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2004年06月15日

都立の大学を考える都民の会、「東京都公立大学法人評価委員会条例」案に関する意見(6月9日)

都立の大学を考える都民の会ホームページより転載

東京都公立大学法人評価委員会条例」案に関する意見

 現在開催中の東京都議会において、「東京都公立大学法人評価委員会条例」案が提案されています。私たち「都立の大学を考える都民の会」も、これまで都民としての立場で、都立の大学ないしはその改革を注視してきた経過から、本条例案には深い関心をもっております。大変限られた審議期間ゆえ十分な準備はありませんが、以下いくつかの点から、この条例案についての意見を簡略にお伝えしたいと思います。文教委員会及び本会議での審議の際にご考慮いただければ幸いです。

1.評価委員会条例作成時期の妥当性について
 まず初めに私たちが疑問に思いますのは、なぜ本評価委員会条例が、公立大学法人の定款が提案・議決される以前に提出される必要があったのか、という点です。
 同委員会について規定した地方独立行政法人法第十一条に照らして考えましても、またより一般的・常識的に考えましても、ある機関の「業務実績の評価などを行うため」(本条例案第一条)に設置される委員会が、当該機関の設置如何の決定以前に提案・設置されるというのは、大変不自然であり、妥当な手続きとは考えられません。事実、他の自治体における公立大学法人設置計画においては、大阪府、秋田県、福島県、熊本県、横浜市、北九州市など、現時点までに知りうる限りで、評価委員会条例の提案は、法人定款の議決後もしくは定款の提案と同時になされ、あるいは今後なされる予定となっており、東京都のようなケースをみつけることはできません。
 私たちは、きわめて一般的・常識的な意見として、本評価委員会設置に関する審議は、法人定款に関する審議と合わせて、あるいはその決議ののちにおこなってほしいと考えています。また、こうした認識・意見がありうることを知りつつなお今回の提案に至ったのであれば、提案者はまずは最低限、その一般的ではない手続きをとることが東京都にとって不可欠・必要であった固有の理由について、議会ひいては都民に対し、丁寧かつ説得的に説明する責任があると考えます。

2.評価委員会条例原案作成主体について
 次に考えますのは、本評価委員会条例がどのような主体と手続きで作成されたのか、という点です。
 他の自治体における公立大学法人設置の例を見ますと、評価委員会条例案の審議・作成の主体ないし手続きがホームページなどの場で県民に情報公開されている場合もあります。(福島県、北九州市など)しかるに、東京都の場合、本条例案の審議・作成がどこでどのようになされてきたかを知りうるすべは、今回の提案に至るまで、私たち都民には一切ありませんでした。行政運営における透明性の確保が、今日の自治体行政においてきわめて重要になっていることは言うまでもないことですが、とりわけ本件は大学運営への学外者の関与に関する案件であり、私たち都民にとって強い関心を抱かされるところです。その原案が、内容に即して適切な主体と手続きをもって作成されたのかどうかを私たちは知りうる権利があると考えますし、行政側にはその点について説得的な説明を行う責任があると考えています。

3.評価委員会条例の条文内容について
 つぎに、条例案の条文内容に関する意見をお伝えします。
 まず一点目ですが、地方独立行政法人法においては、評価委員会の役割・責任として、当該地方独立行政法人の各事業年度業務実績に関する評価をおこなうこと(同法第二十八条一項)および、中期目標の議決に際して、設立団体の長による事前意見聴取を受けることが規定されています。(同法第二十五条三項)
 この場合、とりわけ後者の役割・責任の履行にあたっては、その意見提供の客観性を担保するために、同委員会が、当該地方独立行政法人からはもとよりのこと、設立団体及びその長からも、一定の自律性と独立性を保持することが不可欠かと考えられます。この点から考えるとき、本条例第二条にある委員選定方法は、それがすべて知事の任命であること、委員承認の公的手続きが用意されていないことなどの点で、必ずしも説得的な提案とは考えられません。少なくとも委員の一定数は、公募や学術団体等の社会的主体からの推薦など、知事による任命以外の方法で選定すべきと考えますし、また、議会等の適当な機関での委員承認手続きが考慮されてしかるべきでしょう。
 もう一点は、地方独立行政法人法第七十八条三項には、「評価委員会が公立大学法人の評価を行うに当たっては、学校教育法第六十九条の三第二項に規定する認証評価機関の教育及び研究の状況についての評価を踏まえる。」との規定がありますが、公立大学法人の運営におけるこうした固有の配慮が、東京都における本委員会の運営においても十分に顧慮し担保されるよう、本条例条文もしくは少なくとも運営上の指針などにおいて、何がしか明記されることが必要ではないでしょうか。本委員会が、一般的な地方独立行政法人評価委員会ではない固有の任務と責任を負う点を示すことは重要と考えます。

 最後に、以上の点などから、私たちは、本条例案は拙速に議決すべきものではなく、法人定款の提案を待ち、それと合わせて、また都民にも開かれた形で、十分な時間をかけて審議されるべきと考えます。ご考慮いただければ幸いです。
以上
2004年6月9日
都立の大学を考える都民の会


投稿者 管理者 : 2004年06月15日 00:38

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