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2004年06月30日

弘前学院大学不当解雇事件、解雇された教員 学校法人が交付した「理由付退職時証明」の内容虚偽を労基署に申告!

2004(平成16)年6月17日

弘前労働基準監督署長 殿

申立人 ○○ ○

申告申立書

 2001(平成13)年8月(日付不明)の貴労基署による学校法人弘前学院理事長代行(現理事長)及び本部事務長への出頭要請及び指導・同年9月4日の学校法人本部への立入調査及び督促の末に、同年9月19日付で交付された、労働基準法第22条に基づく理由付退職時証明(資料1〜2・後述裁判甲第1〜2号証)に関し、同年4月16日の解雇辞令本文、解雇理由として記載された「当学院においては、財政赤字が大きく、(中略)、人件費の縮小の必要性が生じ、整理解雇のやむなきに至り」、及びその後の解雇者対象選定の正当性について、それら記述が虚偽であることが判明いたしましたので、これを申告いたします。

 申立人は当該「解雇」が学校法人弘前学院の解雇権濫用であると考えること、及び、当該理由付退職時証明交付時にその内容について貴労基署菊池良英第一課長(当時)が民事訴訟で決着をつけるように、とのことから、2002年2月7日に青森地裁弘前支部に提訴(地位保全等請求事件・平成14年(ワ)第9号)いたしました。
 地裁は今年3月18日に原告申立人の勝訴の判決を下し(資料3)、その判決理由として、1:整理解雇について「被告は,(中略),本件解雇後に,被告が経営する高等学校の教員を公募したり,大学院を設置していることをも考慮すれば,本件解雇時に,人員整理を行うべき高度の必要性があったものとは到底認められないし,解雇回避努力がほとんどされていないことからしても,被解雇者選定の合理性や解雇手続の妥当性について考慮するまでもなく,整理解雇に合理的な理由があったものと認めることはできない。したがって,原告を有効に整理解雇したという被告の主張を認めることはできない。」(判決文21〜22ページ)、2:申立人を教員不適格としたことに関しても「少なくとも,不適切な原告の言動が学生にそれほど大きな影響を与えたとも思われないのであって,被告の職務の遂行に支障をきたすものであったとまで認めることはできない。(中略)。そして,原告の職場は,大学であり,他の業種と比較しても,個々人の裁量等の幅が広く認められており,必ずしも他人と協調することのみが要求される職場でもないと考えられることをも考慮すれば,本件のような原告の言動をもって,現時点で,原告が大学講師としての適格性を欠いているとまでいうことはできないし,前記(2)のとおりの事情を加味したとしても,この結論を左右するものとは解されない。」(同34〜35ページ)、3:学校法人弘前学院の解雇者選定過程について「本件解雇は,原告に対する十分な調査を行わない段階で行われた
(前記認定事実によれば,原告や学生に対して,事実関係の調査が行われたことはなく,副学長の事前面談においても,これら不適切として掲げられた事情について原告が聞かれた事実はない。)と言わざるを得ず,被告には,十分な調査を行うべきであったのにこれらを行わずに本件解雇に至ったという点で注意義務違反があったものと評価できる。」(同35ページ)とし、上記3点を骨子として解雇権濫用と認定をいたしました。

 これに対し、学校法人側は仙台高裁秋田支部に即日控訴をいたしましたが(平成16年(ネ)第28号・地位確認等請求控訴事件)、地裁が解雇権濫用とした上記1及び3に関しては、学校法人の代理人は5月7日付「控訴理由書」(資料4)において全く触れられず、地裁判決で否定された○○の教員不適格性の事例のいくつかについて異議を申し立てるだけに終始しております。
 よって、理由付退職時証明に記されたもののうち、上記1の整理解雇及び3の解雇者選定については地裁判決理由を認容したものであり、退職時証明の理由内容は全くの虚偽の記載であるものと思料されます。

 これについて、○○の加入する労働組合ジャパンユニオン(東京都葛飾区)が地元労働基準監督署に相談・確認したところ、「退職証明に虚偽の理由を記載した=正しい退職証明を交付しなかった」という点で申告することは可能であるとの判断とのことであり、労基署は申告を受理しなければならないことになっていることから、「虚偽の事項を退職証明に記載した」という申告を行うことは可能であるとの判断に至り、裁判の代理人である横山慶一弁護士(青森八甲法律事務所・青森市長島2−18−2三光ビル2階)の許可を得た上で申告をするものであります。

 なお末尾ながら、資料1の退職時証明を不完全であり再交付させるとした弘前労基署の菊池第一課長(当時)に対し、副学長(当時)が○○に悪い面があるようなことを教授会などで発言しているようなので、○○の不利な記載は困る、としたのに対し、菊池課長は退職理由は財政的なものの詳細にしかならないとして、新たに退職時証明を職権で交付させ、結果的には資料2のような、申立人の要求していない内容の退職時証明が交付されました。これに対し、これは労働基準法第22条2項(当時・現在は22条3項)違反ではないかと申し立てたにも拘らず、(本条文違反は同法第
119条・第120条において懲役・罰金刑あり)、断固たる法的処置を全く行なわず、一切の判断を民事裁判に任せたために、3年後の現在に至っても問題が解決されず、申立人の人権は不当に侵害され続けております。
 貴労基署におかれましては、これら事情をもお含みおきの上、適切な対応をとられることをお願いいたします。
                          
以上

[備考]文中の略記(○○)には,労基署への申立人の実名が入っています。

投稿者 管理者 : 2004年06月30日 00:11

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