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2004年09月11日

横浜市立大、藤山嘉夫商学部教授 市大問題に関する最新論文発表!

 横浜市立大学藤山嘉夫商学部教授の横浜市大問題に関する最新論文が「社会文化学会」の学会誌に掲載されました。

 藤山嘉夫「『新しい行政経営(NPM)と公立大学−流動の横浜市立大学から−」(『社会文化学会』第7号(年報),2004年9月10日発行,晃洋書房,1500円)。

目次
はじめに
1.中田市政の誕生と大学の市場化
2.NPM型教育「改革」の基本特徴
3.学長・事務局の秘密主義・トップダウン
4.生命体としての大学

 少しだけ紹介。同論文は,新自由主義の立場にある中田宏市長の行政改革・民営化手法は,1990年代アメリカとイギリスを席巻した行政改革であるところの「新しい行政経営(New Public Management)」であり,市大改革もこの手法に沿って行われたと主張しています。すでに,同手法は近年の東京都教育委員会の公立学校教育改革において導入され,ここでの改革の特徴が市大におけるトップダウンの特徴とあわせて「あり方懇」答申を祖型とする市大「改革」諸案の骨格とぴったりと符合する,と述べています。
 NPM型教育「改革」とはいかなる特質を持ったものか,それが市大改革のなかでどのように進められたのか,これらの諸問題を事実経過を踏まえつつ説得的に展開されています。特に,同論文において印象に残った数ある文章のいくつかをここに示せば,「横浜市立大学の伝統の歴史は,国際的にも優れた研究業績をあげ,かつ,学問共同体たる大学の特性を厳格に踏まえるという大学人として当然の良識を有する優れた歴代の学長によって領導されつつ作り上げられてきた。後生の歴史家は,小川恵一学長の名を,市大の歴史,ひいては日本の大学史に消し去りがたい汚点を打つものとして歴史にとどめるだろう」との言葉です。そして,この市大の歴史的転換点にあたって,学問の自由と大学の自治の見識に裏打ちされた優れた歴代の学長のうち,いま最も想起すべきは第4代目学長の三枝博音であると述べている点です。三枝博音は「鎌倉アカデミア」をどのように考えていたのか,これが本論文のまとめ,すなわち第4章「生命体としての大学」の内容です。全体として,横浜市大問題がよくわかり,読みごたえのある論文でした。(文責・ホームページ管理人)

投稿者 管理者 : 2004年09月11日 02:05

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