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2004年11月10日

首都大学東京、知事からのメッセージ

首都大学東京
 ∟●知事からのメッセージ

これまでの日本にない 『まったく新しい大学』 の実現を

 来年の四月から、いよいよ既存の都立大学をはじめ四つの大学を束ねて「首都大学東京」という、今までになかった全く新しい形の大学をつくります。
 今、在学中の学生さんにも勿論そのまま続けて頂き、これから新入生になろうとする人たちに、この大学の新しい感触をぜひ知って頂きたいと思っています。
 今、大学に行っても、何かあまり面白くないと感じている学生が大勢いるでしょう。私自身、もう何十年も前ですけど比較的官学の中の私学と言われているような割と自由な大学を出ましたけれども、それでもあまり勉強はしませんでした。というのも、大学の先生も毎年同じ講義を繰り返している人ばかりでした。ただ、やはり、あの頃から一橋大学と東大の交換授業が始まり、学生の分際で生意気かも知れませんが、東大の経済学の先生の話を聴いて「こんな古くさいマルクス経済学を今頃東大はやっているのか」と、聴きながら馬鹿にしたような覚えがあります。東大の学生もそれで満足したのか不満足だったのかは知りませんが。
 いずれにしろ、もうそろそろ、学生を教えている先生そのものも自己批判して、自分がどんな授業をするかということだけではなく、それも含めて大学のカリキュラム全体のあり方を考えなければ、現代という非常に速く変化し様々なニーズが出てきている時代に、若者の欲求を満たすような大学にはなり得ないと思います。
 新大学には、色々な新しいシステムを取り入れます。例えば、学生の皆さんが大学に入った後思い立ち「よし、俺は青年海外協力隊で一年間カンボジアへ行ってくる」とか「アフリカへ行ってくる」という場合でも、それを得難い体験として修学と同様に評価し進学させたり、それを単位にしたりすることを考えています。
 また、他の学校の、あの先生の講義を聴いてみたいという場合には、その大学との約束も取りつけた上で、単位を銀行の預金のように蓄積して卒業の条件に叶えてもらうことも考えています。
 さらに、産学協同という言葉がありますが、研究の分野だけではなく一代にして自分の創意で大変面白い、新しい企業を創った経営者の人たちに専任講師になってもらい、集中講義をしてもらうことなども有益です。そのような人たちの話を聴いた方が余程面白いと思います。生活感覚もない先生の経済学や経営学の話を聴くよりも、例えば「百円ショップ」を創った人が、どうやって創ったとか、今、プロ野球で問題になっている、皆さんとそんなに歳も変わらないライブドアや楽天の経営者が、どうやって既存の企業に見切りをつけ、どういう発想で何を考えて何をやったかということを聴くことは、大変刺激になることでしょう。いちいち鉛筆で先生の言っていることを写すような授業よりも、はるかにアクティブで人生のためになると思います。
 私は、出来れば一年生や二年生は全員昔のように寮に入ったらいいと思っています。昔の旧制高校の寮をそのまま復活するつもりはありませんが、同じ屋根の下で一緒に寝起きし飯を食って酒を飲むという、そういう付合いというものが今の日本の社会ではなくなってきています。そういったことが、大学生たる若い皆さんの人生をどうやって形づくっていくか、それは非常に有効なものだと思います。
 そして、何といっても学長はあの東北大学を立て直した、特に文部省と東大の権威に真っ向から反対してきた西澤潤一さんという教育者としても卓見を持ったすばらしい方です。私は昔から存じ上げていますが、ようやくこの人をくどき落として学長に迎えることができました。西澤さんも「やるなら、まず東京からだ」と本当に新しい大学の創設に協力していただいています。
 しかも、都立大学に限らず、いろいろな大学を卒業し成功している大・中・小の優良企業の経営者の方々で日本の教育を憂いている人たちばかりが、新しい「首都大学東京」をサポートしていく、あるいは学生たちをサポートしていくチームを作ろうということで、この十月に東京Uクラブが発足しました。
 そういう点で、社会を広範囲に覆う人脈というものがその核に大学を据えた形で、新しい大学の運営というものを考えていきたいと思っています。とにかく奮って応募して頂くとともに、いろいろな人材がここから輩出していくことを熱願しています。


投稿者 管理者 : 2004年11月10日 00:45

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