個別エントリー別

« 大阪経済法科大学、博士学位取得の職員を懲戒解雇 | メイン | その他大学関係のニュース(主に大学別) »

2006年06月26日

成果主義賃金訴訟、東京高裁判決

成果給与に変更合理的 高度な必要性も認める/減額3社員が逆転敗訴 東京高裁判決で初判断
成果主義訴訟判決要旨

成果主義訴訟判決要旨

 給与制度変更による減額分支払い請求訴訟で、東京高裁が 22 日に言い渡した控訴審判決の要旨は次の通り。

【訴訟の概要】

 原告が勤務する会社は実質的に年功序列型の給与制度をとっていたが、競争力強化のため、成果主義に改める必要があると判断。 2001 年4月1日に給与制度の変更に踏み切った。
 減額となる社員には、経過措置として変更1年目は減額分全額、2年目は 50 %を「調整手当」として補てんした。
 この変更で原告らは基本給が月額約7万2,000 ~3万 4,000 円減額となるなどの不利益を受け、給与減額分の支払いなどを求めて提訴した。

【判決理由】

 職務の格付けと会社側による社員の業績、能力の評価によって給与を決定する被告会社の成果主義への変更は、職務の格付けが変更前より低かったり、その後の人事考課査定で社員が降格されたりした場合には、給与が変更前より顕著に減少する可能性がある点で、就業規則の不利益変更に当たる。
 最高裁の判例で、労働条件の一方的な不利益変更は原則として許されないが、労働者の被る不利益を考慮しても、変更の必要性と内容が合理的であれば、個々の労働者は変更の適用を拒むことはできない。
 そこで変更の必要性と内容の合理性を検討すると、被告会社は主力商品市場がグローバル化し、競争が激化した経営状況の中で、実績に見合った報奨でインセンティブを与え、積極的に職務に取り組む社員の活力を引き出し、労働生産性を高めて競争力を強化する高度の必要性があった。
 給与制度変更は重要な職務に有能な人材を投入するため、職務の重要性に応じて処遇するもので、給与の原資総額を減少させるのではなく、配分をより合理的なものに改めようとしたものだ。
 どの社員にも自己研さんによる職務能力向上で昇格・昇給ができる平等な機会を保障し、人事評価でも最低限必要とされる合理性を肯定しうることからすれば、就業規則変更は必要性に見合ったものとして相当である。
 また被告会社があらかじめ社員への変更内容の周知に努め、労働組合との団体交渉を通じて円滑に変更しようとした労使交渉の経過や、それなりの緩和措置としての意義を有する経過措置が取られたことを併せて考えると、不利益性があり、経過措置が2年に限って減額分の一部を補てんするにとどまるものであることを考慮しても、変更には合理性がある。
 以上によれば、原告らの請求は理由がなく、棄却すべきである。控訴には理由があり、一審判決の被告会社敗訴部分を取り消す。

6 月 22 日

成果主義判決:無効の1審判決取り消し 従業員が逆転敗訴
「成果型賃金に合理性」・東京高裁判決、原告敗訴
成果主義への変更合理的 東京高裁初判断
給与の成果主義合法 減給の社員逆転敗訴 東京高裁
「成果主義に合理性」社員側敗訴 高裁、賃金制度に基準
『成果主義は合理的』従業員側が逆転敗訴

投稿者 管理者 : 2006年06月26日 00:01

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi4/mt/mt-tb.cgi/1927

コメント