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2005年01月11日

中山成彬文科相に聞く 教育基本法改正 学習の動機はぐくむ

産経新聞東京(01/09)

 ■生命・先祖へ感謝大切 授業時間の削減は問題
 義務教育費の負担をめぐる三位一体改革での議論や、児童生徒を巻き込んだ凶悪犯罪が目立った昨年が終わり、平成十七年は教育基本法改正や義務教育の制度改革など日本の教育をめぐる大きな転機が控えている。新年にあたり、「国家百年の計」である教育のかじを取る中山成彬文部科学相に聞いた。(豊川雄之、田中万紀)
 --教育行政の今年の課題は
 中山 教育基本法改正、学力向上、教員の質の向上、現場主義を二年間で仕上げることを目標にした。特に義務教育改革は大きな課題だ。
 国際調査で子供の学力が低下傾向にあるとの結果が出たことは、率直に認めなければならない。「ゆとり教育」は間違っていなかったが、本来の趣旨や目的が実現していない。要は子供が勉強しなくなったということ。なぜ勉強しなければならないのかという動機がない。「学校を出たら仕事を持って社会に貢献する」という意識づけを行う教育にしたい。
 (こうした問題点は)文部科学省も認めたがらなかった面もある。義務教育はくるくる変えるものでもないが、時代の流れは非常に早く、守るところは守り、変えるところは変えるべきだ。
 --昨秋、義務教育改革私案「甦(よみがえ)れ! 日本」で、学力テストの実施や教員の免許更新制などを打ち出したが
 中山 学力テストが先にありきではない。どういう子供が育っているかチェックする観点から必要と思う。
 これから子供に一番求められるのは、夢と希望を持って時代を切り開くチャレンジ精神だ。学校が地域の伝統や歴史を踏まえ、その地域ならではの教育をしてほしい。独特のカラーを持つ子供を育てることが日本の発展のカギだと思う。
 そのためには、何より先生が大切。教員免許更新制、(教員養成の)大学院構想の目的もそこにある。先生について悪い話題ばかりが注目を浴びるが、ほとんどの先生は一生懸命やっておられる。まだまだ日本の先生だ大丈夫だと思っているが、現状に甘んじてはいけない。
 --学習指導要領の見直しは
 中山 しょっちゅう変えてはいけないが、随時見直す必要はある。
 (教育内容が三割減の)指導要領は本来、先生の創意工夫が生かされるようになっているが、「ゆとり教育」の趣旨が履き違えられ「指導要領の内容を教えればいい」となってしまっている。むしろ授業時間は確保して、個人に対応して繰り返し教えたり、念入りな指導をするということでなければいけなかった。教科内容削減と同時に、授業時間まで削減したのが問題だ。
 --子供の心のあり方にかかわる教育基本法の改正で「愛国心」の表現が議論になっている
 中山 改正法案の提出は、できるだけ早くしてもらいたい。「愛国心」の表現は、与党で協議してもらっているが「国を愛する心」でなぜいけないのかと思う。この世に生を受けてありがたいと思う気持ちが、家庭を愛し、故郷を、国を愛する気持ちにつながる。「国を愛する心」でまとめていただきたい。
 祖先を十代さかのぼると、遠い祖父母は千人を超える。その一人でも欠ければ今の自分はいない。命の流れが自分にきて、自分がある。だからこそ自分の命と同時に、他人の命を大事にしなければならない。教育基本法でも命の大切さをうたうのが基本。自分が生まれたこと、先祖が豊かな日本を作ってくれたことに感謝する心を養うことだ。
 --そうした教育のため、学校や家庭に望むことは
 中山 学校には「これぞ自分たちが育てた子供だ」と胸を張って世の中に送り出していただきたい。
 義務教育には二つの側面がある。国の形成者として社会に貢献できる子供を育てる面と、子供が一生を有意義に生きるための土台づくりだ。校長先生はじめ先生方には使命感をもって取り組み、創意工夫して子供を育ててもらいたい。
 家庭・地域も大事だ。「甦れ! 日本」でも「ほめよう、しかろう、励まそう」と標語を掲げた。世界に生きていく子供たちにとっては国際競争の時代。近隣諸国に負けない子供を育てるよう、励ます家庭であってほしい。
 地域に望むのは「他人の子供は自分の子供」ということ。子供は社会の宝であり国の宝。みんなで育てる気持ちを持ってほしい。
 --子供たちにメッセージを
 中山 日本に生まれたありがたさを感じ、「日本に貢献する自分になるんだ」と毎日の勉強をして、「将来何になるんだ」という夢を持ってほしい。夢を持てば、がんばろうという気になる。
 とりわけ、本や新聞を読んでほしい。私は小学生のころから、分からないことも含め隅から隅まで新聞を読んでいた。活字を通じていろんな生き方や考え方に触れられ、世の中のことも理解できる。私の家も豊かじゃなかったけれど、本だけは最大限の努力をして買ってくれた。ありがたかったと思っている。
 今は努力すれば何でもできる時代。持って生まれた可能性を十分花開かせる努力をして、一日一日が勝負だと思いながら生活してほしい。


投稿者 管理者 : 2005年01月11日 00:27

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