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2004年07月05日

岡山大学職員組合、「裁量労働制の導入について」

「組合だより」第71号(2004年6月3日)より転載

裁量労働制の長所と注意点

この制度のメリットは、教員の勤務実態と比較的整合性がいいことです。出退勤時間、休憩時間は個人が自由に設定できます。今日は5時間、明日は10時間と都合に合わせて日々の労働時間を変えることも可能です。その場合、「みなし労働時間」が8時間の場合には、どちらも、8時間働いたことと見なすわけです。したがって、1日8時間以上働いたとしても残業手当は出ません。
 一般には、この点を悪用し労働者にノルマを課して、残業手当なしで長時間働かせる手段とする会社もあります。サービス残業の蔓延という最近の日本の状況に裁量労働制を導入した場合には、特に使用者が労働者の健康・福祉に留意すること、苦情処理制度を設けることなど、厚生労働省は指導を強めています。一般企業とは趣を異にするものの、大学でも個人評価等とへたに絡めると、教員を過重労働追い込み、心の病や過労死に至るケースをうみ出さないとは限りません。裁量労働制の導入は、あくまで、成果主義的賃金制度や教員評価とは別のものとして運用されなければなりません。

残された若干の問題点

 最後に、残された若干の問題点に触れておきます。この制度は深夜(午後10時〜午前5時)労働と休日労働には適用されないので、深夜や休日に働かせると、使用者は割増手当を支払わなければなりません。深夜や休日には働かないことになっているわけです。どうしても休日に働く必要がある場合は、手当を払うか、別の日を休日に振替えます。現実には土日にも仕事をしている教員は多いと思われますが、その場合は「大学の許可を得て」しているわけではないので、労働時間外の「自主研修」として、賃金支払いの対象から外してしまいます。この措置が適法かどうかは検討を要するところですが、現状を維持しようとすればこうするより仕方がありません。


投稿者 管理者 : 2004年07月05日 00:15

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