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2004年12月06日

中央教育審議会大学分科会(第41回)議事録・配布資料

中央教育審議会大学分科会(第41回)議事録・配布資料(2004年10月22日)

中央教育審議会大学分科会(第41回)議事録・配布資料

1 日時 平成16年10月22日(金曜日)10時~12時30分
2 場所 三田共用会議所第4特別会議室(4階)
3 出席者 (委員) 佐々木毅(分科会長)、中嶋嶺雄、茂木友三郎の各委員
(臨時委員) 天野郁夫、荻上紘一、佐々木正峰、島田燁子、関根秀和、南雲光男、田道代の各臨時委員
(委任状出席) 岸本忠三、木村孟の各委員、相澤益男、安西祐一郎、石弘光、野依良治の各臨時委員
(文部科学省) 結城文部科学審議官、石川高等教育局長、金森私学部長、徳永高等教育局担当審議官、泉高等教育局担当審議官、丸山大臣官房担当審議官、村田科学技術・学術総括官、惣脇高等教育企画課長 他

4 議事 (1)  「我が国の高等教育の将来像(審議の概要)」について、関係団体から意見発表があり、その後に質疑応答が行われた。

【社団法人国立大学協会の意見】
 今回、我が国の高等教育の中期的な変化の道筋がこのような形で明確にされたことに大変な意義を感じている。全体の構成については概ね異論はないが、個々の論点について更に踏み込んだ議論が必要だと思われるところがあり、それについて3項目に分けて説明したい。
 1つ目は教育研究におけるエクセレンスの形成である。審議の概要ではユニバーサル・アクセスの実現と、それに伴う教育機関の多様化、機能別分化、質的水準の保証メカニズムの必要性等が指摘されている。その指摘はもっともであるが、高水準の教育と研究の育成については必ずしも明確には述べられていない。特に学士課程教育の質的な高度化は単なる理念や制度の問題ではなく、コストを要する具体的な政策や機関の取り組みを必要とする問題である。エクセレンス形成に向けた大学の自主的な取り組みに対する支援について、その施策の方向性をもう少し示していただきたい。
 2つ目は質的水準向上に資する効率的な大学評価である。質的水準の保証は重要であるが、最低限の水準の保証にとどまらず先進的な大学の教育や研究水準を的確に評価し、それによって日本の高等教育水準を全体として引き上げることも極めて重要ではないか。評価方法の効率化、教育研究水準の高度化に寄与する評価のあり方などについてはさらに検討が必要であり、水準向上のための評価の進め方について具体的な施策の方向性をもう少し示していただきたい。
 3つ目は国民経済の中での高等教育への投資の水準とあり方である。将来像の基本となる財政的な措置は多くが一般的な問題についての指摘にとどまっており、政府としての具体的な行動に必ずしも結びつくものではないのではないか。日本の高等教育への国民経済全体としての投資は国際的にも決して高い水準ではなく、それをどのように拡大していくかについてもう少し具体的な施策に論及していただきたい。
 また政府資金の配分について、競争原理の過度の強調には大学における教育研究活動を長期的に枯渇させる危険性があると考えている。30頁に「機関補助と個人補助の適切なバランス、基盤的経費助成と競争的資源配分の有効な組み合わせにより多元的できめ細やかなファンディング・システムが構築されることが期待される」との記述があるが、この点についてもう少し具体的に検討するよう論及していただきたい。

 以上が国立大学協会全体の意見であり、続いて個人的な意見を述べたい。
 全体として国立大学そのものの将来像、果たすべき役割、存在意義についてもう少し明記していただきたい。また、31頁に国の役割としてからが挙げられているが、大変重要な部分でありそれぞれをもう少し詳細に、具体的に記述していただきたい。国立大学は法人化により労働基準法や労働安全衛生法等の基準に抵触しないよう設備等の整備を進める必要がある。30頁に記述があるが、教育研究だけでなく施設整備について環境問題も含めた支援を述べていただきたい。

 高等教育の質の保証と向上にはファンディング・システムと評価が重要である。前者についてはかなり踏み込んだ記述があるが、後者についてもそれが必要ではないか。また、評価は質の保証のための評価と質の向上のための評価の2つに概念を明確に分けた上で記述した方が良いのではないか。〔3-6〕で多元的な評価機関の形成が指摘されているが、内容的には質の保証のための評価にとどまっている。
 質の向上のための評価にはファンディング・エージェンシーの健全な育成とそれに向けた財政を含めた支援が必要である。機関評価だけでは機関の教育研究の質を向上させることは難しく、個人を向上させることで結果として機関を向上させる手法も採り入れるべきである。評価についてもフロントランナーとなるためには日本の研究者を自国で正当に評価できるシステムを構築する必要があり、そのためにもPO、PD制度の活用を含め、日本学術振興会やJST等をファンディング・エージェンシーとして整備していく必要があるのではないか。この辺りの記述を加えていただきたい。
 科学技術創造立国を担う人材の育成は高等教育機関の役割であり、世界的競争力のある人材の育成について高等教育機関、特に大学の観点からもう少し書き込んでいただきたい。個々の大学の質を向上させるだけでなく、大学間の連携を強化し世界的な競争の中で打ち勝っていくシステムを国としてバックアップしていくべきではないか。大型の研究により国際競争力を有する人材が育っており、その意味で大学共同利用機関は人材養成においても非常に重要な役割を果たしているわけだが、この辺りを書き込んでいただきたい。大型のプロジェクトの評価については外国人を含めた評価システムなど、国際的な視点に立った客観性のあるシステムの構築に対する重要性を認識しておく必要があるのではないか。また国際協力には欧米だけでなくアジアとの連携の視点もあると良いのではないか。

【以下、質疑応答】 (□:意見発表者、○:委員)


投稿者 管理者 : 2004年12月06日 00:11

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