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2004年02月25日

福岡教育大学、教員有志の学長辞職を求める声明(2月20日)

全大教近畿HPより引用

声    明

 松尾祐作福岡教育大学学長は、2004年1月8日付の全教職員宛文書「法人化後の運営組織について(報告)」(以下、「報告」とします)において、本学が国立大学法人に移行した後の運営組織案(以下、「運営組織案」とします)を示し、全学に対して理解と協力を求めました。これは、「運営組織案を教授会には一切諮らないこと」の事実上の宣言に他なりません。すでに松尾学長は、教授会構成員が納得できる十分な説明もないまま、法人移行準備を専決的に進めていますが、本来、国立大学法人への移行準備という本学の目下の最重要事項については、すでに公表されている「国立大学法人福岡教育大学中期目標・中期計画(素案)」の策定手続と同様に、教授会の審議を経て最終決定されなければならないものであって、この過程を無視した学長の行動は、現に、学内に多大なる不信と混乱を招いています。

 松尾学長は、「報告」において、「運営組織は大学法人全体の在り方と密接に関連することから、教授会のみならず、事務協議会、附属学校からも意見をうかがい、全構成員の意向を反映しつつ精力的に充分議論を尽くし、検討を進めてきた」と述べています。しかし、現状は、果たして、その通りになっているでしょうか。例えば、事務組織は、もともとトップダウンで運営されており、運営組織案について、多くの事務職員がその内容について熟慮できるだけの十分な説明を受けたうえで意見を自由に表明できているのか、疑問です。また、教員にとっては、今回の運営組織案が今後の教授会のあり方に対して大きな影響を与えるものであるにもかかわらず、当の教授会は、この案件を審議する機会を一度も与えられていません。したがって、「全構成員の意向を反映しつつ精力的に充分議論を尽くし、検討を進めてきた」とする学長の言明は、事実に反するものであると言わざるを得ません。

 松尾学長は、さらに、法人化後の学長予定者の辞令を受けた者の責任と権限において、運営組織作りを進めていくと通告しています。確かに、国立大学法人法が2003年10月1日に施行され、全ての国立大学長が「国立大学法人の学長となるべき者」としての「指名」を受けました。しかし、この法律に基づいて国立大学が国立大学法人へと移行するのは2004年4月1日です。したがって、この日までは、松尾学長が国立大学法人の学長として「任命」されたことにはならず、その権限を行使することもできません。松尾学長は、本学の運営に当たっては、依然として、現行の国立学校設置法及びこれを踏まえた本学の規程に基づき、教授会に対して責任を負わなければなりません。

 にもかかわらず、松尾学長は、今もなお、専決的に法人移行準備を進めるという姿勢を取り続けています。そこで、教授会有志は、松尾学長の大学運営方針を問うために、2004年1月16日及び2月6日の二度にわたって福岡教育大学教授会規程第3条第3項(「教授会構成員6分の1以上の要求があったときには、これを開かなければならない。」)に則って教授会の開催を要求しました。要求者の数は、教授会構成員の過半数に達しましたが、松尾学長はこれを拒否しました。こうした事態を受けて、教授会有志は、2月12日、松尾学長の信を問う教授会の開催要求を規程に基づいて行いました。松尾学長はこれも拒否しましたが、この要求者の数も過半数に達しています。

 国立大学法人法は、学長の権限を強化し、そのリーダーシップに期待しています。しかし、こうした学長のリーダーシップは、決して恣意的なものであってはなりません。そのため、「中期目標・中期計画(素案)」では、本学の運営体制改善に関して、「トップ・マネジメントとボトム・アップの調和のとれた、民主的かつ機動的な大学運営体制の確立を図る」ことを目標としています。松尾学長による現在の大学運営は、すでに明らかにそれと矛盾し、トップダウンに終始するものです。このような大学運営の手法が法人化後の本学に持ち込まれることになれば、先の非常勤講師予算削減問題をめぐる混乱に示されるように、本年4月に新たに発足する国立大学法人福岡教育大学の運営に大きな支障が生じるであろうことが容易に予測されます。

 松尾学長は、1月21日、2004年度の人件費不足を理由に、非常勤講師枠を半減する旨の「学長裁定」なるものを一方的に下しました。その際、予算不足について、対応策の検討を予算委員会に諮ることなく、しかも予算不足の根拠すら示していません。このことで学内の不信感は一層増大しています。学内の批判と新聞報道を受けて、非常勤講師予算半減方針は撤回したものの、松尾学長が大学の根幹である教育を犠牲にするような判断を安易に下したことは、もはや教育機関である大学の長として不適格であることを如実に示しています。そもそも国立大学法人法は、国立大学法人の学長に必要とされる資質として、「人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する」ことを求めています。

 今回の問題は、本来、大学の自治の範囲で解決すべきものであり、私たちは、学長の主宰する教授会において、対話と審議を通して解決することを求めてきましたが、残念ながら、学長の拒否によって果たせませんでした。このうえは、全構成員の相互信頼と協力態勢のもと、学生の教育と社会への貢献にさらに尽力していくために、あえてここに松尾学長の速やかな辞職を要求します。

2004年2月20日    
福岡教育大学教員有志

投稿者 管理者 : 2004年02月25日 11:34

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