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2006年12月08日

福井大学の取り組み、緊急共同声明「教育の国家統制を強める教育基本法「改正」案の廃案を求める」

■「意見広告の会」ニュース380より
大学改革日誌
 ∟●最新日誌、12月7日(2)経由

福井大学の取り組み

緊急共同声明「教育の国家統制を強める教育基本法「改正」案の廃案を求める」

         
 政府・与党は教育基本法「改正」案を11月16日の衆議院本会議で野党欠席のまま強行採決した。私たちは、戦後の平和と民主主義の象徴である準憲法ともいえる教育基本法の精神を否定する政府・与党の今回の暴挙に対して断固抗議するものである。現在、いじめによる自殺問題や高校の単位未履修問題が焦点となり、教育の在り方が根本から問われている状況において、それらの審議を尽くすことが国民に対する政府・与党の責任である。しかしながら政府・与党は、基本法「改正」を最優先課題とし、タウンミーティングでの「やらせ」質問や謝礼金の問題等の審議も「改正」問題とは別個に処理しようと画策している。

 教育基本法は、戦後日本の民主化の過程で平和と民主主義の理念を掲げた日本国憲法を踏まえた「教育憲法」(準憲法)ともいえるもので、戦前の教育勅語にかわる民主主義の崇高な理念を示したものである。教育基本法「改正」案の問題点は、以下の5点である。第1に、今回の「改正」の必然性・必要性の明確な説明がなされていないことである。現行法を完全に実施するのではなく、なぜ今「改正」なのか、説得的な理由がまったく示されていない。
 
 第2は、「改正」案には新たな条項として「教育の目標」(第2条)が付け加えられ、国民に求められる「必要な資質」として20項目にも及ぶ価値や態度が細かく規定されていることである。「改正」案は新たに具体的な教育価値や教育内容を定め、それを管理する教育内容統制法に、現行法を180度転換するものといえる。

 第3は、その「目標」の一つに、「国を愛する態度」が書き込まれ、その愛国心を国家が統制することが法的に正当化されようとしていることである。人間の態度や内心を拘束する法律への「改正」それ自体が、日本国憲法に違反するものといえる。9月21日の東京地裁による国旗・国歌強制への違憲判決は、まさしくそれを示すものである。

 第4は、教育の自由の理念が大幅に後退させられていることである。現行法の第10条(教育行政)に書かれた「不当な支配」禁止規定の全面否定である。

 第5は、教育振興基本計画の根拠規定が第17条に盛り込まれ、基本計画が閣議決定されればただちにその内容が教育の場に強制されるものとなることである。以上から、政府に対する監視の法である教育基本法の本来の役割が、政府の一方的な法文解釈と政策を絶えず合理化して教育の場に具体化していくための法に変質させられることを危惧する。
 
 私たち福井大学教職員組合と日本科学者会議福井支部、及び福井大学教職員有志は、教育の国家統制を強める教育基本法「改正」案の廃案を求め最後まで闘うことをここに宣言する。

2006年12月5日
福井大学教職員組合
日本科学者会議福井支部
福井大学教職員有志

投稿者 管理者 : 2006年12月08日 00:01

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