその信用性が保証されていないし、第三者機関ともいえないような市長の設立機関、あり方懇談会に依頼した。その結果非常に無責任な答申案が出された。
・1140億円の財政負担といっているわりには、誰がその予算の責任者でどのような執行の仕方をしていたか、また投資案件のコストパフォーマンスがどうなったかといった重要なポイントは問題視すらされなかった。
・大学の予算書は少なくとも2005年まで教員や学生には公表されなかった。社会的一般常識として、たとえば端午会(商学部教員親睦組織)のような年間予算数十万円程度の親睦組織でさえ、きちんと毎年の決算報告書を出すのに、巨額の「負債」を抱えたこの大学では、決算報告書や監査報告書を見た人、聞いた人は誰もいない。にもかかわらず、「納税者が満足できるような改革」(中田市長メッセージ、2003年5月7日)においては、予算プロセス、決算報告、監査制度といったきわめて基本的な制度作りにまったくタッチしなかった。
・2003年3月20日から2004年3月14日の間、商学部、国際文化学部、理学部、総合理科研究科八景研究科、看護短期大学部、木原生物学研究所の教授会から計20回以上の決議や要望が出され、そのほとんどが学部統合に反対し、改革プロセスの問題点を指摘するものだった。にもかかわらず、「大学が決めた」こととして、八景キャンパスの学部は一つに統合された。

 当局は予算権を握りながら、予算に関する諸問題に対して責任がとれる体制を構築していない。これまでのように、財政問題を理由に関係ない部分の改革(解体)を求めるという責任転嫁の時限爆弾がこれからいつ再投下されてもおかしくない。また改革によって人事権まで教授会から取り上げられた。しかし、教授会を解体し、この大学をどうにでもできる権力を手にしたわりには、大学の運営管理について、学生通知、名簿管理といったきわめて基本的なこともきちんとできていない。
 新体制になって2年目。当局が評価体制の実施について慎重である点は評価できる。しかし、とんでもない内容の改革によって実施方法もわからないまま全員適用の任期制・年俸制はすでに宣言された。今の大学はまるで接岸できない船に乗せられているようなものだ。
 新体制になってから1年以上も経過した今、教員参加の評価基準作りをはじめようとしている。この茶番劇はいつまで続くのか?


投稿者 管理者 : 2006年06月20日 00:52

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