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2007年03月26日

新潟大学学長選考会議選考無効確認等請求事件、第7回口頭弁論記録

■「意見広告の会」ニュース404より転載

学長選考会議選考無効確認等請求事件・第7回口頭弁論記録

2007年3月20日 山下威士

1 新潟地方裁判所 民事部 訴訟番号 平成18年(ワ)第32号・無効確認訴訟

2 第5回口頭弁論 2007年3月8日(木) 13:13―13:16、第1法廷開廷

3 担当  民事第2部 山崎まさよ(裁判長)、外山勝浩、西村真人・裁判官(合議)

4 原告  7名出席

5 原告側訴訟代理人 川村正敏・弁護士
           鯰越溢弘・弁護士

6 被告 新潟大学

7 被告側訴訟代理人 桜井英喜・弁護士
           小田将之・弁護士(新潟青山法律事務所)

8 傍聴人  第1号法廷 55人収容 50名前後(ほぼ満員)

9 公判状況
(1) 最初に、マスコミ用の写真撮影が2分間ありました。
(2) その後、ただちに、裁判長より、「本件訴えを却下する。訴訟費用は原告らの負担とする。」との主文申し渡しがあり、ただちに閉廷されました。もちろん、理由の朗読、あるいは、説明は、ありませんでした。

10 まったく私的な感想
(1) 後に入手しました判決文によれば、「裁判所の判断」は、以下の通りです。
① まず「学長選考会議には、学長候補者を選考決定するに際して広範な裁量が認められていると解すべきであり。法は、大学内で研究・教育に携わる者らの意向については、学内委員を通じて間接的に学長選考会議に反映させることを予定しているといえる。」と述べています。
② その上で、学長選考規則14条1項の「学長選考会議は、第二次意向投票の結果を参考とし、学長候補者を選考の上、決定する。」という条項を、「学長選考会議が、学長候補者の選考決定をするにあたって、学内の意見を聴取し、その結果(第二次意向投票の結果。単に1位の者が誰かということだけではなく2位、3位の得票数等を含めた投票全体に関するあらゆる結果を含む。)を選考判断の参考資料として用いるべきことを規定したものと解するのが相当である。」とします。
③ 以上の立論にもとづいて、「したがって、本件決定当時、学長選考会議の構成員ではなく、第二次学長候補適任者でもなかった原告らは、本件決定について法律上の利害関係を有しているとはいえないから、本件決定の無効を求める訴えの原告適格を有しないというべきである。」と結論づけています。
(2) 裁判所の判断は、上記のように、予想外の結論になりました。ここでは、学長選考会議の裁量性のみが強調され、私どもの主張した以下の点について、まったく触れるところがありません。
① 鈴木佳秀教授の辞退の意思を、学長選考会議が無視したこと、および、同会議の冒頭では、同教授の辞退の意思を無視して、学長候補者選考の議論の対象にしておきながら、同じ会議の最後においては、同教授を無視して、残り2名についてのみ議決・投票を行っていることという、2重の手続き違反については、まったく触れるところがありません。
② また、いかに学長選考会議に学長候補者選考について裁量性があるとはいえ、今回のように、その審議過程、すなわち、第二次意向投票の結果と異なる結論にいたる過程について、「混乱が生じるから、一切説明しない」と発言した学長選考会議の議長の説明責任の放棄による違法性についても、いささかも触れていません。いかに、第二次意向投票の投票権者に、「権利性」がないとはいえ、法に定められる投票を行った以上、その結果について知る権利は保障されるはずです。それすらもないとすれば、何のための投票だと、裁判所はお考えなのでしょうか。このような私どもの主張にも、本判決は、まったく触れていません。
(3) 今回も、多くの方々に傍聴に参加していただき、まことに心強いことでした。しかし、結果は、最悪のものとなりました。これでは、今回の学長候補者選考過程の内容は、まったく藪の中となり、しかも、判決で「裁量性」を強調することにより、学長選考会議が、決めれば、何でもありという結論になります。これでは、まさにわが国の大学の自治などは、どこかに飛び散ってしまいます。私どもは、当然のこととして、ただちに、控訴し、私どもの主張について、いま一度裁判所の判断を求めたいと思います。
(4) 第一、このような木で鼻を括ったような、形式的な判決をだすために、なぜ、9月段階で、それまでの単独審理を、合議審理に切り替えたのでしょうか。判決内容は、ただ、被告側の主張を、もっとも単純になぞるものに過ぎず、この程度のものでお茶を濁すだけなら、単独審理で十分なはずです。思い切り悪意に勘ぐれば、裁判所が時間稼ぎをしたとしか思えませんが。あるいは、まさに時間稼ぎのために、このような木で鼻を括ったような判決を出せば、原告側は必ず控訴するであろうから、東京高等裁判所でゆっくりと審理を行い、2008年1月の現在の学長の任期切れ(訴訟対象の消滅)という期限の到来による訴えの却下でも狙っているのでしょうか。
素人である私からしても、このような単純な「裁量性」の強調のみによる門前払い判決が、これまで、2005年の小田急電鉄事件最高判などに象徴されるように、訴えの利益を広げ、できるだけ門前払いを避けて、内容の審議に入って,もし、必要であれば、棄却の判断を行うという、最近の判例の傾向に、大きく外れるような気がします。とりわけ裁判員制度などを通じて、「市民に分かりやすい裁判を」と努力されている、最近の最高裁判所の傾向とも大きくズレるように思われます。
(5) 私どもは、2007年3月16日付けで東京高等裁判所に、本件について控訴しました。訴訟は、なお継続します。みなさまのご支援を、これまで通りに宜しくお願いいたします。なお、私が、定年直前の雑務のため、および、判決直後から北京大学に研究会のため出張しており、ために今回の報告が遅くなったことをお詫びいたします。
以上


投稿者 管理者 : 2007年03月26日 00:05

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