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2005年01月26日

北大職員組合、この度の総長選挙について(声明)

北大職組
 ∟●学長選挙に際し、北海道大学教職員組合としての主張(05.1/20)

北海道大学構成員の皆様へ

北海道大学職員組合 執行委員会

この度の総長選挙について(声明)

 間もなく実施される学長選挙に際し、新選考制度の問題点を明らかにしつつ、北海道大学の基本理念と照らし合わせ、北海道大学教職員組合としての以下のように主張するものである。
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 北海道大学の在りようは、基本理念として「学問の自由を基礎に、純理と応用の別を問わない創造性豊かな研究を推進するとともに、大学院組織等の柔軟な展開を通じて研究教育機能を飛躍的に発展させることにより、人類史的課題に応え得る世界水準の研究の推進を目指す。」のように法人化の直前2003年9月17日に評議会で定められている。

 この理念とこの度の総長選考制度との関連を鑑みる時大きな乖離が存在する。大学における教育研究を等しく各自が責任を自覚し推進する上で、構成員の大学運営に係わる基本的権利が重視されなければならない。総長選挙はその象徴である。新選挙制度は大学の自主的判断のないまま国立大学法人化最終報告に則して大きな変更が行われ策定された。

 変更の第一は理事、経営協議会そして教育研究評議会の構成員の一部からなる「総長選考会議」が、総長選考を意向聴取投票とは別の選考投票で候補者を最終的に決定する強力な権限を持ち、まさにトップダウン型大学運営となっていることである。第二は第1次意向聴取投票から管理職級事務職員を参加させる一方で、従前では2次投票から参加してきた助手を排除したことである。第三に教授経験者でなくとも総長となれるような推薦制度を採用したことである。

 創造性豊かな研究推進には自由闊達な教育研究環境として全構成員に民主的諸権利が不可欠である。この視点で言えば事務職員に権利が拡大したことは望ましいことであるが、上級事務職員のみの選挙参加は他の多く一般事務職員との区別・差別を強め、労働意欲を後退させるとともに、大学における管理部門が強化され、これらを通じ非民主的階層構造を益々強めることになることが危惧される。
 また理念では、大学院組織等の柔軟な展開を通じて研究教育機能を飛躍的に発展させること、が謳われている。助手を総長選考制度から一切排除したことは、この理念を達成させる立場と矛盾するものである。北海道大学の永い歴史の中で助手教員に選挙権が拡大した経緯は、助手を自主自立した教員と認定し、日常的に学生院生の教育研究業務に当たっている実態や学科・専攻科等での会議出席等の運営業務実態を考慮して決めたものである。この視点から助手を排除する正当な理由がない。法人化最終報告では「教育と大学の運営に相当の経験と責任を有する者」としているが、助手を除く正当な理由とはならない。このまま放置することは助手層の教育研究意欲と有意な研究者としての成長を阻害するものである。このことを看過してきた大学執行部の責任は重大で、早急に助手の選挙への参加復帰できるよう制度改正に努力すべきである。法人化で定員増が考えられない状況の中で、助手を含めた全教員が総力を挙げて自主・自立して教育研究に当たることが要請されていることを知るべきである。
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 今日大学には早急に解決すべき種々の課題がある。第一に学長裁量経費問題がある。過去に文部省指導によって実施された経緯があるが、今は一切の規制から離れてそれぞれの大学の実情に即した原資の配分法が自由裁量をもってなされるべきである。学長裁量経費制度は書類作成の煩雑さに加え、複数研究領域に跨るため研究を進める上で、必ずしも有機的に連係できず実効的でないことが明らかになっており、再考すべき時期に来ている。一方で基盤教育研究経費が年々減額され、実験系では基礎研究が最早成り立たない実情にあり、早急な手立てが必要である。その他病院等の債務問題があり、北海道大学の財政基盤は逼迫している。旧来の一般事務経費を含め配分比率の再検討が必要となっている。これらを受けて、外部資金導入や競争的資金の獲得などが声高に叫ばれており、このままでは大学と言う名に値しない機関となりつつあることを憂慮するものである。

 これまで矢継ぎ早の政府・文科省の『大学困窮化政策』に対して、総長を先頭にして大学は充分な対抗策を、果たして学外に訴えてきたのであろうか。3%授業料値上げを前提とする運営交付金減額に対しても、教育の機会均等の前提を脅かすものとして政府・文科省に撤回を早急に申し入れるべきである。

 また、北大に働く者への処遇問題では寒冷地手当減額措置が提示されたが、使用者側責任者としての意見が周知されず、正常で安定した労働環境を確立させようとする説明責任が見受けられず、従前の公務員制度のくびきから解放されずにいる実態を見せつけられた。

 これらの依って来たる遠因は、政府・文科省には強力な交渉を行なわない一方で、立場の弱い労働者には無理を強いるというトップダウン型大学運営姿勢にある。本来は多くの人たちと論議し、最良の道を探し当てながら進む姿勢が不可欠で、これが法人化となった時点でも大学運営の基本の王道であろう。

 私たち北海道大学教職員組合は今回の総長選考で、多くの部局・研究科で有意な学長の実現で自由に論議と運動がなされる状況が生まれることを期待すると同時に、北海道大学の研究教育推進に尽力され、上記課題や問題点を充分把握しそれを解決する努力と道筋を持ったそのような資質を持った学長が出現されるよう全構成員と共に期待するものである。 


投稿者 管理者 : 2005年01月26日 00:50

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