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2004年01月13日

『兵たちからの手紙』-マイケル・ムーア

TUP速報241号

ブッシュ=ブレア連合軍によるイラク侵略の直前、オスカー受賞式の壇上で、「ミスター・ブッシュ、恥を知れ!」と啖呵を切って、世界に名を馳せたマイケル・ムーアのメールボックスに届いた無名兵士たちの手紙……それに応えるムーアの連帯メッセージ……。それは、兵たちから、そしてムーアからの新年の挨拶、反戦・平和メッセージになって、私たちにも届きます。

TUP 井上 利男
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『兵たちからの手紙』
――マイケル・ムーア
2003年12月19日
マイケル・ムーア公式ウェブサイト
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皆さん、

クリスマスに始まる年末年始、私はイラク駐留任務についているアメリカの子
どもたちのことをあれこれ考えてきた。私はイラクにいる兵たちから何百とな
く手紙を受け取ったいる。兵たちは、騙されていた、この戦争はアメリカ合衆
国の安全保障とは何の関係もないと、胸を締め付ける言葉で、雄弁に私に語り
かけている。

(軍人が言論の自由を実行しようものなら、懲戒を受ける恐れがあるので)君
の手紙を転載しても大丈夫かと、兵たちに訊ねてみると、多くの者がイエスと
応えてくれた。彼らの勇気に感謝しつつ、兵たち、その他関係者たちの手紙を
紹介しよう。

米海兵隊上等兵ジョージ・バットン――
「私の中隊や他の部隊で話しを向けてみると、サダムの大量破壊兵器にまつわ
る大統領の脅しは嘘っぱちであり、この戦争の本当の動機は金に過ぎないと信
じている連中がいかに多いか、ビックリすることでしょう。わが中隊は、任務
を達成するための装備を十分に持たずに、やっていかなければならなかったと
いうようなデタラメも数多くありました」

米陸軍技術兵マイク・プライスナー――
「祖国への忠誠心に燃え、憧れの理想のためなら、死んでもよいと、躊躇なく
州立大学の奨学金申請を取り下げ、私は入隊しました。あれから2年経って、
漆黒の滑走路に着陸し、自分とは関わりもない国へいよいよ突入するんだと、
(オスカー授賞式の)あなたの言葉を頭の中で繰り返しながら、思い定めていま
した。イラクにいる間の私といえば、いつもいつも、自分の行動を納得させて
くれるものを探し回っていました。だが、いくら頭をひねって主戦論を考え出
そうとしても、わが大統領の作り笑い顔が思い浮かぶだけであり、この男は国
民を騙しているのだと思ってしまうのでした」

今もイラクにいる、匿名希望の陸軍兵卒――
「正当に選出されてもいない男の部下として、兵役につくのは、とても厄介な
のです。この男が私の大統領であり、ボスなのですから、彼について話すとす
れば、誰に向かって、何を言っていいのか、私はとても気をつかわなくてはな
りません。あの男は、私の友人たちを、家族を、人びとを、信じられないほど
ビクビクさせるような危険に絶え間なく陥れています」

米陸軍にいたジェリー・オリバー ――
「このほど私は名誉除隊しましたが、祖国の変貌ぶりを目にして、慄然とする
ばかりです。アメリカは『1984年』(ジョージ・オーウェルの反ユートピ
ア小説)の世界になってしまいました。本土安全保障法は、私たちがたがいに
監視しあい、反社会的になるように国民に教えています。米国民は安全保障の
名目で自由を犠牲にしようとしているのであり、その同じ自由のために、私は
命をかけたのです。憲法は危機に瀕しています。トミー・フランクス将軍は、
ふたたびテロ攻撃があれば、憲法には何の意味もなくなると発言しました」

米陸軍技術兵が、サダム拘束について――
「スゲェー、戦場に13万の兵、死者500人近く、一日に100万ドル近く
の戦費――それで、連中が捕まえたのは、穴暮らしの奴一匹なんだから。おい
ら、幻でも見てるのかな?」

兵の母親が、ご子息を代弁して――
「私の息子は、戦争の『終結』以来で、今の現状が最悪であると申しています。
兵たちは新しい交戦規則をあてがわれ、たとえ『付随的』被害という結果に終
わろうとも、米国人を攻撃する者は誰であれ、『殺す』ようにと命令されてい
ると息子は言います。痛恨の極みながら、自衛のためとは言え、息子は人を殺
してしまいました。指揮官が『いい殺しだ』と言いました。今、私たちは……
ベトナムをそっくり再現しているのです」

56才の海軍退役軍人――
「トラック運転手として携行する武器は何かと私は訊ねた。彼は新型のM16
だと言った。そんなもの、私の現役時代でも何の意味もなかった。どんな携帯
武器(ピストル)を支給されたのだと彼に訊ねた。『先輩、支援要員に、携帯武
器も防弾ジャケットも支給されません。金がないので、支給されるのは実戦要
員だけなのです』と彼は答えた。アホのブッシュは、とても信じられない、途
方もない最低野郎だ」

40才の海兵隊退役者――
「他の主権国にわが国の利権がある場合を除いて、わが国旗を立てる理由は、
何だろう? 世界がわが国を憎んでも、不思議ではない。世界の人たちは、ど
んな人間を見ているのか? 軍服を着て、銃を抱えたマヌケな若造であり、金
持ちの老いぼれた白人ツーリストなのだ」

さて、開戦の春を振り返って、どのような類の反戦意見であっても、職場、あ
るいは学校、それに、えーっと、授賞式で表明することが、どれほど危険であ
ったのかを思い出してみよう。戦争反対を口にしたら、「それでも、私は兵た
ちを支持します」と大急ぎで付け加えたほうがよかった。ついうっかりこれを
忘れようものなら、非国民、反米主義者の烙印を押され、兵が命を落とすよう
なことがあれば、君のせいだと勘ぐられる羽目になった。

18才になるまで、街でどん底の地区で育ち、最低に惨めな学校に通い、危険
を抱えて生き、失うものなど何もないと学び、両親が生きるために苦闘を続け、
福利、教育、図書館、消防・警察、未来を削減して、常に生活水準引き下げを
企む制度によって、屈辱を受けるのを見つめてきた――そんな彼らを、私たち
が戦争に送ったのは、私たちを防衛するためではない。彼らを戦争に送ったの
は、ブッシュとその会社が世界第2の石油大供給源を支配するため、副大統領
が政府の数十億ドルを横領するためなのだ。

兵たちに反戦のメッセージを込めた慰問小包を送る、イラクの民間人犠牲者た
ちを支援するために国際赤十字連盟に連絡するなど、私たちににできることは
多いが、結局、この戦争を早急に終わらせることが、兵たちに贈る最善のプレ
ゼントなのだ。インターネットで君の地域の平和運動グループを探し、参加し
よう。大統領選挙では、反戦候補(クシニッチ、ディーン、クラーク、シャー
プトン)を応援しよう。今度の11月、戦争成金どもを公職から追放するため
に、できることは何でもしよう。

どうか、ご無事で、速やかに帰国されるように。そして、『平和の王子』と共
にある、この季節、私たちの思いと祈りは君たちと共にあることを分かってい
てほしい。

皆さんと共に
マイケル・ムーア
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Letters the Troops Have Sent Me... by Michael Moore
December 19th, 2003
Mike's Words : Mike's Message
http://www.michaelmoore.com/words/message/index.php
(c) MichaelMoore.com, All Rights Reserved
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抄訳 井上 利男 / TUP

投稿者 管理者 : 2004年01月13日 10:11

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