個別エントリー別

« 推薦入試の出願スタート、必修逃れで大学の対応割れる | メイン | 教基法改正賛成の発言依頼 青森のタウンミーティング »

2006年11月02日

2006年度大学及び短期大学の入学志願動向分析

日本私立学校振興・共済事業団
 ∟●月報私学、2006年11月号第(107号)

平成十八年度大学及び短期大学の入学志願動向分析

 本誌九月号(VOL、105)において、大学・短期大学等入学志願動向の概要を掲載しましたが、今回はより詳しい分析を掲載します。

〔1)大学の定員割れの状況
 表1のとおり、定員割れの大学は、平成十七年度の一六〇校(二九・五%)から十八年度には二二二校(四〇・四%)へと約一〇ポイント上昇しました。十八年度に定員割れの大学が大幅に増加した原因としては、入学定員の増加、少子化による志願者数の減少、及び規模と地域による二極化という三点が考えられます。
 表2のとおり、まず第一の原因は、入学定員が四三一、〇七七人から四四〇、三三五人で、九、二五八人(昨年、五、五四五人)増加したことです。昨年度の入学定員で今年度の入学定員充足率を算出しますと、一〇九・五五%で、昨年度の入学定員充足率一〇九・九〇%とほぼ同率になりますので、三つの原因の中で最も影響が大きかったことがわかります。私立大学は、拡張に伴う改組転換を実施した結果、自らの首を絞める結果になっており、今後は規模の縮小がどうしても必要な時代に入ったということがいえます。
 第二の原因は、少子化の影響で十八歳人口が一三七万人から一三三万人へ減少した結果、志願者数が六五、六七一人(昨年五一、九八○人)減少したことによります。
 表3のとおり、三番目の原因としては、規模による二極化が考えられます。これは今年度明確に現れた傾向です。大学志願者数は、今年度六五、六七一人減少していますが、東京及び近畿地区に集中している入学定員三、○○○人以上の大規模大学(二三校)は、逆に約五万人も志願者数を増加させています。また、入学定員充足率をみても、三、○○○人以上の大規模大学が、充足率を上昇させているのに対し、中小規模の大学は定員充足率をかなり低下させています。その結果、定員割れ大学の割合が五〇〇人未満の小規模大学で一三ポイント、中規模大学で九ポイント増加しているのに対し、三、○○○人以上の大規模大学は四ポイント増加しているに過ぎません。大規模な総合大学が強くなっていることは、ブランド志向が一層強まっている証拠でもあります。
 表4のとおり、この二極化の傾向は地域的にもはっきり現れています。入学定員充足率が高いのは、南関東、近畿地区であり、中国、四国、九州では九四・○%と厳しい状況にあります。南関東では一五・九%の学部が定員割れしているのに対し、中国、四国、九州地区は、五〇・六%と半数以上の学部が定員割れとなっています。このことから、地域的にみても二極化が一層強まっていることが明確にわかります。

〔2)学部系統別の特徴
 学部系統別の特徴は以下のとおりです。まず、薬学部系は、五学部増加し、定員が約一、○○○名増えた一方、志願者数が約四四、○○○人減少したため、入学定員充足率が一一五・二%から一〇六・一%へと大幅にダウンしました。これは、今年度から薬剤師を目指すための課程が六年制になったことによるものと考えられます。看護福祉系は、二一学部増加し、定員が約三、五〇〇人増加しましたが、志願者数も約一四、○○○人増えています。看護師の需要の高さを考えると、今後も増加する可能性が高いといえます。工学系では志願者数の減少が止まらず、学生の理工系離れが進んでいます。工学系は就職率が高いので、今後は受験者に工学の魅力を伝える努力が必要になるでしょう。文科系では、法学系の志願者が減少する一方、経済、経営は志願者数を若干伸ばしています。現在、志願倍率の高い学部は、医学、薬学、リハビリテーション、教育、心理、社会、農、獣医等です。


投稿者 管理者 : 2006年11月02日 00:00

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi4/mt/mt-tb.cgi/2572

コメント