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2004年10月13日

自由法曹団、「金銭解決制度」及び「変更解約告知」に関する意見書

「金銭解決制度」及び「変更解約告知」に関する意見書(2004年10月6日)

「金銭解決制度」及び「変更解約告知」に関する意見書

2004年10月6日
自由法曹団
団 長  坂本 修

はじめに

 「今後の労働契約法制の在り方について包括的な検討を行うこと」を目的として設置された貴研究会は、本年4月23日から7月22日までの5回の研究会において、労働契約法制全般のあり方とともに、「労働契約の成立、展開、終了に係るルールの在り方」について論議を進めてきた。

 労働契約に関しては、憲法27条にもとづいて、労働基準法・最低賃金法などの最低労働基準を定める法律が制定されているものの、労働契約に関するルールについての基本法制というべきものが存在していない。このため、労働契約に関する基本ルールは、個別の紛争事案について裁判所が積み重ねてきた判断から成る判例法理に委ねられてきている。ところが、わが国において、大企業を中心とする経営者の多くは、とりわけ昨今、人件費削減によって短期的にでも利益を挙げようと、判例をも無視した違法・無法を繰り返しているのが実情である。

 我々自由法曹団は、労働契約に関するルールとしての基本法制を設けるのであれば、なによりも、こうした実情に照らして労働者保護ための実効性ある法制が打ち立てられるべきであると考える。

 しかし、厚生労働省が設定した検討課題に基づいてこの間に進められてきた貴研究会における論議の経過は、残念ながらこうした要請を満足させる方向とは必ずしもなっていないようにように思われる。

 とりわけ、「労働契約の終了に関する論点」のなかに盛り込まれこれにもとづいて開始された、いわゆる「金銭的解決制度」及び「変更解約告知」新設についての検討には、重大な危惧を感じざるを得ない。これらの検討の結果及びその扱われ方如何によっては、現在でも危機に晒されている労働者の雇用についての権利を、これまでとは比較にならない程に著しく侵害する道を開くからである。

 そこで、本意見書においては、この「金銭的解決制度」及び「変更解約告知」に絞って我々の意見を述べることとする。貴研究会におかれては、本意見書を十分に踏まえて今後の論議を行われるよう切に願うものである。……(後略)


投稿者 管理者 : 2004年10月13日 00:19

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