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2004年07月10日

中国人強制連行西松建設訴訟 「歴史的大惨事を忘れてはならない」

毎日新聞(7/09)

 ◇「大惨事忘れてはならない」

 「どういう歴史的つながりの中で、私たちが生きているのか。中国人強制連行問題から、自分自身を問い直せる」。西松建設訴訟を支援し、中国での聞き取り調査なども行ってきた大阪大大学院文学研究科の杉原達教授は、この訴訟の意義を市民一人一人が自らに引きつけて考えるよう訴える。9日の広島高裁判決を前に、1審判決で認定された事実などをもとに、強制連行・労働の実態を見つめ直したい。【遠藤孝康】
 政府が中国人の「移入」政策を決めたのは、1942年11月。日中戦争での出兵による国内の労働力不足解消を目的に、建設業界などが国に要望した結果だった。
 43年4月〜45年5月に連行された中国人労働者は3万8935人に上る。捕虜が中心だったが、拉致されて日本に送られた農民や商人もいたという。
 連行された中国人は、全国135カ所の建設現場や炭鉱などに送られ、過酷な労働を強いられた。加計町の安野発電所建設現場に送り込まれた中国人360人は、昼夜2交代制で1日12時間のトンネル工事に就いた。
 西松建設が、中国人の現場責任者を介して労働者を支配した。食事の分配を巡るトラブルから、中国人現場責任者の殺害事件があり、16人が逮捕され、広島市内で被爆。うち5人が被爆死した。
 同訴訟での原告側主張などによると、強制連行された中国人は、帰国後も身体的な後遺症などに悩まされる人が多く、貧しい生活を余儀なくされたという。
 1審判決は、民法上の“時間の壁”を理由に賠償を認めなかったが、中国の国内事情や日中関係から、日本での提訴など及びもつかなかった。政府は46年に強制労働の実態をまとめた「外務省報告書」を作成していたが、この報告書の存在も93年まで明らかにならず、強制労働を証明する資料もなかった。
 同訴訟で、同社は株主総会などで「強制連行・労働の実態はなかった」と繰り返した。1審判決後、原告側は花岡訴訟で和解を成立させた新美隆弁護士を弁護団長に招き、和解による問題解決の道を探ったが、同社に歩み寄る姿勢はなく、今年2月に決裂した。
 原告の1人で、父が収容先の広島市で被爆死した楊世斗さん(62)は、「強制連行は侵略戦争がもたらしたもので、父と同様に多くの中国人が命を失った。中国人も日本人も、決してこの歴史的大惨事を忘れてはならない」と訴えた。

[西松強制労働訴訟ニュース]
西松強制労働訴訟で判決 中国人連行で広島高裁(共同通信7/09)
中国人元労働者ら逆転勝訴 西松に2750万賠償命令(共同通信7/09)
中国人強制労働調査怠る 広島高裁判決が指摘(共同通信7/09)
法廷に響く拍手、歓声 抱き合う宋さんら=差替(共同通信7/09)
中国人の被害実態に配慮 強制労働訴訟で広島高裁(共同通信7/09)
<強制連行>西松建設訴訟控訴審で原告が逆転勝訴 広島高裁(毎日新聞7/09)
「強制連行に時効は正義に反する」・広島高裁(日経新聞7/09)
強制労働で中国人逆転勝訴 西松に2750万賠償命令 西松建設は上告(東京新聞7/09)
戦時中の中国人連行、西松建設に賠償命令…広島高裁(読売新聞7/09)
判決「真摯に受け止めを」=強制労働訴訟で中国外務省(時事通信7/09)

投稿者 管理者 : 2004年07月10日 00:47

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