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2007年02月02日

私学事業団、私立大学の財務状況調査 財政の悪化は深刻化

日本私立学校振興・共済事業団
 ∟●月報私学(2007年2月号)

平成十七年度決算集計から
大学法人・短期大学法人・高等学校法人の財務状況

 昨年十二月に私学事業団では、平成十八年度版『今日の私学財政』を刊行しました。
 その集計結果をもとに、十八歳人口のピークであった四年度から十七年度までの財務状況の推移を分析します。
 近年、日本経済は緩やかに成長しているといわれていますが、少子化が進む中、私立学校の財政の悪化は、深刻化しています。

大学法人(全体)

 十七年度の特徴は、学生生徒等納付金の減少により、帰属収支差額比率についてマイナスの法人が増加したことです。全体的にみると帰属収支差額比率は上昇していますが、これは特定の法人による寄付金の影響であり、本格的な回復を示すものではありません。
 表1―1は四年度から十七年度までの大学法人全体の集計値と主な財務比率を示しています。
 人件費比率は、人件費の帰属収入に対する割合です。帰属収入は、学校法人の負債にならない収入です。人件費には、教員及び職員人件費、役員報酬、退職給与引当金繰入額等が含まれており、人件費は、消費支出の中で最大の割合を占めています。人件費比率が高くなると、消費支出が増加して収支の悪化を招く原因ともなります。四年度以降、五〇%前後で推移しています。十七年度は四九・四%となり、十六年度より〇・九ポイント下降しました。
 学生生徒等納付金比率は、学生生徒等納付金の帰属収入に占める割合です。四年度以降は、五〇%台で推移しています。学生生徒等納付金は、帰属収入の中で最大の割合を占めており、帰属収入を左右する重要な財源です。
 人件費依存率は、人件費の学生生徒等納付金に対する割合です。十七年度は八九・九%となり、十六年度より〇・七ポイント上昇しました。これは、学生生徒等納付金の増加以上に人件費が増加しているためです。  
 図1―1の帰属収支差額比率は、帰属収入から消費支出を差し引いた帰属収支差額の帰属収入に対する割合です。消費支出には、人件費、教育研究経費、管理経費、借入金等利息等が含まれます。この比率がマイナスになる場合は、基本金を組入れる前に消費支出超過であり、著しく経営が窮迫していることを意味し、学校法人の収支状況を分析するうえで常に重要な比率です。五年度以降、下降傾向を示しています。十七年度は七・八%となり、十六年度より〇・五ポイント上昇しましたが、その原因は、特定の法人による寄付金の増加によって帰属収入が増加したためです。その影響を除いて分析すると、十七年度は、十六年度より悪化しています。
 表1―2は帰属収支差額比率がマイナス値の大学法人数とその割合をまとめたものです。帰属収支差額比率がマイナス値の法人の割合は、七年度以降増え続けています。十七年度は、二七・四%に上昇し、大学法人全体の四分の一を超えました。十六年度と比べて十五法人増加しています。この数値は過去最高値であり、多くの大学法人において収支の悪化が進んでいるといえます。
 図1―2の有形固定資産構成比率は、有形固定資産の総資産に占める割合です。学校法人は、教育研究活動に多額の施設・設備投資を必要とするために、固定資産の構成比率が高いことが特徴です。最近では、固定資産の中で各種の引当特定資産等が増加し、その他の固定資産の割合が相対的に高くなっています。有形固定資産とその他の固定資産を、固定資産として一括して分析することは必ずしも適切ではないので、土地、建物等の有形固定資産のみを対象とした有形固定資産構成比率を用いて、資金の固定化の状況をとらえます。この比率は、四年度以降およそ六〇%弱のところで推移しています。
 固定比率は、固定資産の自己資金に対する割合です。十年度以降、一〇〇%以下で推移しており、固定資産の取得に借入金等を含む他人資金に依存していた状況から、自己資金による調達へ移行していましたが、十六年度以降、上昇に転じており、十七年度も九九・六%と十六度より〇・二ポイント上昇しました。
 総負債比率は、総負債の総資産に対する割合です。五年度以降、減少傾向となっています。十七年度は、一五・五%となり、十六年度より〇・四ポイント下降しました。新たな借入金を控え、借入金の返済が進んでいるといえます。
 運用資産余裕比率は、貸借対照表上のその他の固定資産と流動資産を合計した運用資産から、総負債のうち退職給与引当金と前受金を除いた外部負債を引いた金額が、消費収支計算書上の消費支出の何倍かを示すものです。この比率が高いほど、支出規模に対して資金蓄積が良好であるといえます。五年度以降、増加傾向となっています。……


投稿者 管理者 : 2007年02月02日 00:05

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