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2006年11月20日

鉄建公団訴訟原告団等、ILO結社の自由委員会報告に関する声明

1047名の不当解雇撤回、国鉄闘争に勝利する共闘会議(国鉄闘争共闘会議)
 ∟●ILO結社の自由委員会報告に関する声明(2006年11月17日)

ILO結社の自由委員会報告に関する声明

2006年11月17日

鉄建公団訴訟原告団
国鉄闘争に勝利する共闘会議
鉄建公団訴訟原告弁護団

1、2006年11月15日、ILO理事会は、国労・全動労申立に係るJR採用差別に関する申立事件で、「政府に対し、この長期化した労働争議の関係当事者すべてが満足する解決に到達させる観点から、このようなILO支援の受け入れを真剣に検討するよう要請する」との結社の自由委員会報告を採択した。

 国鉄改革による国労組合員等に対するJR採用差別事件が発生した1987年4月から既に20年の歳月が経過せんとする今日、ILOにおいて「全ての関係当事者が満足する解決に到達させる」ため、政府に対するこのような報告を採択して頂いたことについては、心から敬意を表し感謝をするものである。

2、政府は、国鉄改革に際して、国会の場では「組合差別はしない」「1人も路頭に迷わせない」と言明して、国鉄改革関連法を成立させておきながら、その実、国鉄のなした国労に対する露骨な不当労働行為を容認し、1990年4月には、採用差別を受けて清算事業団に収容された国労組合員等1047名が、再就職の斡旋もされないまま再度解雇された深刻な事態を放置してきた。憲法に基づいて不当労働行為救済機関として設けられた政府機関の一つである地方・中央の各労働委員会自身が採用差別という不当労働行為の存在を認め、救済命令を発したのにこれをJRに遵守させる指導もせず、それどころか1998年5月東京地裁が国鉄改革法23条の解釈でJRの責任を否定するや、JRとともに不当労働行為の存在自体を否定し、「JRに法的責任なし」を前提とする「四党合意」によって、存在した不当労働行為責任を不問に付する、国労に屈服を迫る政治解決に奔走してきたのが実情である。
 上記ILO報告が特に「東京地裁の2005年9月15日付けの判決に留意する」としているように、国鉄改革の過程で不当労働行為の存在したことは司法の場においても明らかにされており、政府は今次ILOの採択した報告に基づいて、「全ての関係当事者が満足する解決」に到るための交渉の場を設置し、真摯に解決のための労をとるべきである。

3、他方、ILO報告において、当事者である国労が「司法だけによる解決がそぐわない問題がある」ことを前提としつつ、「交渉を通じた政治解決を探ることを強く望んでいるとの表明」をし「その実現に向けて関係当事者を一堂に会させる上で国労がILOに援助とアドバイスを要請」したという点は重大な問題である。
 国労本部は、1998年5月東京地裁判決が、国鉄改革法23条の形式的解釈でJRの責任を否定するや、存在した不当労働行為の責任を曖昧にし、被解雇者切り捨てに等しい「四党合意」を推し進めようとした。これに抗して、旧国鉄並びに清算事業団の不当労働行為責任を承継した鉄建公団(今日の鉄道運輸機構)の責任を追及し、不当労働行為の存在を認めさせたのが鉄建公団訴訟であり、ILO報告が留意するとする2005年9月15日の東京地裁判決である。存在した不当労働行為を明らかにし、その責任追及の姿勢を放棄したところに「全ての関係当事者が満足する解決」はあり得ない。それにも拘わらず、国労本部は同判決が示唆した上記最高裁判決から3年の時効間近になってなお600名近い被解雇者の救済のために訴訟に立ち上がろうとしていない。
 このような経緯に鑑み、国労本部の姿勢に強い危惧の念を表明するものである。

4、我々は、20年目を迎えようとしている「JR採用差別事件」に対して、当事者の筆舌に尽くしがたい苦難を思えば、4者(鉄建公団訴訟原告団、鉄道運輸機構原告団、全動労争議団、国労闘争団全国連絡会議)、4団体(国鉄闘争に勝利する共闘会議、全日本建設交運一般労働組合、国鉄労働組合、国鉄闘争支援中央共闘会議)のこれまで積み上げてきた共同行動、とりわけ当事者4者の団結を強化し、裁判闘争、大衆闘争に全力を挙げ、今次のILO報告をも活かして、被解雇者1047名のJR採用差別事件の早期解決に向けて更に奮闘する決意を表明するものである。

以上

[関連情報]
ILO結社の自由委員会報告仮訳(第297回理事会で採択)
全労連・全日本建設交運一般労働組合、【声明】日本政府はILO報告に基づき、ただちに解決交渉の場を設けよ(2006年11月17日)
国労、声明(2006年11月16日)
鉄建公団訴訟 第1回控訴審(東京高裁第17民事部係属) 11月20日
[報道]
JR採用差別 ILO、解決へ援助 日本政府に受け入れ迫る
国労不採用問題で勧告 日本政府にILO
国労不採用問題で勧告 日本政府にILO
ILO、国労不採用問題で7度目の勧告
国労組合員不採用問題、ILOが日本政府に勧告
国労組合員不採用:日本政府に異例の関与要請 ILO

投稿者 管理者 : 2006年11月20日 00:00

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