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2004年07月24日

05年開学 揺れる首都大学東京

「〔特集〕法人化で始まった6年間のサバイバル競争 他−選ばれる大学 改革編」毎日エコノミスト(2004/07/20)より部分抜粋

05年開学 揺れる首都大学東京

奥村 隆(毎日新聞社会部) おくむら たかし

 東京都が都立4大学(都立大、科学技術大、保健科学大、都立短大)を統廃合して設立を目指す「首都大学東京」が、7月末にも認可される見通しとなった。ようやく来春開学が見えてきたが、新大学の理念や人事制度を信任しない教員らとの対立が解消されたとは言えず、先行きには不透明さもつきまとう。
 首都大では、英語を民間の語学学校に外注する予定。原書読解や研究発表のために「読み、書き」中心だった従来の英語教育をやめ、必須8単位のうち6単位をネイティブ講師による「話す、聞く」授業にあてる。就職率を気にかける都が、「社会に出て役に立つ」実学重視の設計をした結果だ。一方で、「年間1500万円払って教授に英語を教えてもらうのが経営的に適切かどうか」(都幹部)とコスト意識も覗かせる。理事長に就任予定の高橋宏・郵船航空サービス相談役は、「現在の都立大を経営者の観点で見ると、常識では考えられない非効率がある」と話し、人件費抑制に乗り出す構えだ。首都大は教員に年俸制・任期制を導入し、教授会には人事権を持たせなくする。
 都立大総長や教員らは「開かれた協議体制」を求めたが、学長予定者の西澤潤一・岩手県立大学長は「改革である以上、現大学との対話、協議に基づく妥協はありえない」として拒否した。
 こうしたなか、都立大の近代経済学グループ12人が「研究軽視」ぶりを批判して就任を拒んだ結果、首都大は経済学コースを開設できなくなった。この12人は、世界水準の研究教育拠点を形成するとして国から「21世紀COEプログラム」に指定されていた。法学部でも教員4人が辞任し、今春開設の法科大学院は入試を一時延期せざるを得なくなった。理学部では、朝永振一郎博士の物理学理論を世界で初めて実証し、英科学誌「ネイチャー」に発表した教員らが大学を去った。
 首都圏では教員の公募に競争率が100倍を超えることも珍しくないが、首都大の教員ポストの多くは1ケタの低倍率にとどまっている。
 都の担当者は「新制度に反対する教員は、外部から評価されることを嫌がっているのではないか」と話すが、都立大教員の一人は「教員を大事にしない大学に残っても十分な研究はできない。優秀な人材が流出する結果、学生の教育にも影響が及ぶのでは」と懸念する。学生にとって魅力的な大学をつくるには、教員の研究環境を整えることも重要になっている。


投稿者 管理者 : 2004年07月24日 00:20

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