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2006年10月02日

自由法曹団、「日の丸、君が代」の強制を違憲違法とした東京地裁判決についての声明

自由法曹団
 ∟●「日の丸、君が代」の強制を違憲違法とした東京地裁判決についての声明(2006年9月29日)

「日の丸、君が代」の強制を違憲違法とした東京地裁判決についての声明

 2006年9月21日、東京地方裁判所民事第36部(難波孝一裁判長)は、都立高校の教員らが、東京都及び東京都教育委員会を相手に提起していた、国歌斉唱義務不存在確認等請求事件について、①教員らは起立・斉唱の義務はない、②不起立・不斉唱・ピアノ伴奏の拒否を理由にしていかなる処分をもしてはならない、③401名の原告全員に対する慰謝料の支払いを命じる判決を言い渡した。「日の丸・君が代」の強制は違憲・違法であると断じる画期的な判決である。

 判決は、「わが国において、日の丸・君が代は、明治時代以降、第2次世界大戦の終了までの間、皇国思想や軍国思想の精神的支柱として用いられてきたことがあることは否定し難い歴史的事実であり」、したがって、自分の世界観・主義・主張からして、卒業式等において国旗に向かっての国歌斉唱やピアノ伴奏を拒否する教職員がいても当然であると受け止めたうえで、そのような教職員に対し、日の丸・君が代を強制することは、思想・良心の自由の侵害にあたると明確に判断した。

 また、「(2003年10月23日教育長)通達及びこれに関する都教委による都立学校の各校長に対する一連の指導等は、教育基本法10条1項所定の不当な支配に該当するものとして違法」と明言し、「国歌斉唱・ピアノ伴奏を拒否した場合に、それと異なる世界観、主義、主張等を持つ者に対し、ある種の不快感を与えることがあるとしても、憲法は相反する世界観、主義、主張等を持つ者に対して相互の理解を求めているのであって(憲法13条等参照)、このような不快感等により原告ら教職員の基本的人権を制約することは相当とは思われない」と判示した。

 この判決内容は、憲法19条からすれば、当然の帰結である。しかしながら、この当然の判決を得るまでに、3年近くの年月が経過し、違憲違法の本件通達に基づく職務命令により、多くの教職員が現に処分を受けた。石原都知事は、この事実を重く受け止め、自己の世界観・主義・主張のみによる教育の統制を厳しく反省し、速やかに、教育現場に思想良心の自由を取り戻す措置を講ずるべきである。

 また、本判決は、教育基本法を「改正」して、愛国心の強制及び教育への国家統制を強めようとしている安倍内閣に対する警鐘でもある。

 我々自由法曹団は、東京都及び都教委に対し、前記判決を真摯に受け止め、「日の丸・君が代」の強制につながるあらゆる措置を直ちに取りやめ、思想・良心の自由を守り、個人を尊重する教育行政にあらためるよう強く要求する。

2006年9月29日
自由法曹団団長坂本修


投稿者 管理者 : 2006年10月02日 00:01

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