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2004年06月16日

横浜市大教員組合、今回の公募人事 募集要綱における「踏み絵」問題を指摘!

大学改革日誌(永岑三千輝教授)−最新日誌(6月15日)より転載

 教員組合からウィークリー最新号を受け取った。瀬戸キャンパス(事業所)の9割(以上?)を組織する教員組合の申し込みにいっさい答えないことをはじめとして、労働法違反ではないかと言う指摘は、きちんと労働基準監督局、その他、労働法関係の専門関係当局に確認し、しかるべき組合としての行動をとることが必要になることだろう。一方で、「新しい大学」なのだから、と現在の評議会・教授会の審議権を無視しながら、他方で、新しい「大学法人」ならば当然、その準備として教員組合とも良好な関係を構築していくべきだが、その態度は見せないと言うことでは、社会的に公正なやりかたではないだろう。裁判などになれば、教員組合(労働組合)の正当な手続きに従った申し出でに対してなんらしかるべき対応を示さなかったことも、重要な事実となるだろう。もう一つ、募集要項における「踏み絵」問題が重大問題として指摘されている。まさにそのとおりだと考える。このような公募文書(公募項目)を出しただけで、今回の本学のやり方の問題性(都立大学との共通性の部分)が改めて全国周知のこととなったといえよう。また、審査のシステム、手続き(公明性・透明性・公正さの担保)などの諸問題の指摘もそのとおりだろう。さすがに、組合執行部としてきちんと議論し問題点を指摘してくれていると感じた。

横浜市大教員組合「教員組合週報」(2004.06.15)(PDF版)

1.「教員公募』と「教育・研究評価検討プロジェクト(中間案)一新たな教員人事制度の構築に向けた取り組み』について

 市大改革推進本部事務局は,6月7目,教員の労働条件の重大変更を内含する上記文書を記者発表しました。新法人における労働条件については,組合との協議抜きで当局が一方的に設定・変更することは明確な違法行為であるとの見地から,市大教員組合は,すでに5月28目に,独立行政法人移行後の労働条件について早急に呈示すること,などを要求して,最高経営責任者・孫福弘氏との組合交渉を申し入れていました。

 にもかかわらず,当局は,これについての公式の文書回答を教員組合に対して提示することのないままに,今回の記者発表とHPへの文書掲載を強行しました。今回の当局のこのような一方的な対応に関しては,当局が,組合との交渉に誠実に応じるべき義務に違反し,労使関係に重大な障害を持ち込んだその責が厳しく問われなくてはなりません。

 今回の当局の不誠実対応と公表文書に対する包括的な組合の見解は追って示すこととして,ここでは以下の問題点を強調しておきましょう。
 任期制・年俸制を前提とする今回の公募要綱はそれら諸条件の一方的な導入ということだけでも重大な問題を孕んでいることはいうまでもありません。それとともに,公募人事における絶対的な条件としての公正性・透明性の確保という点においてもそれは看過できない重大問題を孕んでいます。

 一般的に言って,大学人事の公募文書における「応募資格」とは,それをクリアーできなければその資格要件の欠格者として実質審査の入り口のところでふるいにかけられる類の極めて厳しい資格要件の設定です。従って,全国の大学の公募文書におけるr公募資格」を仔細に検討してみると,学歴,年齢,教育歴など,誰が見ても客観で公正に確定できる要件が掲げられているのが通例です。

 しかし,今回の公募文書中の「応募資格」の(3)では,「新たな横浜市立大学の目標を理解し,その前提に立ち」とされています。ここに言われている市大の「目標」とは何でしょうか,さらに,「その前提に立つ」とはどのようなことでしょうか。これらについてはここでは一切説明されていません。

 それは当局の認める市大r改革」方針への全面賛同を「前提」とするいわば踏絵的性格を有しているとみなさざるをえません。このような客観性を担保しにくい精神的な「応募資格」,これを誰がいかなる基準で判定するというのでしょうか。ことほど左様に,今回の人事「公募」は,いかようにしてもその恣意性を完全には排除できず,公正性・透明性の確保という公募人事における本質的かっ第一義的な要件をめぐって重大な疑義を生じさせるものです。公募人事の本来のねらいが,公正な審査によってその領域における優秀な人材を採用することにあるとすれば,このような「応募資格」の設定が,本来は応募資格を有するであろう全国および世界の多くの研究者たちの職業選択の機会を制限するものであり,公募人事の精神に反するといわなければなりません。

 さらに,「新しい教員人事制度の構築」文書は,文言による精密な説明が不十分であることを特徴としています。そして,本文書は,文言による充分で一義的な説明を欠落させたままに図解を導入しており,任期制,年俸制,評価制度など極めて重要な労働条件について,この図解によって当局に都合よくいかようにでも解釈できる余地を残すものとなっております。教員の身分・労働条件の設定・変更に関わる重大事項に関して,このような不明確な性格の文書が一人歩きすることは断じて認めがたく,教員組合としてこれを看過することは決してできるものではありません。


投稿者 管理者 : 2004年06月16日 00:19

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